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海洋センターでは毎年、ズワイガニ漁の解禁(11月6日)を前に府沖合における資源・分布状況を調べるため、海洋調査船「平安丸」によるカニ篭操業を行っています。今年は8月中旬から9月下旬に計6航海を行い、延べ292個のカニ篭によりズワイガニを採集し、甲羅やハサミの大きさなどを測定しました。
今年の採捕状況は、雄ガニ(漁獲サイズである甲幅9 cm以上)が10篭当たり21.5個体で、過去5年平均(23.1個体)の93%でした。一方、雌ガニは同83.5個体で同平均(47.0個体)の178%と多かったのが特徴と言えます。調査結果による今年の資源状況は、特に雌ガニが多い傾向が認められましたが、実際の漁獲量は、出漁日数により大きく左右されることから、天候に恵まれ好漁であることを期待します。
10月3日に福知山市立雀部小学校5年生の生徒と先生75名が、水産業に関する学習の一環として、海洋センターへ来られました。見学では、京都府漁業や当センターの研究内容の概要などをパンフレットやビデオで紹介しました。前日には京都府漁業協同組合が開設する水揚げ市場を視察されたこともあり、京都府漁業の特徴やたくさん水揚げされる魚などについて、理解を深めていただけたと思います。
10月10日に府立海洋高等学校で、海洋科学科船舶コースの2年生を対象に行われた底曳網漁業の総合実習において、海洋センターの船舶職員が講師を務めました。実習では、実際に使用している漁具の一部や網の模型を用いて底曳網漁業について説明をしました。また、模型網を使って、生徒に魚の役になってもらい、網をゆっくりと引くことで魚が網に入っていく仕組みなどを疑似体験してもらいました。実際に網やロープの動きを見ることで、海の中で起きていることがイメージでき、底曳網漁業についてより理解を深めていただけたと思います。
10月28日に、海洋センターの海面育成施設で、府立海洋高等学校の海洋科学科3年生20名を対象に、トリガイ育成実習を行いました。実習では、3班に分かれて飼育コンテナの交換作業や、稚貝の計数とノギスを使った測定作業等を行いました。また、トリガイの成長・生残に大きな影響を及ぼす水質環境を調べるため、水質計を用いて水温、塩分、溶存酸素量の測定を実施しました。生徒達は真剣に作業に取り組み、大変熱心に実習を受けていました。この育成体験を通して学んだことが、今後の学習に活かされることを期待しています。
日本海沿岸海域では、ときに定置網を壊すような速い流れ(急潮)が発生します。海洋センターは、新潟県から鳥取県の水産試験研究機関や九州大学、福井県立大学などと共同で定置網の防災を目的とした急潮予測技術の開発に取り組んでいます。10月23日、共同研究機関の担当者が佐渡島に集まり、研究成果の報告や活発な議論がなされました。来年度には、(独)日本海区水産研究所から携帯端末で見ることができる急潮予測情報が発信される見込みです。
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