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だれもがしあわせを実感できる希望の京都をめざして
これまで京都府では、おおむね10年を計画期間とする「総合計画」を府政運営の基本として、京都府社会の基盤をつくり、それをいかしながら新しい京都づくりに取り組んできました。しかしながら、私たちの暮らしを取り巻く経済・社会は、激しい勢いで変化しており、こうした変化にも的確に対応しながら府政運営を行っていくことが必要となっています。
このため、京都府では、時代や情勢の変化に機動的に対応しつつ、体系的にしっかりと府政を進めていけるように、これまでのような10年一括の「長期」の「総合計画」に基づく府政運営から発想を転換することとしました。具体的には、普遍的な行政運営の基本理念や原則等を示す「基本条例」、めざす将来の京都府社会の姿を示す「長期ビジョン」、それに向かう4年から5年間の戦略を示す「中期計画」、地域資源をいかして特色ある地域振興を進めるための「地域振興計画」の四つを策定し、これからの新しい京都づくりの指針としていくこととしました。
ここにお示しする「長期ビジョン」は、10年(2020年)から20年後(2030年)を展望しています。
ビジョンとは、将来の構想を表すもので、過去の傾向等から計量的に将来予測を行うものとは異なります。そのため、この「長期ビジョン」では、大切に守っていくべき京都府社会の普遍的な価値観を意識しながら、一人ひとりの生き方や暮らし方に視点を置いて、将来こうありたいという社会の姿を描いています。
京都府では、今後、その時々の京都府社会の姿(現状)をしっかり見据えて、その上に立って、この「長期ビジョン」が、その時、その時代のめざす姿であるのか、ふさわしい方向であるのかを常に点検しながら、府民の皆様とともに、しあわせを実感できる希望の京都づくりに取り組んでいきたいと考えています。
私たち人類は、地球規模での環境問題や、限りある資源・エネルギーや食料をこれからどのように確保していくのかといった問題に直面しています。これまでの大量生産・大量消費・大量廃棄の時代が終わりを告げ、「量」から「質」の時代へ、「もの」の豊かさを追い求めた時代から、人と人の絆きずなを結びすべてのものを思いやる、「こころ」の豊かさを求める時代へと向かう歴史的な転換点に立っています。
また、わが国においては、少子高齢化の進行、高度成長から低成長の時代への移行、経済・社会のグローバル化が進む中で、格差の拡大や貧困、地域コミュニティの崩壊の危機など、時代の変化に対応しきれない様々な課題が生じています。そして、多くの人々が日々の暮らしに不安を感じ、将来を見通すことができず、社会全体に閉塞そく感のようなものが漂っています。
このような中、世界の中でも早くに人口減少・長寿社会を迎えたわが国には、深刻化する地球環境問題や経済・雇用問題などに的確に対応しながら、新しい「質」と「こころ」の時代にふさわしい生き方や暮らし方、人と自然のかかわり方や持続可能な経済のあり方を自ら実践し、世界に示していくことが期待されています。
ここ京都には、人間も自然の一部と考える自然と調和した生活文化が息づき、歴史と伝統にはぐくまれた日本の文化が人々の暮らしの中に今も大切に受け継がれています。また、人々の間には、豊かで洗練された人間関係をはぐくむ感性と、本物をこよなく愛する心、新しい時代を切りひらく進取の気風があふれています。そして、地域に生きる人々によって築き守られてきた、多様で個性と魅力に満ちた資源や資産があります。
私たちは、「人」と「知恵」と「時」と「地域」が築き上げてきた比類なき「京都力」の上に立って、多くの人々が住み暮らしたくなるような社会をつくりあげ、その中で社会に不可欠な人の絆きずなとコミュニティを再構築していきたいと考えています。そして、地球環境問題や長寿社会の到来を経済・社会の新たな発展の機会とするために叡智えいちを結集しながら、「質」の時代、「こころ」の時代を先導し、世界に発信し貢献する新しい京都の実現に向かって進んでいきたいと考えています。
京都府はここに新しい時代へのビジョンをお示しし、府民の皆様とともに、豊かな人間性にあふれ、いきいきと活動できる京都、環境と文化が持続・発展し、社会と生活の質を高めるために新しい価値の創出に挑む京都、そしてすべての地域が将来の希望に輝く京都をつくり上げていきたいと考えています。
2020年ないし2030年の将来を展望して、私たちがめざそうとする京都府社会の姿は、以下に示すようなものです。
新しい時代の京都。そこでは、社会を覆う不安と閉塞そく感が取り払われ、個人の尊厳と人権、多様な価値観・生き方が尊重されるために人々が助け合い、一体感のある社会が築かれます。そして、そのもとで、だれもが豊かな人間性をはぐくみ、自立と自分の夢の実現に向かって持てる力を開花させることができ、しあわせを実感できる社会が実現します。
新しい時代の京都。そこでは、行政、企業、大学、NPOなど多様な組織が対等の立場で水平的に結び付き、公正を信義とするゆるぎない社会が築かれます。そして、そのもとで、それぞれが社会的責任と役割を担いつつ、自らの目標に向かって自由かつ闊達に活動し、公共の福祉や地域への貢献を果たしながら、社会に進歩と活力をもたらす新しい多元的な社会が実現します。
新しい時代の京都。そこでは、鮮やかな四季の変化が織りなす豊かで多様な自然や生態系、優れた景観、永い歴史にはぐくまれた伝統文化、芸術文化など、京都が世界に誇るかけがえのない環境や文化が、府民一人ひとりの熱意と努力により大切に守られる社会が築かれます。そして、そのような環境や文化がさらに発展し、次の世代にしっかりと引き継がれる社会が実現します。
新しい時代の京都。そこでは、「もの」と「こころ」、伝統と革新、環境と開発、経済と文化、都市と農村など、これまで対極的に語られがちであった価値観が次の時代を見据えたより高い目標のもとで調和する社会が築かれます。そして、交通や情報通信などのイノベーションのもとで、多様な人、世代、産業や地域の間に活発な交流と協働が生まれ、その中から新しい価値がつくり出される社会が実現します。
新しい時代の京都。そこでは、豊かな自然や多様な風土、独自の歴史文化や特色ある産業を持つ府内のすべての地域が、壮大で夢のある将来を展望できる社会が築かれます。そして、地域に生きる人々によって個性と活力のある地域づくりが進められ、世界とつながり、未来に向かって光り輝く社会が実現します。
「人と絆きずなを大切にする京都」、「自由で多元性のある京都」、「環境と文化が持続し発展する京都」、「交流し価値を創造する京都」、「すべての地域が輝く京都」をめざし、以下の三つを基本方向として、京都づくりを進めていきます。
基本方向の第一は、だれもが安心して暮らせる京都づくりです。 |
わが国では世界のいかなる国も経験したことのない急速な少子高齢化が進み、高度成長から低成長への経済社会の変化もあいまって、子育て、教育、雇用、医療・福祉など様々な将来不安が顕在化し、社会全体に閉塞そく感を漂わせています。
私たちは、だれもが自由で、働くことを望む人みんなが働く機会に恵まれ、一人ひとりがそれぞれの個性や能力に応じて、持てる力を存分に発揮できる、希望とやりがいのある社会に生きたいと考えています。
喜びの中で生まれ、目標に向かって楽しく学び、生きがいを持って働き、安全に暮らし、そして安らかに生涯を終えることのできる安心社会の実現は、あらゆる人々の持てる力の開花をめざす京都にとって、何よりも求められています。
このため、安心の再構築により、だれもが人間らしく、生きがいを持って人生を全うし、家族とともに健康長寿をこころから喜べるような京都をめざします。
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基本方向の第二は、地域社会が信頼の絆きずなで結ばれ、つながり、支え合う京都づくりです。 |
経済・社会のグローバル化が進行する中で、経済的な豊かさを求める風潮や拡大・競争が続いています。また、社会の一部で行き過ぎた自己中心主義がまん延し、小家族化の進展や単独世帯の増加、地域コミュニティの衰退等とあいまって、人々のつながりが希薄化し、社会の中で孤立感や孤独感が広がっています。
私たちは、一人ひとりの思いが大切にされるためにも、人へのやさしさや思いやりにあふれた温かい暮らしに包まれ、互いを認め合い、ともに支え合う、こころの通った社会に生きたいと考えています。
このため、家庭をはじめ、学校や職場、地域などの絆きずなを強め、新しい時代にふさわしく、地域の共同体やNPOなどが自由で開放的に活動するコミュニティのある社会のもとで、互いに助け合い、弱い立場の人々をしっかりと支えることのできる京都をめざします。
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基本方向の第三は、時代の変化の先頭に立ち、新しい「質」と「こころ」の時代の要請にこたえる生活、産業、地域の新たな成長と発展を実現する京都づくりです。 |
20世紀の大量生産・大量消費・大量廃棄の時代が終わり、持続可能な地球環境の実現に向けて、「量」の追求から「質」の向上へと向かう生活革命が始まっています。
私たちは、社会を構成するすべての個人や組織、地域が、こうした時代の大きな転換を受け入れ、そしてそうした転換を発展の機会として捉とらえ、それぞれの目的の実現とともに、より良い社会づくりのためにいきいきと活動する京都に生きたいと考えています。
このため、豊かな感性と精緻ちな技につちかわれた伝統文化や芸術文化、高いブランド力と集客力を持つ観光文化、大学や高度な研究機関による世界水準の学術研究文化、先人たちの暮らしの知恵が染み込んだ生活文化などに、多くの人々がふれあい、親しみ、交わり、そして、そのことによって新たな文化が生まれる京都をめざします。
また、環境や文化の力をはじめ、ものづくりの技術や人材、知恵やネットワークなど京都の強みを最大限発揮して、化石燃料に多くを依存している家庭生活や仕事、移動などの様々なしくみを変革していくとともに、省資源・省エネルギーの要請に的確に対応する産業や流通のイノベーションを促し、高い環境適応性や高度な文化性を兼ね備えた地球環境時代にふさわしい産業社会の実現をめざします。
さらに、府内のすべての地域で特色ある地域づくりが展開し、それぞれの地域が希望に輝き、そして地域間の交流と連帯により府域が一体となることで一層魅力が増す京都をめざします。
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