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定点あたりのインフルエンザ患者の報告数は全国で2.8から2.0、京都では2.87から2.09と減少しています。
風しん患者の報告が11件あり、増加傾向です。関東地方、関西地方を中心に報告が多い状況が変わりませんが、他の地方においても患者の報告がみられるようになっています。風しんはワクチンにより予防が可能な疾患です。妊娠初期における母体の感染により、胎児に感染し先天性風しん症候群の原因となることがあります。風しんワクチンは生ワクチンですので、妊娠中には接種しません。妊娠前の方(接種後2ヶ月は避妊)、妊娠している方のご家族の方、また若い成人男性の方(今回の流行の中心となっている)は、予防接種をご検討ください。
≫風しんワクチンポスター
風しんワクチンポスター
さて、今回ブルセラ症が1件報告されました。ブルセラ症はブルセラ属の細菌による感染症です。ブルセラ属の細菌には複数あり、牛や羊、犬などの哺乳動物に感染します。人獣共通感染症の一つで、感染家畜の肉や乳製品の摂取、家畜の死体や分娩時の胎盤・羊水への接触(皮膚の傷などから獣医や酪農従事者などが感染)によりヒトに感染します。他に、菌を吸い込んで感染することも知られており、ブルセラ属の菌を扱う検査室での感染が知られています。
日本においては対策により牛のブルセラ症はみられなくなっており、したがって牛から国内感染する例はみられません。しかし、海外においては加熱殺菌の不十分な牛や羊の肉や乳製品などから感染して国内で診断される例や、犬が感染源と考えられる国内感染例が散発します。海外では決して珍しい疾患ではなく、地中海地域、中東やラテンアメリカ、インド、中国などで患者の発生がみられますので、同地域への渡航の際には注意が必要です。 ≫厚生労働省検疫所ブルセラ症情報
潜伏期間は1〜3週間ですが、数ヶ月のこともあります。慢性の経過をたどり、発熱、筋肉痛などが消長し、特徴的な症状に乏しいことから不明熱の原因疾患の一つに挙げられます。様々な臓器に感染し、中でも心内膜炎は同感染症の主たる死因となるため重要です。診断には、海外渡航歴や渡航先で喫食歴、動物との接触についての情報が手がかりにますし、確定するには血液培養検査や抗体検査が有用です。治療には抗生剤を組み合わせて長期間投与(通常6週間)します。
分 類 | 報 告 |
---|---|
1類感染症 | 報告がありません |
2類感染症 | 結核が5件報告されました |
3類感染症 | 報告がありません |
4類感染症 | ブルセラ症が1件報告されました |
5類感染症 | 風しんが11件報告されました |
■基幹定点
報告がありません
■眼科定点
流行性角結膜炎が12件報告されました