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はじめに
 近年、マイワシの減少とともに、まき網や定置網の漁獲量が激減するなど京都府の漁業も随分様変わりしてきました。しかし、過去5カ年を振り返ってみますと、府内の年間の水揚げ量は減少しているものの、依然として定置網漁業の漁獲量と漁獲金額は、京都府の漁業の中ではいずれも上位を占めています。(図1)
 しかし、このように経営的に比較的安定しているかに見える定置網漁業ですが、その漁獲量は魚群の来遊状況によって大きく左右されます。潮流の向きや速さによって網が変形したり、操業ができなかったり、極端な場合には、漁具への被害が発生し、経営上大きな損失を被ることもあります。
 また、最近は例年通りの海況を示さない例が度々でてきており、期待通りの漁がないといったことも起きています。したがって、定置網漁業では今後、来遊した魚群をしっかり漁獲する「チャンスを逃さない」やり方がますます重要になってくるでしょう。
 そこで、海洋センターでは、府内の定置網漁場(二段落し網漁場)を例にして、この「チャンスを逃さない」やり方について検討しました。その結果、定置網の箱網容積を高く保つことが重要であることや、そのための具体的方法として、「第二箱網の目合拡大」が有効であることが明らかになりました。本号では、これらの内容についてご紹介したいと思います。これらのことは、箱網内の魚群の居残り率の向上や揚網回数の確保など漁獲の安定、さらに急潮などによる漁具被害の軽減に結び付くことから、定置網経営の安定化・効率化に寄与するものと考えています。



 

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