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丹後の海の水が温かくなりはじめる5~6月に、岩の上で波の満ち引きにあわせてゆらゆらと揺れている赤褐色のひも状の海藻をみることができます。長さは10~30cmで、一見するとうどんのような形態をしていますが、これが万葉集にも縄苔(なわのり)として登場したとされる紅藻類ウミゾウメン科のウミゾウメンです。
生のまま食べても美味しいのですが、熱を通すことにより鮮やかな緑色になりプチプチとした食感が楽しめることから、海藻サラダや汁物、あるいは二杯酢やポン酢などでいただくのがおすすめです。
九州の北部、山陰地方や能登半島などでは食用とされていますが、年により量の変動が大きいことや食用となるのは梅雨の時期までであることから、知る人ぞ知る丹後の春の珍味となっています。
なお、春先に海藻や岩場に産み付けられる黄色いアメフラシの卵塊も「うみぞうめん」と呼ばれますが、こちらは食べるとおなかをこわしてしまうそうですので、くれぐれもお間違いなく。
(平成23年6月1日 谷口千恵)
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