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海洋センターが平成14年4月に京都府沖で標識放流したアカガレイが、平成26年10月9日に兵庫県の底曳網漁船により放流場所近くで再捕されました。このアカガレイは体長35.2 cmのメスで、放流したときの記録から、12年間でわずか2 cmしか成長していないことが分かりました。頭の中の「耳石」を取出し、日本海区水産研究所で年齢を調べた結果、26歳と推定され、同研究所が調べたこれまでの最高記録24歳を上回りました。
アカガレイについてはズワイガニと同様に、保護区や操業禁止区域を設定するなど資源管理が進んでおり、今回の高齢魚の再捕は、このような取組みの効果と考えています。
今年も11月6日にズワイガニ漁が解禁され、舞鶴、宮津、間人および網野の各市場には、底びき網漁業で漁獲されたズワイガニが水揚げされています。海洋センターでは、毎年、水揚げされたオスガニの大きさ(甲羅の幅)を測定しており、今年も1,000尾を超える数を測定しました。今漁期は、甲幅13 cm前後の大型のものが比較的多く漁獲されているのが特徴といえます。得られたデータは、ズワイガニ資源の現状を把握し、資源を上手に維持・管理するための科学的な基礎資料として利用します。
海洋センターの平安丸には、様々な観測機器が搭載されています。船底には超音波を使って海の流れを測る装置があり(左下写真)、おおむね四半期ごとに丹後半島沖の流れを調べています(右下図は観測結果の一例)。最近では、11月11日から12日に実施しました。この観測により、沖合の流れと沿岸で発生する速い流れ(急潮)との関係や対馬暖流の季節変化の解明に役立てていきます。
11月17日に横浜市において、水産海洋学会のシンポジウム「出口に向けた水産総合研究(豊後水道域のタチウオひきなわ漁業を例として)」が開催され、全国から約70名の研究者や企業関係者、行政職員などの参加がありました。海洋センターからは、「ビジネスモデルの定着に向けて」と題して、新たに開発された技術などを効率的に定着、普及させるためにはどのような点に注意して進めるべきか等について発表を行いました。
今回の発表は、(独)水産総合研究センターから委嘱された“沿岸域における漁船漁業ビジネスモデル研究会 ビジネスモデル定着化手法専門部会”の委員として行ったものです。このように、当センターでは水産業の振興等に係る全国的な活動も行っています。
宮津市立養老小学校では地元の漁業を学習されており、今回専門職員派遣事業を利用して、養老地区の漁業者と海洋センターで実施しているアカモク養殖試験について講義の依頼がありました。
11月21日に、先ず漁業者の操船する船で養殖試験場に向かい、養殖中のアカモクを見学した後に、アカモクの種苗生産や養殖に関する講義を行いました。小学5年生には少し難しい内容でしたが、生徒さんたちは熱心にメモを取りながら聞いており、最後には良く分かったという感想をもらいました。
11月26日、日本海側の山口県から福井県までの研究者が鳥取市に集まり、平成26年度西部日本海ブロック増養殖担当者会議が開催され、魚介類等の増養殖技術に関する試験研究についての発表および情報交換を行いました。
参加者からは、ワムシジーンバンク事業、ヒラメ放流事業、キジハタ放流試験、アサリ篭養殖試験、ナマコ増養殖、藻場調査に関する報告があり、海洋センターからは宮津市養老地区のアワビ潜水漁業における資源管理について報告しました。若い研究者も多く、参加者からは多数の質疑応答があり、非常に活発な意見交換が行われました。
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