6.アカガレイは鳥取県沖合まで広範囲に移動
また、アカガレイは鳥取県以北の日本海の広い範囲に分布していますが、京都府沖合域のアカガレイの生活や移動の範囲がどれだけの広がりを持っているかはこれまでは明らかではありませんでした。
そこで、海洋センターでは底曳網漁業者のみなさんの協力を得て、平成6年から、アカガレイの標識放流を実施して、アカガレイの生活や移動についての調査を進めてきました。標識の方法は、図8のように、エラ蓋に直径12mmのプラスチック製の円盤をくくりつける方法としました。
図9に、平成6年4月22日に間人沖合の水深250m域で標識放流したアカガレイの放流後1年間の再捕場所を示しました。放流した直後の再捕場所は(図9中の黒色)、京都府沖合の水深230〜350m域が5月の1ヶ月間、底曳操業禁止区域に設定されたこともありすべてが放流場所付近でした。6月1日〜8月31日は底曳網の操業禁止期間ですので、この間の再捕はありませんでした。9月1から11月5日までの秋漁期の再捕場所は(図9中の赤色)、この期間、京都府と兵庫県沖合の水深約220〜330m域が操業禁止区域であったこともあり、水深213mで再捕された1尾を除くすべてが放流場所より北側の水深370m
以深の深場でした。一番深い場所は水深715mでした。ズワイガニ漁期である11月6日〜3月20日までの冬漁期の再捕場所は(図9中の黄色)、放流場所周辺の水深250m前後が多く、また水平的にも広く分散し、鳥取県沖合でも再捕されました。放流からほぼ1年を経過した放流翌年の3月21日〜5月31日までの春漁期の再捕場所は(図9中の青色)、この期間、京都府沖合の水深約230〜350m域が5月の1ヶ月間、底曳網操業禁止区域に設定されたこともあり、すべてが水深200〜290mの浅場でした。冬漁期と同様に、水平的にも広く分散していました。一番遠距離で再捕されたのは、放流から387日経過して、鳥取県気高沖合の水深387mで再捕された29.6cmの魚で、放流場所からの直線距離は約60マイルありました。これらの結果から、京都府沖合域のアカガレイの生活の場は相当広い範囲であることが分かりました。なお、図には示していませんが、平成7年の4月19日に網野沖の水深250m域で放流したアカガレイが浦島礁より東で1尾再捕されました。経ヶ岬以西域のアカガレイが浦島礁より東の地域にも移動していることも分かりました。
平成8年には、浦島礁東域でも標識放流を実施しました。そのアカガレイがどこで再捕されるのか、特に経ヶ岬以西域で再捕されるかどうかが注目されます。
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