「京の景観形成推進プラン」第2回検討委員会 概要と意見
第2回検討委員会 概要
1 日時
平成17年7月12日(火曜日) 午前9時30分から11時50分
2 場所
京都府庁職員福利厚生棟第1~第3会議室
3 議事
4 その他
- 第3回 8月2日(火曜日)
- 第4回 9月6日(火曜日)
いずれも14時30分から府庁福利厚生棟第1~第3会議室において開催。
次回までに、各委員には、「具体的施策」について考えておいていただく。
第2回検討委員会 会議風景
第1・2回検討委員会 意見交換まとめ
京都府の現状、特性
特性
- 農山漁村の集落景観が特徴
- 町屋の坪庭や奥庭の自然の取り入れ方が特徴
- 京都には「自然との折り合いの美学」が有る。自然という界を人間界が感じていた。
- 京都が100万人以上の人口を抱え1200年以上生き続けている要因は自然の豊かさ。
- 「取り残された京都」(近代化から落ちこぼれた部分)がある。
- 千年を超える歴史と文化から醸成された景観の重層性
社会的背景
- 景観法の成立は、これまでの画一性・合理性の流れのパラダイム転換のチャンス
(これまでは、技術革新や経済産業の発達により、伝統的なものを捨てて利便性や画一性を強調する流れ(一般的合理性))
- 景気が低迷している現在、開発と景観のバランスが取りやすい状況にある。今の時期をうまくターニングポイントに繋げていかなければならないと考えている。
現状
- 府(北部)の農山村集落では過疎、高齢化により、里山等地域の文化を象徴する景観が荒廃
景観形成に当たっての課題
行政
- 行政の施策継続性とクオリティーの確保
- 行政、住民の人材育成
法制度
- 景観という切り口による既存の法制度運用の再点検が必要
- 都市計画関連の規制緩和との整合性
- 全国一律の法制度が景観を壊してきた
住民支援
- 府民の思いが芽生えた初期段階、及び、花が開く段階で支援する仕組み
- 地域情報の発信
- 価値観の共有と、行政、住民、事業者の意識向上が重要(郷土愛)
- 「好ましい景観」を育てるためには、住民意識が最も大事
- 外観の保存だけではなく、内観の生活様式の維持についても問題がある。(京町屋に関連して)
場所
- 文化財保護法等で守られる建造物や庭園のバッファーゾーンの保全の方策
意識改革
- 外観のみを考えている。中身(内観、精神性)を考えることが重要
- 良好な景観を有していても価値観として共有されていない
- 伝統的なものも、情報化社会の中で、都市とステレオタイプ的に動いている
景観形成に当たっての基本理念
継承と発展
- 景観は「創る」ものではなく、「育てる」もの。前の世代が創ってきたものに少し手を加え、後世に引き継ぐ。(建築を自然生態系、社会文化の中に位置づける視点)
- 保全、育成し、「修復する」視点
- 環境(景観)の遺伝子を残し、復元し、それを基に新しくクリエーションできる。
周囲との調和と折り合い
- 家並みだけではなく、山、水面等の背景も含めて総合的に空間を捉える
- 都市は常に後背地の農村等周辺の支えの中で成立
- 街並み景観で重要なのは他者(建築物、自然、人の生活等)との関係(ネットワーク、文脈形成)
- 近代建築であっても自然と調和させているのが京都の特徴
生活(生業)との調和・交流による持続的発展
- 景観を成り立たせる諸要素の本質を踏まえた保全
- 観光、交流との関係が景観を守る循環を生む
- 景観、安心安全、経済合理性のバランス
- 地域の生活や生業を尊重する
- 経済活動との相関大。府内の資源をうまく循環させていく仕組み
- 暮らし方(ライフスタイル)そのものの建て直しが必要(農山漁村景観)
- 人の歩くスピードや魚のスピードでの景観も大事に
- 現在、生きている人間にとって暮らしやすい景観形成を行う必要
価値観の共有
- 良好な景観を資産として捉える視点
- 価値観の共有と住民意識の引き出し
- 時代に応じて価値観を変えていくことも必要
「景観」の特質
- 景観は公共性が高いもの。(ヨーロッパでは社会的共通理解として認知されている)
- 生活や生業に支えられた安心感のある「心地よい景観」が美しい景観
- 現在の景観も、戦後に形成されるなど、住民の意識により形成されたものもある
- 「きれいな夕日」や「きれいな新緑」など論理や理性に左右されない美しさもある
自然との調和
- 自然との因縁、畏敬を無視しては先に進めない。
- 自然そのままではない、人々の暮らしの生態系と物語性を伴う、文化で発酵させた自然景観
府県の役割
- 眺望景観
- 農地、アセスメント、公共事業
- 都市と農村との関係(リンク)やネットワーク(線で繋ぐ)
- 市町村との連携のあり方の提示(今回プランで)
景観形成の方向性
- 農山漁村部における四季折々の色彩(林相)に特徴が出せるのでは
- 地域のシンボルからの景観形成の視点
- 公共施設整備に併せた景観形成
- 景観に興味を持ち点検できる府民の育成
施策展開
- 電線地中化、無電柱化の推進
- 行政、住民の人材育成
- 経済や交通問題とも関係する。総合的取組により景観が生き返っていく仕組み