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風しん患者の報告数は引き続き増加傾向で、今年は累計で8507件となりました。京都府内では第21週15人の報告があり、今年の累計は119件となっています。風しん流行時には春から夏にかけて患者が多くなるといわれており、昨年における週別報告数のピークは7月下旬(第30週 132件)でした。
今回の流行は若い世代が中心となっており、男性は20歳代から40歳代の方、女性の患者数は男性患者数の約30%と少ないですが20歳代の方に多くなっています。
風しんにおける問題の一つは、妊娠初期の母体感染により、胎児が感染し先天性風しん症候群を発症する場合があることです。妊娠の可能性のある女性や妊婦と接する男性の方は特に風しんの予防接種をご考慮ください。
さて、今週赤痢アメーバー症と梅毒の報告がありました。いずれも、性行為感染症としても知られており、HIVとの重複感染が問題となることがあります。赤痢アメーバー症の原因は赤痢アメーバーと呼ばれる原虫の一種です。栄養型(いわゆるアメーバー運動をして活発に動く)と嚢子型2つの形態を取り、外部環境に強い嚢子型を摂取することで経口感染します。具体的には汚染された飲食物の摂取や性的接触で感染します。
赤痢アメーバーにはEntamoeba histolyticaとEntamoeba disparとが知られていますが、見た目には区別出来ません。そのうち人間に対して病原性のあるのはE. histolyticaであって、E. disparの方は病原性が無いことが分かっています。E. histolyticaは大腸に感染して大腸炎(下痢、粘血便をきたす)の原因となったり、肝膿瘍の原因となったりします。
治療にはメトロニダゾールなどが用いられます。また無症状で偶然発見される場合もあります(キャリア)。E. disparの場合は治療の必要がないと言われていますので、無症状の場合にはE. histolyticaとE. disparとの区別が問題となりますが、残念ながら両者を区別する検査は臨床の現場では一般的ではありません。抗体検査で陽性になれば、E.histolyticaと推測できますが、抗体検査であるため過去の感染を反映したものである可能性が残ります。
分 類 | 報 告 |
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1類感染症 | 報告がありません |
2類感染症 | 結核が4件報告されました |
3類感染症 | 腸管出血性大腸菌感染症が1件報告されました |
4類感染症 | レジオネラ症が1件報告されました |
5類感染症 | アメーバ赤痢と梅毒が各1件、風しんが15件報告されました |
■基幹定点
マイコプラズマ肺炎が1件報告されました
■眼科定点
流行性角結膜炎が7件報告されました