2.原因調査 |
そこで、当海洋センターに原因調査の依頼があり、2000年1月下旬に現地調査を行いました。発生水域は、滋賀県境に近い天瀬ダム下流域で、目視による異常遊泳魚の観察を行ったところ、宇治川両岸の流れの緩やかな浅瀬に主として多量のオイカワが黒くなるほど群れていました。衰弱して岸からタモ網で容易にすくえるほどでした。写真1は、タモ網ですくい取られたオイカワです。目視観察では一部のオイカワは死亡している様子でした。 異常遊泳魚の出現は、2000年1月初旬以降で1月下旬以降は異常魚数は減少したようです。出現の盛期は1〜2月であり、4月中旬まで異常遊泳魚は散見されました。これ以外の魚種では、異常遊泳魚はみられませんでした。この時期の水温は6、7〜12℃でした。
すくい取られた衰弱オイカワでは、頭部が赤くなり、両眼球の充血や胸鰭、腹鰭、背鰭、尾鰭の付け根付近に充出血がみられ、尾鰭先がすれていました(写真1、写真2)。特に、両眼球の充血と尾鰭(写真3)および尾鰭付け根付近の症状が目立ちました。このような部分を顕微鏡で観察したところ、長さ0.2〜0.5mmの多数の寄生虫がみつかりました(写真4)。寄生虫は薄い膜に包まれたようにみえ、ラグビーボールのような形で多少伸縮運動をしていました(写真5)。体表や鰭以外では鰓にも寄生していました。寄生数はほとんど計数不能な程多く、1尾あたり千〜数千虫体と推定されました。
寄生虫検査以外には、細菌検査やウイルス検査を実施しましたが、何も異常は認められませんでした。
みつかった寄生虫がどういう種類なのか、海洋センターでは査定ができないため、東京大学大学院に在職される、この分野の専門家である小川和夫氏に査定を依頼しました。その結果、これらの寄生虫は腹口類吸虫のメタセルカリア(被嚢)幼虫であるということが判りました。
腹口類吸虫による寄生の影響を調べるため、衰弱魚の病理組織検査を実施しました。その結果、メタセルカリア幼虫の寄生部位はそれぞれの鰭の軟条内(写真6)や鰭付け根の筋肉内(写真7)ばかりでなく、尾鰭の付け根(尾柄部)付近では筋肉中の脊椎骨周囲にまで及んでいました(写真8)。多数の寄生を受けた組織周辺では出血がひどく(写真9)、眼球部でも寄生数は少ない(写真10)ものの出血していました。
これらのことから、オイカワやコウライモロコの衰弱は、腹口類吸虫のメタセルカリア幼虫の多数の寄生による出血あるいは失血が原因であると推察されました。
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