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第3週、インフルエンザの報告が続いています。京都府では定点あたりの報告数が、28.69件となりました。すべての保健所の管内(京都市を除くすべての市町村)および京都市上京区・中京区・南区・東山区・山科区で警報レベルが続いています。定点以外を含む全国の医療機関をこの1週間に受診した患者数の推計は約201万人で、先週の推計値とほぼ同等となっています。基幹定点からのインフルエンザ患者の入院報告数についても先週とほぼ同等となっています。また直近5週間の国内のインフルエンザ検出状況では、ほとんどがAH3亜型の検出となっています。全国的に集団感染や死亡の事例が報告されています。外出後の手洗いの励行、外出時のマスク着用、適切な湿度、十分な栄養と休養による予防、また咳エチケットの徹底による感染拡大防止を心がけてください。
感染性胃腸炎の報告は先週と同程度で推移しています。全国的に集団感染が報告されています。患者の吐物や便の適切な処理、手洗いなどの予防が推奨されています。
伝染性紅斑の報告が乙訓保健所管内でみられ、警報レベルに達しています。伝染性紅斑は、エリスロウイルス(ヒトパルボウイルス)B19というウイルスによる感染症です。主に小児が罹患し、りんご病とも呼ばれる所以となった特徴的な皮疹が両頬にみられ、他に四肢にも皮疹が出現します。潜伏期間は10〜20日で、症状出現後7〜10日ほどで改善します。一度かかると免疫ができますが、成人で抗体陰性が50%くらいあるといわれ、成人での感染も起こります。成人では症状がでないこともあり、また症状が出ても典型的な皮疹は出にくく関節痛の頻度が高くなることが特徴とされます。B19ウイルスに対するワクチンや抗ウイルス薬は無く、基本的に症状に応じて治療されます。免疫が低下している患者に対して免疫グロブリンを使う場合があります。妊婦の感染では、胎児水腫や流産を起こす場合があります。流行している時期には、妊娠初期や中期の方は、感冒様症状のある人に近寄らないようにしたり、手洗いを励行したりして注意してください。
侵襲性髄膜炎菌感染症の報告が1件ありました。髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)による侵襲性感染症のうち、本菌が髄液または血液から検出された感染症と定義されます。潜伏期間は2〜10日(平均4日)で、感染経路は飛沫感染です。髄膜炎例では、頭痛、発熱、髄膜刺激症状の他、痙攣、意識障害、乳児では大泉門膨隆などを伴います。敗血症例では、発熱、悪寒、虚脱を伴い、重症化をきたすと紫斑の出現、ショックならびにDICに進展することがあります。本感染症の特徴として、点状出血が眼球結膜や口腔粘膜、皮膚に認められ、また出血斑が体幹や下肢に認められます。治療として、ペニシリンGないし第三世代セフェム系抗菌薬が経静脈的に投与されます。予防として、予防内服が接触者に勧められています。日本では未承認ですが、髄膜炎菌ワクチンがあり、流行地域に渡航する人や髄膜炎菌による重い疾患にかかる危険性が高い人には接種が勧められています。平成25年4月1日から髄膜炎菌性髄膜炎は侵襲性髄膜炎菌感染症となり、感染症法における五類感染症(全数把握対象)として、診断後7日以内に最寄りの保健所への届出が義務づけされています。
分 類 | 報 告 |
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1類感染症 | 報告がありません |
2類感染症 | 結核が7件 報告されました |
3類感染症 | 報告がありません |
4類感染症 | レジオネラ症が1件 報告されました |
5類感染症 | 後天性免疫不全症候群と侵襲性髄膜炎菌感染症がそれぞれ1件、侵襲性肺炎球菌感染症が2件 報告されました |
■基幹定点
感染性胃腸炎(ロタウイルス)が3件 報告されました
■眼科定点
流行性角結膜炎が4件 報告されました