ホーム >> 感染症情報(週報)
マイコプラズマ肺炎の報告が続いています。マイコプラズマ肺炎は昨年から報告数が増えており、今年は昨年の報告数を上回る状況が続いています。昨年は9月以降12月にかけて右肩上がりで報告数が増えており、今後注意が必要です。
マイコプラズマ肺炎は飛沫感染・接触感染で拡がります。潜伏期間は2週間ほどと長く、熱やだるさなどで発症し、ついで咳が出るようになります。 咳は、痰の無い乾いた咳で始まり長く続くことが特徴で、熱が引いた後も数週間続きます。喘息のようにゼイゼイすることもあります。合併症には胸水貯留や、中耳炎、無菌性髄膜炎、関節炎などがあります。
また第36週には、ライム病が報告されました。ライム病はマダニが媒介する感染症で、ボレリア属の細菌を持つマダニに吸血されることで感染します。マダニは何日も時間をかけて吸血しますが、刺されてすぐに感染することは無く、1~2日間以上の吸血で感染の危険が高くなるといわれています。
ボレリアにはいくつかの種類がありますが、日本ではほとんどがBorrelia gariniiという種類です。国内では北海道での報告が多いのですが、ヨーロッパや米国など国外で感染したと推定される例もあります。
ライム病の症状は、まずマダニが皮膚を刺した部位の皮膚症状や発熱、頭痛、だるさといったインフルエンザに似た症状に始まり(初期)、次いで全身にボレリアが散らばり様々な臓器の症状が出る時期(播種期)、そして数ヶ月から数年経って移行する慢性期に分けられています。
初期の皮膚症状として遊走性紅斑が特徴的といわれ、ときに紅斑の中心が抜けて環状に見えます。播種期には関節痛、筋肉痛、顔面神経麻痺などの神経症状、不整脈などの循環器症状など多彩な症状が現れます。慢性期には関節炎、神経症状などが現れます。
原因となるボレリア属の細菌自体を検出することは難しいため、症状と血液検査に加え、マダニに咬まれたということがある、あるいはライム病発生が多い地域に行ったという状況を考慮して総合的に診断されます。
治療には、抗生剤が投与されます。予防のためには、マダニに刺されないように肌を露出しないようにしたり、虫除けを使ったりします(ちなみにマダニは昆虫では無く、クモの仲間です)。とくにマダニが活動する初夏から秋に注意が必要です。マダニは皮膚にしっかりと口器を差し込むので、無理にはがそうとすると口器が皮膚に残ったままになったりして、かえって感染の危険が高くなると言われていますので、そのまま皮膚科を受診するようにしてください。マダニが取れたときは、そのダニを持って皮膚科に受診していただくと診断の際に参考になります。
分 類 | 報 告 |
---|---|
1類感染症 | 報告がありません |
2類感染症 | 結核が14件報告されました |
3類感染症 | 腸管出血性大腸菌感染症が2件報告されました |
4類感染症 | デング熱とライム病が各1件報告されました |
5類感染症 | 報告がありません |
■基幹定点
マイコプラズマ肺炎が1件報告されました
■眼科定点
流行性角結膜炎が12件報告されました