3 ズワイガニの資源管理の取組みとTAC
(1) 「保護区」の造成などによる積極的な資源保護
京都府を含む日本海西部のズワイガニ資源は、「乱獲」や「混獲」(本誌第50号で紹介しました)などの影響により、昭和40年代の中頃から資源が悪化し、それにともない漁獲量も大きく減少しました。京都府の底びき網漁業者の皆さんは、「乱獲」と「混獲」の課題を解消するために種々の資源管理の取組みを行っています(表2)。まず、その内容を紹介します。
ひとつは「保護区」の造成です(図4)。これは漁場の一部の範囲内にコンクリートブロックを設置して、その区域を周年底びき網の操業を禁止にするもので、とくに「乱獲」の防止には大変有効な方法です。現在までに6ヵ所、合計56 km2が「保護区」となっています。これは、舞鶴湾の約2倍の広さに相当します。

図4 京都府沖合のズワイガニ保護区の設定場所と規模
(保護区内にはコンクリートブロックが設置されています) |
また、ズワイガニ漁期外の時期(4~5月と9~10月)には、ズワイガニが主として生息する水深帯での操業が禁止されています(図5)。このことにより、操業中にみられた大量のズワイガニの「混獲」が回避されました。

図5 京都府沖合の秋漁期(9/1~11/5)と春漁期
(3/21~5/31)の操業禁止区域の設定場所と規模 |
さらに、水ガニ**の漁獲について、省令(農林水産大臣が出す行政上の命令)で取決められている漁獲サイズよりも大きくしたり(甲幅9 cm→10 cm)、解禁日を遅く設定する(12月21日→1月11日)など、水ガニに対する漁獲強度が軽減されています。
以上のようなたいへん厳しい資源管理の取組みが継続され、資源が回復し、漁獲量も上向きに推移するようになりました(図6)。

図6 京都府のズワイガニ漁獲量の経年変化と資源管理の取り組み |
脚注)
**脱皮後間もない雄ガニで、通常の雄ガニ(松葉ガニ)に比べると甲羅は柔らかく、身入りも劣ることから商品価値は低い。また、水ガニは交尾能力がないことから、未成熟な雄ガニといわれています。
|
|