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第44週、感染性胃腸炎の報告が増加傾向で、昨年の同時期よりも報告が多くなっています。今年と同様、平成22年も感染性胃腸炎の報告数増加の立ち上がりが早く、11月、12月の報告数が増加していたのですが、平成22年の時よりも、今年の方が報告数は多くなっています。
RSウイルス感染症は、ここ数週の間は増加傾向にありませんが、引き続き報告数が多い状況が続いています。
今週、梅毒が1件報告されました。梅毒は梅毒トレポネーマによる細菌感染症で性行為感染症の一つです。
ペニシリンという抗菌薬が有効で、ペニシリンが利用されるようになってから患者数は激減しましたが、近年ではHIV感染症との合併で注目されています。梅毒はHIV感染の危険を高めることが知られていますし、HIV感染を合併している場合には梅毒の症状や検査結果が非典型的になることがあります。
症状は下記のように、急性・慢性に多彩な症状が消長し、診断が難しい場合があり、症状の無い時期には、血液検査のみが手がかりとなります。
1.潜伏期:梅毒トレポネーマが感染部位から進入し、全身に散らばっていく時期ですが、それにともなう症状はありません。
2.第1期:感染の約3週間後(10〜90日後)に、痛みの乏しい陰部潰瘍、口腔内潰瘍が出現します。局所のリンパ節も腫れますが、やはり痛みに乏しいのが特徴です。病変部には梅毒トレポネーマが多数存在します。
3.第2期:感染の約1.5ヶ月後(半月〜3ヶ月後)に、全身のリンパ節が腫れたり、筋肉痛、咽頭痛、また皮疹が現れます。全経過を通じて、最も多いトレポネーマが全身をめぐり、強い免疫反応が出ます。
早期潜伏性梅毒:感染後1年くらいは、第2期梅毒の症状を繰り返します。次第に症状は軽減していき、全く無症状な時期(後期潜伏性梅毒)に移行します。
後期潜伏性梅毒:第3期までの無症状の期間です。
4.第3期:数年後から30年後くらいの時期に、神経梅毒、心血管梅毒、ガマ腫を発症します。神経梅毒では、髄膜炎、脳実質障害、脊髄障害を、心血管梅毒では、大動脈弁の閉鎖不全や大動脈瘤などをきたします。なお、第3期の症状を呈さず、潜伏して長期経過する場合も多いと考えられています。
性行為(オーラルセックスやアナルセックスも含めます)による直接的な接触により感染し、感染源となるのは、特に第1期、第2期の患者の唾液、血液、精液、膣分泌物、あるいは患者の皮疹の浸出液です。第3期には感染性はほとんど無いと考えられています。皮膚の傷が浸出液などに接触することで感染することもありえます。また母子感染も知られており感染妊婦から胎盤を介して胎児に感染し、流産の原因となったり、子どもに先天性梅毒を引き起こしたりすることがあります。
治療の基本はペニシリンで、治療開始後すみやかに感染性は無くなると考えられていますが、治療後の再感染も起こりえます。病期により抗菌薬の投与期間が異なりますが、治療終了後、その効果を判定するために、血液検査の変化を確認していきます。
分 類 | 報 告 |
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1類感染症 | 報告がありません |
2類感染症 | 結核が13件報告されました |
3類感染症 | 腸管出血性大腸菌感染症が1件報告されました |
4類感染症 | マラリアとレジオネラ症が各1件報告されました |
5類感染症 | 梅毒が1件報告されました |
■基幹定点
マイコプラズマ肺炎が2件報告されました
■眼科定点
流行性角結膜炎が5件報告されました