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第19週、全体に定点あたりの報告数が少ないですが、診療日が少なかったことの影響が考えられます。全国的に流行している伝染性紅斑の報告数も、先週まで続いた増加から今週は顕著な減少に転じました。しかしながら依然として過去数年より報告が多い状況ですので、皮疹や感冒症状のある方の咳やくしゃみにはご注意ください。
感染性胃腸炎の報告も減少していますが、中丹西保健所管内で定点あたり5.7件、東山区13.5件、伏見区6.4件の報告がありました。手洗いの徹底を心がけてください。
その他の感染症の報告も減少していますが、手足口病と咽頭結膜熱の報告数は過去数年の平均を上回っています。これから流行のシーズンになりますので、タオルの共用はせず、引き続きうがい・手洗いの励行をお願いします。
侵襲性肺炎球菌感染症の報告が1件ありました。侵襲性肺炎球菌感染症は、肺炎球菌による肺炎・髄膜炎や菌血症、敗血症といった重症の病態です。治療はペニシリン系抗菌薬が第一選択で、予防には肺炎球菌ワクチンの接種が有効です。
梅毒の報告が2件あり、京都府の累計が12件となりました。近年、全国的にも京都府においても梅毒の報告は増加傾向です。梅毒は梅毒トレポネーマ(Treponema pallidum)という細菌による性感染症です。感染すると約3週間の潜伏期を経て、膿を伴った無痛性のしこり(硬性下疳)や潰瘍、足の付け根(鼠径部)のリンパ節腫大などの局所病変を引き起こします(第1期)。その後一旦病変が消褪しますが、数ヶ月後にはバラ疹や全身のリンパ節腫脹等の全身症状が起こります(第2期)。その後数年間の無症状の時期を経て、ゴム腫といわれる腫瘍が発生し(第3期)、さらに進行すると大動脈瘤や多彩な神経症状を引き起こすことがありますが(第4期)、現在では比較的早期から治療が行われる事が多く、第3〜4期のような進行例は稀です。診断は主に梅毒血清反応で行われます。TPHA法やFTA-ABS法などによる特異的なTP(Treponema)抗体検査を行います。TP抗体は最初の数週間の後に上昇し、基本的に治癒後も生涯高値を保ちます。またカルジオリピン(リン脂質)に対する抗体は、RPR法・凝集法などによって測定しますが、活動性の梅毒で高値となることから治療効果の判定にも利用されます。治療の基本はペニシリンやセフェム系の抗生剤で、病期が長いと長期の治療が必要になります。一旦自然軽快したように見えても治療は必要であり、治療後の再感染も起こりえます。感染予防や拡大防止には、性行為の際にコンドームを用いることや、特に感染力の強い第1期及び第2期の患者との性行為を避けることが重要です。
分 類 | 報 告 |
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1類感染症 | 報告がありません |
2類感染症 | 結核が 1件 報告されました |
3類感染症 | 報告がありません |
4類感染症 | 報告がありません |
5類感染症 | 侵襲性肺炎球菌感染症が 1件、梅毒が 2件 報告されました |
■基幹定点
マイコプラズマ肺炎が 1件、
感染性胃腸炎(ロタウイルス)が 6件 報告されました
■眼科定点
流行性角結膜炎が 3件 報告されました