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『地域資源の連携と景観まちづくり』
平成27年12月11日(金曜日) 午後1時30分~午後4時30分
向日市民会館 第1会議室
(主催)京都府、京都府都市計画協会、(共催)向日市
京都府景観資産登録地区、NPO等のまちづくり団体、府民、府及び市町村職員 等 62名
(1)講演
「生きている地域資源とその魅力~向日市の歴史的風致とまちづくり~」
講 師 : 京都大学大学院 教授 神吉 紀世子 (かんき きよこ)氏
【講演内容】
1.地域の成り立ちそのものとしての『景観』
・『景観(とりわけ文化的景観)』は見た目だけでなく、地域の成り立ちそのもの。
・「興味深い・驚くべき」対象、「BeautifulでなくInteresting」なものと考えるべきであり、地域づくりの意味や歴史、苦労、成果等を説明・理解して初めて、その素晴らしさが分かる。
2.地域に備わる『景観』として理解される価値の発見とその実態化(=まちづくり)
・また、1つの景観・場所は、過去の様々な時代・経緯の結果で、幾重もの層・価値体系(Value System)から成る。
色々な価値の見出し方・切り口があり、各歴史的風致も個々の価値体系。
・地域の仕組自体を今後どう発展させていくか、どう伝え・理解してもらうかが、重くかつ面白い課題。近年は進化的保全(evolutive conservation)や活動的保全(active conservation)が提唱され、都市計画・農村計画として支える、色々な人が協力できる状態を作る等の実態化が考えられる。
・その際、各景観要素の価値付け方や価値体系同士の整理(文化財or地域づくり資源)も必要。
3.向日市歴史的風致維持向上計画の魅力と今後
・同計画の最大の魅力は、市域のほぼ全域が計画区域であること。
また、歴史的風致の時代幅が広いこと、各風致が様々に重なり合っており、一箇所で複数テーマを同時に扱えることも魅力。
・文化的景観に比べ、歴まち計画は一般にアクションを起こしやすい器。
これから価値の実態化の段に移るが、全域が計画区域であることを活かし、都市計画等と併せて取り組むのはどうか。
(2)ディスカッション
「地域資源の連携による新たな景観まちづくりの可能性」
【主な意見】
1.続ける工夫(=大きな活動や事業以前の活動のベースとしての『継続』)
・細長く繋げる・届くべき所に届かせる等の工夫により、集まりを維持することが先ず重要。
・各種表彰やコンクール、写真掲載、行政職員の地域活動への参加等は活動の大きな原動力。
2.繋がる・繋げる工夫(=主体的な活動の上に求められる外部との協力・参加・連携の仕方)
・上手くいく地域活動には、活動の各時期に行政主導ではない形での行政サポートが必要。
行政には、全体を俯瞰する中で関連あるものを繋げるという考え方のもと、支援してもらいたい。
・行政側としては、複数市町が一体的に動くことは難しい部分もあり、住民等と相談しつつまちづくりを進める中で、地域活動レベルでの連携から行政レベルでの連携へと深められると良い。
・活動主体との歩み方・色々な人との繋がり方(学者や学生の使い方、行政職員の巻き込み方、多面的な活動の打出し方(景観or環境or教育) 等)を意識して進めると物事が前進しやすい。
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