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寒い季節に美味しくなるナマコは、主に生鮮で出荷されているのですが、近年中華料理の食材としての輸出が急増して、この写真のような煮干し(いりこ)に加工して出荷する漁協が出てきました。
資源の減少や単価の低迷により、漁獲量が府全体で50トン程度に落ち込んでいましたが、マグロやサケと同じく中国への輸出が増加、単価も上昇したことから漁獲量が倍増しています。寒風の中での操業の対価として単価が上がることは望ましいのですが、近年のような漁獲量の急増は気懸かりです。
漁場環境の悪化等のために資源が減少しているナマコを小さいものも含めて集中的に獲ってしまうと、資源を枯渇させてしまいかねません。産卵するのは2歳以上と考えられますので、2歳未満の幼ナマコの保護と稚ナマコが育つ漁場環境の保全が必要です。
京都府立海洋センター海洋調査部長 中路 実
(平成20年12月12日、京都新聞掲載)
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