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第29週の報告ですが、手足口病がさらに猛威をふるっています。京都府全体の定点あたりの報告数が先週の14.78件からさらに増加し17.81件、患者数は1300人でした。全国平均も増加し10.16件で、近畿8府県すべてで警報が発令されています。京都府の地域別では南丹30.6件、乙訓26.3件、山城北13.0件、丹後10.3件、山城南10.0件や、京都市内左京区39.5件、伏見区29.1件、右京区29.0件、西京区25.8件、南区25.0件、上京区18.7件など、警報基準を大きく超える地域がさらに拡大して、警報が出ていない地区は数えるほどです。手足口病は口腔内や手のひら、足の裏に水疱を認めるウイルス感染症で、咳・くしゃみの飛沫やオムツ交換などで排泄物を触ることから感染しますので、手洗い・うがいを励行して感染の拡大を避けるようにしてください。
伝染性紅斑も報告数が増加し、南区および西京区で警報レベルとなったほか、乙訓で警報レベルが続いています。ヘルパンギーナの報告は、南区で警報が続き、京都府全体では1.53件と先週よりも増加しています。タオルや食器の共用は避けて、眼をこすらないよう注意し、うがい・手洗いの徹底をして頂くようお願いします。
ヘルパンギーナは、発熱と口腔粘膜にあらわれる水疱性発疹を特徴とし、夏期に流行する小児の急性ウイルス性咽頭炎であり、いわゆる夏かぜの代表的疾患です。原因ウイルスはエンテロウイルス属、流行は特にA群コクサッキーウイルスによる事が多く、接触感染を含む糞口感染と飛沫感染によって拡がります。数日間の潜伏期の後、突然の発熱に続いて咽頭粘膜の発赤が顕著となり、口腔内に水疱が出現するのが特徴です。患者の年齢は4歳以下がほとんどであり、発熱時に熱性けいれんを伴うことや、口腔内の疼痛のため不機嫌、拒食、哺乳障害、それによる脱水症状などを呈することがあります。2〜4日程度で解熱し、続いて粘膜疹も消失する経過が一般的で、ほとんどは予後良好ですので、治療は発熱や脱水症への対応が中心になります。ただし、エンテロウイルス感染症は多彩な病状を示す疾患であり、ヘルパンギーナの場合にも無菌性髄膜炎、急性心筋炎などをまれに合併することがあります。頭痛・嘔吐や、心不全徴候の出現に十分注意することが必要です。鑑別診断として、単純ヘルペスウイルス1型による歯肉口内炎、手足口病(手足にも水疱を認める)、アフタ性口内炎(発熱を伴わない)などがあげられます。手足口病なども同様ですが、症状軽快後も3-4週間は大便にウイルスが含まれるという報告がありますので、オムツの処理にご注意ください。
咽頭結膜熱や感染性胃腸炎、A群溶血性レンサ球菌咽頭炎は比較的落ち着いています。
その他、腸管出血性大腸菌感染症が1件、アメーバ赤痢が1件、梅毒が2件報告されました。
分 類 | 報 告 |
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1類感染症 | 報告がありません |
2類感染症 | 結核が 2件 報告されました |
3類感染症 | 腸管出血性大腸菌感染症が 1件 報告されました |
4類感染症 | 報告がありません |
5類感染症 | アメーバ赤痢が 1件 、梅毒が 2件 報告されました |
■基幹定点
マイコプラズマ肺炎が 2件 報告されました
■眼科定点
流行性角結膜炎が 7件 報告されました