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第28週の報告でも、手足口病の京都府全体の定点あたりの報告数が先週の13.01件から引き続き増加しており、14.78件でした。全国平均も増加し7.39件ですが、京都府ではその2倍となる流行です。地域別では乙訓37.0件、南丹23.4件、山城北12. 0件や、京都市内伏見区30.9件、右京区27.2件、南区23.0件、左京区17.0件、西京区14.8件をはじめとした、さらに多くの地域で警報基準を大きく超えています。手足口病は口腔内や手のひら、足の裏に水疱を認めるウイルス感染症で、咳・くしゃみの飛沫やオムツ交換などで排泄物を触ることから感染し、患者のほとんどが5歳以下の乳幼児です。多くのケースは発症後3-7日で自然軽快しますが、まれに髄膜炎・脳炎を起こすことがあります。繰り返しになりますが、手洗い・うがいを心がけて感染の拡大を避けるようにしてください。症状軽快後も3-4週間は大便にウイルスが含まれるという報告もありますので、オムツの処理には特にご注意ください。
伝染性紅斑も報告数が増加しました。乙訓の定点あたりの報告数が3.75件と警報レベルが続いており、京都府全域で報告が漸増しているほか、滋賀県も警報レベルが続いています。咽頭結膜熱は山城南の警報レベルは解除されましたが、右京区の定点あたりの報告数が2.8件あり、警報レベルに近付いています。ヘルパンギーナの報告は、南区で警報レベルの定点あたり6.0件となり、その他伏見区3.3件、上京区2.7件および乙訓2.3件とやや多く、京都府全体では1.33件とさらに増加しています。感染性胃腸炎は京都府全体で4.25件とやや減少、A群溶血性レンサ球菌咽頭炎も京都府全体で1.47件と先週よりもやや低下していますが、いずれも注意をお続けください。
夏に多い感染症が流行し、手足口病の流行は未だ拡大しています。京都府の梅雨も明け、プールなどの利用もいよいよ本格化していると思います。タオルや食器の共用は避けて、眼をこすらないよう注意し、うがい・手洗いの徹底をして頂くようお願いします。
その他、腸管出血性大腸菌感染症が4件、レジオネラ症が3件、カルバペネム耐性腸内細菌感染症、侵襲性インフルエンザ菌感染症、侵襲性肺炎球菌感染症がそれぞれ1件、後天性免疫不全症候群が2件報告されました。腸管出血性大腸菌は、汚染された水や食品(肉、野菜等)などを介して経口感染し食中毒の原因となることが知られており、溶血性尿毒症症候群(HUS)など重篤な合併症を引き起こすこともあります。例年6月から10月頃までの夏場に多く報告されています。少量の菌で感染しうるため、患者や保菌者の便から2次感染します。食肉を十分加熱処理し、細菌を死滅させることが最も重要ですが、調理の途中で調理器具や食品が汚染されることにより食中毒につながります。そのため、調理器具の消毒・手入れなどの衛生に留意することも食中毒の予防に重要です。食事前の手洗いを十分に行うことでヒトからヒトへの2次感染を予防してください。また、腸管出血性大腸菌に限らず細菌による食中毒は夏期に多くなっています。厚労省の食中毒に関するホームページなどを参考に、食中毒予防のポイントをご確認ください。
分 類 | 報 告 |
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1類感染症 | 報告がありません |
2類感染症 | 結核が 9件 報告されました |
3類感染症 | 腸管出血性大腸菌感染症が 4件 報告されました |
4類感染症 | レジオネラ症が 3件 報告されました |
5類感染症 |
カルバペネム耐性腸内細菌感染症・侵襲性インフルエンザ菌感染症と侵襲性肺炎球菌感染症がそれぞれ 1件、 後天性免疫不全症候群が 2件 報告されました |
■基幹定点
無菌性髄膜炎 ・マイコプラズマ肺炎と
感染性胃腸炎(ロタウイルス)がそれぞれ 1件 報告されました
■眼科定点
流行性角結膜炎が 5件 報告されました