6.なぜ冬季にオイカワ等に被害が出たのか? |
一般に腹口類のセルカリアが第一中間宿主から泳出する時期は夏季が多いと言われています。では、今回はなぜ冬季にオイカワ等への大量寄生が起こったのでしょうか。その原因を探るため、カワヒバリガイにおけるスポロシストの寄生状況(セルカリアの形成状況を含め)を約1年間調べることとしました。 調査は、2000年6月〜2001年4月の2か月に1回の割合で行い、宇治川塔ノ島周囲でカワヒバリガイを採集し、腹口類スポロシストの寄生状況を調べました。その結果、調査期間中スポロシストの寄生はみられ、その寄生率は1.5〜6%の間で変動しました(図2)。季節的には6月以降12月まで増加し、12月以降は急減しました。そして、スポロシスト内に多数のセルカリアが形成され肥大してくる(写真14)のは10月以降のようで、10月以降12月にかけてがセルカリアの泳出(写真15)の盛期と推定されました。翌2月には盛期を過ぎ、4月には終了したと考えられました。 したがって、今回の事例では、本種のセルカリアの泳出時期に当たる1999年10月〜2000年2月に大量の泳出があり、これらがオイカワやコウライモロコに大量寄生したため、冬季に衰弱や異常遊泳等の被害が発生したものと判断されました。
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