インフルエンザ |
昨年末、第50週から第51週にかけ、インフルエンザ患者さんの1定点あたりの報告数が全国で1.41から2.06と増加、京都府でも0.76から1.15と増加し流行入りの目安である1.0を超え、全国から1週遅れで流行入りしました。今後、本格的な流行期に入っていくものと考えられます。
国立感染症研究所の先月の速報では、新型インフルエンザウイルス(A/H1N1)の検出数が増加、一方でA香港型インフルエンザウイルス(A/H3N2)が減少し、新型インフルエンザウイルス(A/H1N1)の検出数がA香港型(A/H3N2)のそれを上回りました。また新型インフルエンザウイルス(A/H1N1)に対する抗体の保有状況が国立感染症研究所で調査されており、昨年12月に速報が出ています。それによると、10〜14歳、15〜19歳の年代で40倍以上の抗体価を有する人の割合が各々65%、64%と高く、一方0〜4歳、50歳以上の年代では13〜24%と低目になっているという結果でした。抗体はウイルスなどの病原体に感染したときに人の免疫系が作る蛋白で、抗体価はウイルスなどの病原体に対する抗体の量を反映し、抗体価が高いほど作られている抗体が多いことを示します。インフルエンザの場合には、40倍以上の抗体価があれば、罹患しても重症化予防の効果があるといわれています。抗体保有率の低い年代の方や重症化のリスクのある方(高齢者や基礎疾患(慢性疾患)を持つ方、妊婦や乳幼児)はワクチン接種を検討するようにして下さい。型の違いにより対処法が変わるわけではありません。引き続き手洗いやうがい、咳エチケットを心がけて下さい。睡眠不足や過労を避けることも大切です。
(2011年1月11日更新)
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インフルエンザの場合、流行入りの指標は定点医療機関当たりの患者報告数が1.0以上になることです。第48週はインフルエンザの患者さんの定点あたりの報告数が1.0を超えた県、すなわち流行入りした県が特に九州において増加しています。京都府と近隣の府県では定点1.0を超えたところはありませんが増加傾向にあります。今後も流行入りする地域が拡がるでしょう。
今年は、これまでのところA香港型(A/H3N2)が新型インフルエンザ(A/H1N1)より多く報告されています。新型インフルエンザ(A/H1N1)は昨年小中高生の罹患者が多かったため、この年代で抗体保有率が高くなっていますが、罹患者の少なかった年代(乳幼児や50歳以上の中高年)では昨年罹患者が少なく、したがって抗体保有率も低いため今シーズン罹患の危険が高い年代です。インフルエンザワクチン接種の効果が期待できるようになるのは、接種から約2週間後からといわれています。高齢者や基礎疾患(慢性疾患)を持つ方、妊婦や乳幼児といった重症化のリスクのある方や希望される方は早めに接種をするようにしましょう。
また感染性胃腸炎も増加しており、市内の一部では警報レベルに達していますし、冬期に増加するRSウイルス感染症の報告数も増えており今回5位に入りました。
冬期には、インフルエンザだけではなくRSウイルス感染症、感染性胃腸炎(この頃は主にノロウイルスによる)といった子供でよくみられる感染症の報告が多くなります。これらの感染経路の多くは、接触感染、飛沫感染ですので、普段からの手洗いと感冒症状のあるときには咳エチケットを心がけるようにして下さい。
(12月13日更新)
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全国的にインフルエンザの報告が増えてきています。特に北海道での報告数が多くなっています。昨年は別として、例年より早い段階で流行のピークに達する可能性があり、京都府でも今後さらに増加していくと予想されます。現時点ではA香港型が主体で推移しています。
昨年(2009/2010のシーズン)に新型インフルエンザ(A/H1N1)が流行するまでは、A型インフルエンザはA香港型(A/H3N2)あるいはAソ連型(A/H1N1)が主体でした。2007/2008のシーズンには、久しぶりにAソ連型の流行が到来し、A香港型の占める割合が減少しました。2008/2009シーズンもAソ連型が主体でしたが、その後の2009/2010シーズンに新型インフルエンザが他を圧倒するようにパンデミックを起こしました。今年も新型インフルエンザについては注意する必要がありますが、現時点ではA香港型の割合の方が多くなっています。
インフルエンザの症状は型により特異なものはありませんが、A香港型インフルエンザウイルスはAソ連型よりも重症感が強いと言われており、インフルエンザ脳症の多くがA香港型の感染に伴って発症しています。A香港型は“季節型”ですが、“季節型”だから軽い症状で済むというわけではありません。A香港型が過去2シーズンは流行の主体ではなかったことも考え合わせると、高齢者やお子さんだけではなく各年代で充分注意しておく必要がありそうです。ワクチン接種をすることでインフルエンザに罹患したとしても重症化を予防することが期待できますから、インフルエンザワクチンの接種をするようにしましょう。
(11月29日更新)
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今年は9月以降、昨年流行した新型インフルエンザウイルス(H1N1)だけではなく、昨年にはほとんどみられなかったA香港型インフルエンザウイルス(H3N2)の集団発生もあり、学年(学級)閉鎖などの対応がとられています。現時点で流行といえる発生数ではないものの、昨年を除けば例年よりも学年(学級)閉鎖が行われる時期が早く、例年よりも流行のピークが早くなる可能性もあると思われます。また昨年ほとんど報告のなかったA香港型インフルエンザウイルス(H3N2)に感染する方が増える可能性もあります。
昨年の流行では、新型インフルエンザ患者の大多数は若年者で、高齢者は少なかったのですが(推計受診者数は約2060万人(2009年第28週〜2010年第10週)、そのうち0〜14歳が約60%)、高齢の新型インフルエンザ患者に重症例が多い(とくに呼吸器などに持病がある方)という特徴がありました。また季節型インフルエンザでは重症者が少なかった40〜50歳代の患者さんで、重症者が多かったということも分かっています(その理由はよく分かっていません)。
インフルエンザワクチンはインフルエンザ発症の予防や重症化の予防に効果が期待できます。インフルエンザワクチンの効果は6ヶ月ほどすれば無くなりますし、流行するインフルエンザウイルスの型は変わります。重症化のリスクが高いといわれる方(慢性呼吸器疾患や慢性心疾患、糖尿病などの代謝性疾患、腎機能障害、ステロイド内服などによる免疫機能低下、妊婦、乳幼児、高齢者)には特にワクチン接種が薦められますので、かかりつけの医療機関でご相談ください。
なお、ワクチン以外にも日常的な対応策も重要です。インフルエンザは飛沫感染(患者さんが咳などをしたときに飛び散るウイルスを含んだ小さい水滴が他の人の呼吸器に着いて感染)や接触感染で拡がります。体力が落ちないように栄養をとり、睡眠を充分とるようにするだけでなく、流行時に人混みを避けたり、手洗いやうがいを習慣としたり、咳エチケット、マスク着用で感染予防、感染拡大予防を心がけて下さい。
(10月18日更新)
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10月から3価ワクチン(H1N1(2009)、A香港型、B型)、H1N1(2009)のみのワクチンの2種類がインフルエンザワクチンとして接種できるようになりました。
今年8月10日にWHOは新型インフルエンザ(H1N1(2009))が世界的流行の状況から脱したことを宣言しました。しかし、昨年の流行時にはほとんどみられなかったH3N2(A香港型)など他の型の割合が増えているものの、現在もインドやタイなどでH1N1(2009)を主体としたインフルエンザの地域的な流行が続いています。日本でも9月に入り、日本国内各地でH1N1(2009)やH3N2(A香港型)によるインフルエンザの集団発生があり学級閉鎖や学年閉鎖が行われました。しかし現時点では流行と呼べる状況にはありません。
昨年ワクチン接種をした方でもワクチンによって得られた免疫は弱くなっていきますし、昨年はほとんどみられなかったH1N1(2009)以外のインフルエンザウイルスにかかる方が増える可能性もあります。感染予防のため手洗いやうがいを行い、マスク着用といった対策を心がけてください。またワクチン接種により感染を100%防げるわけではありませんが、重症化の予防が期待できます。ワクチン接種も積極的に検討するようにしましょう。
(10月4日更新)
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