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第33週、デング熱が1件報告されています。デング熱は、蚊が媒介するウイルス感染症の一つです。現在国内での流行はありませんが、日本にいるヒトスジシマカは、この原因ウイルス(デングウイルス)を媒介することができ(直接ヒトからヒトには感染しません)、第二次世界大戦中に長崎市、神戸市、大阪市などで流行したことがあります。
他にチクングニヤ熱という、デング熱に似た病状を呈するウイルス性疾患(原因ウイルス:チクングニヤウイルス)もヒトスジシマカなどが媒介するため、デング熱同様日本国内での流行の可能性がありうると指摘されています。両者の区別は症状からだけでは困難であるため、抗体検査やウイルスの検出により行います。
他に蚊が媒介するウイルス感染症のうちウエストナイル熱が現在アメリカで流行しています。とくにテキサス州での感染者の報告が多くなっています。ウエストナイルウイルスに感染しても約80%は症状が無く(不顕性感染)、約20%は高熱(39度以上)、筋肉痛、発疹などを生じます。脳炎など重篤な症状をきたすのは約1%程度と言われています。
なお、ウエストナイルウイルスは鳥と蚊との間で感染サイクルが維持されており、感染したヒトが感染源となることはないと考えられています。蚊が媒介する疾患は、熱帯、亜熱帯地方に限ったことではありません。旅行時には、当地の感染症の状況を事前に外務省海外安全ホームページ やFORTH(厚生労働省検疫所)ホームページ などで確認して対策をとるようにしましょう。
さて、昨年はRSウイルス感染症の報告が、例年よりも4〜5週早い時期から増え始めていました。ピークとなる時期は例年と同様、年末でしたが、京都府ではピーク時の報告数は全国レベルよりも少なめでした(2011年第50週 定点当たり全国1.18、京都府0.56)。今年はこれまでのところ、昨年同様にRSウイルス感染症の報告が増え始めています。
RSウイルスには、2歳までにほぼ100%が感染するといわれています。年長児や成人では重症化することなく普通の風邪症状で済んでしまいますが、乳幼児の患児では、喉や鼻といった上気道にとどまらず、肺の奥に炎症が拡がり細気管支炎や肺炎を合併することがあります。細気管支炎を合併すると、気管支に痰があふれて空気の通りが悪くなりゼイゼイと喘鳴が出現し呼吸状態が悪化、入院治療を要する場合もあります。とくに4週未満の乳児では、呼吸器の症状がはっきりしないまま無呼吸をきたすことがあります。また細気管支炎が治った後に、数年間にわたり喘鳴が出やすくなることがあります。
分 類 | 報 告 |
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1類感染症 | 報告がありません |
2類感染症 | 結核が3件報告されました |
3類感染症 | 腸管出血性大腸菌感染症が2件報告されました |
4類感染症 | A型肝炎とデング熱が各1件報告されました |
5類感染症 | 後天性免疫不全症候群・梅毒と風しんが各1件報告されました |
■基幹定点
報告がありません
■眼科定点
流行性角結膜炎が5件報告されました