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(4) 年齢と成熟
図4 ヤナギムシガレイの年齢と成長(八吹,1984を参考に作成)
 
 資源が回復し、漁獲量が増えたとしても、小型で未成熟な魚をたくさん獲ってしまうと、次の世代をつくる(産卵する)親魚が減ってしまい、やがてその資源は減少し、漁獲量も減少の一途をたどってしまいます。ヤナギムシガレイの場合はどうでしょうか?ここでは、とくに産卵を行う雌に着目して調べてみたいと思います。
 ヤナギムシガレイの成長は、ヒラメや他のカレイ類と同じように、雄と雌とで成長の速度が異なります(図4)。ただし、2歳までの成長には、雄と雌とで大きな差はありません。なお、図4の成長は、本種の産卵期に当たる2月の時点における体長をプロットしています。ヤナギムシガレイがたくさん漁獲されるのは秋季ですから、図4に示した1歳の体長約7cmは秋季には約10cm、2歳の体長約12cmは秋季には約13cmに成長します。すなわち、最も多く漁獲されているのは主に2歳といえます。また、商品価値がなく投棄されているのは主に1歳といえます。
 ところで、雌が成熟する大きさは体長約15cmで、その年齢は3歳となっています(表1)。つまり、1〜2歳の小型魚は、まだ産卵することができない未成熟魚といえます。図2の体長13cm未満のものを未成熟魚とすると、その割合は全体の約70%にもなります。このような漁獲の仕方を続けていけば、ヤナギムシガレイは再び「幻の魚」となりかねません。
 
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