4 網容積率と流速
一般的に速い流れの潮が来れば、網は吹かれ上がり、網成りは悪くなって網容積率は低下します。この、潮流と網容積率との関係を沖礁漁場と高砂漁場で調べてみました。
沖礁漁場でも高砂漁場でも、大小異なる目合の第二箱網を交互に使用しています。この目合が違うことによって、流速と第二箱網の網容積率との関係にどのような違いがでるかをみるために、沖礁漁場で12節(27.5mm)と16節(20.2mm)、高砂漁場で6節(60.6mm)と12節(27.5mm)の各網について、流速を横軸に、網容積率を縦軸にとって図6に示しました。
その中でも、高砂の6節はいずれの流速においても他の箱網よりも明らかに高い網容積率を示しました。また、その他の網については、それぞれ網規模が異なるにもかかわらず、いずれの箱網でも各流速における網容積率には大きな差は認められませんでした。
神奈川県総合試験場相模湾試験場の石戸谷ら(1997)は、回流式実験水槽を用いた水槽実験の結果から同じ流向・流速条件で、大きい目合(8節)の模型 網の方が小さい目合(14節)のそれより網容積率を高く保ったこと、両模型網の網容積率を比較すると、「真潮」、「逆潮」ともに、0.4ktの時にその差が最も大きくなったことを報告しています。このことは、第二箱網の目合を拡大することが第二箱網の網成り保持に高い効果をもつことを意味していると考えられます。したがって、今回の京都府での調査結果は、この水槽実験の結果を実際の漁場において実証したことになります。
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