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第34週、A群溶血性連鎖球菌咽頭炎は、定点把握をしている感染症のなかで第5位でした。今年は特に5月、6月に患者報告数が多くなっています。例年7月以降減少し、夏期から秋期にかけては患者報告数が少なくなりますが、今年は減少しているものの例年よりやや多めで推移しています。
A群溶血性連鎖球菌による感染症には、急性咽頭炎や猩紅熱、丹毒、劇症型溶血性連鎖球菌感染症などがあり、感染症法で報告の対象になっているのはA群溶血性連鎖球菌咽頭炎と劇症型溶血性連鎖球菌感染症があります。また感染後に起こる合併症としてリウマチ熱、急性糸球体腎炎が知られています。
咽頭炎では、咽頭や扁桃の炎症に加え、苺舌といわれる特徴的な舌所見が出現、発疹が現れることもあります(猩紅熱)。丹毒は皮膚の浅いところの炎症で、痛みを伴う、境界のはっきりした紅斑がみられます。いずれもペニシリン系抗生物質により治療をしますが、リウマチ熱、急性糸球体腎炎といった合併症を予防するため症状改善後も医師の指示通り服用する必要があります。
劇症型溶血性連鎖球菌感染症は、A群溶血性連鎖球菌による敗血症であり、咽頭痛、38度以上の発熱、四肢の筋肉痛などで始まり、急激に病状が進行し、数十時間のうちに種々の重篤な合併症をきたし多臓器不全、ショックに至ります。抗生剤治療、さらに病状に応じた集中治療を行いますが、約30%の患者さんが死亡しています。
劇症型溶血性連鎖球菌感染症の報告数は、全国的に2011年は2006年から2010年と比べ倍増しています。今年は34週の時点で昨年の同時期よりも報告数が多くなっています。京都府においても今年は既に8例の報告があり、昨年の同時期と比べても多くなっています。
分 類 | 報 告 |
---|---|
1類感染症 | 報告がありません |
2類感染症 | 結核が8件報告されました |
3類感染症 | 腸管出血性大腸菌感染症が4件報告されました |
4類感染症 | 報告がありません |
5類感染症 | 後天性免疫不全症候群が1件報告されました |
■基幹定点
マイコプラズマ肺炎が5件報告されました
■眼科定点
流行性角結膜炎が7件報告されました