(1) 国連海洋法条約とは
国連海洋法条約は、正式には「海洋法に関する国際連合条約」といい、領海(12カイリ)や排他的経済水域(200カイリ)の定義、沿岸国の権利や義務、大陸棚や深海底の資源開発、船舶の通行に関する取決め等々、海に関する種々の取決めがなされており、いわゆる「海の憲法」とも言われています。
とくに、沿岸漁業について深く関係する部分は、排他的経済水域の設定に関する事項です。これは、沿岸国は200カイリ内(約370 km)において排他的経済水域を設定することができるというものです。排他的経済水域を設定した場合には、沿岸国はその海域内において、次のような権利と義務を有することとなります。
1 種々の資源(魚介類などの水産資源はもとより、鉱物資源等も含む)についての主権的権利を行使することができる
2 生物資源の保存、管理措置をとる義務を有する
国連海洋法条約は、1982年(昭和57年)の国連海洋法会議で締結されました。また、国連海洋法条約は60カ国が批准(または加盟)した翌年から発効することとなっており、1993年(平成5年)に60カ国が批准し、1994年(平成6年)に同条約が発効しました。
日本は1996年(平成8年)に95番目の批准国として国連海洋法条約に批准しました。これにより、日本は排他的経済水域を設定し、同時に当水域内において生物資源を保存、管理する義務を有することとなりました。この「生物資源の保存、管理」を目的とした新しい漁業管理制度が漁獲可能量制度、いわゆるタック(TAC:Total
Allowable Catch)です。