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通常、レンサ球菌に感染しても無症状のことも多く、ほとんどは咽頭炎や皮膚の感染症にとどまりますが、まれに通常は細菌が存在しない組織(血液、筋肉、脳脊髄液など)にレンサ球菌が侵入することで、急激に症状が進行する重篤な疾患となることがあり、これを「劇症型溶血レンサ球菌感染症(STSS)」と呼んでいます。子どもから大人まで広範囲の年齢層に発症しますが、特に大人に多く、小児が多く罹患するA群溶血性レンサ球菌咽頭炎(5類定点把握疾患)とは区別されています。
現在、全国的にSTSSの発生報告が相次いでおり、京都府内でも同様の状況となっています。
2024年では第26週までに22件が報告されており、すでに前々年度(16件)、前年度(14件)の年間累積報告数に達している状況です。過去十年間のデータと比較してもこれまでにないスピードで報告数が増加しています。
40代以降での報告が多いものの、2024年では10歳未満や10代での報告がありました。
A群が一番多く、次いでG群が多く検出されています。
A群溶血性レンサ球菌咽頭炎との関連
STSS患者数増加の原因は詳しくわかっていないものの、A群溶血性レンサ球菌咽頭炎患者の増加が要因の一つの可能性として考えられています。京都府においてもcovid-19の感染対策に伴い、A群溶血性レンサ球菌咽頭炎の定点当たり報告数は減少していましたが、2023年の後半以降から高い水準で推移しています。
主にA群溶血性レンサ球菌(Streptococcus pyogenes)により引き起こされます。その他にB群、C群、G群溶血性レンサ球菌が原因となることもあります。
飛沫感染、接触感染、創部感染がありますが、感染経路不明の場合も多くあります。
初期症状は咽頭痛、発熱、四肢の痛みや腫れ、全身倦怠感、血圧低下などですが、明らかな前駆症状がない場合もあります。発病から病状の進行が非常に急激で、発病後数十時間以内には軟部組織壊死や播種性血管内凝固症候群(DIC)、多臓器不全(MOF)を起こし、ショック状態から死に至ることも少なくありません。
集中管理のもと、抗菌薬の迅速な投与を行い、壊死している組織の除去を行います。
特別な感染予防法はなく、基本的な感染防止対策が有効です。また、急激に進行する創部の発赤や腫れ、痛み、発熱など感染の兆候が見られた場合は直ちに医療機関を受診して下さい。
劇症型溶血性連鎖球菌感染症とは|国立感染症研究所(外部リンク)
劇症型溶血性レンサ球菌感染症(STSS)|厚生労働省(外部リンク)
劇症型溶血性レンサ球菌感染症(STSS)の診療指針|国立国際医療研究センター 国際感染症センター(外部リンク)
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