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「京都府景観フォーラム」の開催内容、開催結果は下記のとおりです。
京都府では、府域の魅力ある景観を保全し、育成し、また、新たに創造して、次の世代に引き継ぐための施策を総合的に進めるため、その土台となる条例制定に取り組んでいます。
平成18年8月から9月にかけ、府内の4つの地域毎に、円卓会議形式により景観やまちづくりに関する活動団体や行政関係者などによる意見交換会を実施し、今後の条例の検討や景観に関する取組に反映させるため、京都府景観フォーラムを開催しました。
ちらし.pdf(PDF:852KB)
平成18年9月2日(土曜)午後2時~4時30分まで
山城広域振興局宇治総合庁舎(宇治市)
<進行役>門内輝行 京都大学大学院工学研究科教授(条例検討委員会座長)
<円卓会議>11名
<傍聴者>51名(一般募集)
「山城地域の景観の魅力を発見し、育て、活かす」
(条例内容についての意見や質問など)
・条例(案)の基本理念はとても良いと思うし、景観資産登録制度はおも しろいものだが、登録後の姿がわかりにくい。
・景観教育について、小学生を対象にかかれているが、中学・高校生も対象に行わないと、景観は守れないと思う。
・行政の作為・不作為に対する住民の発言権と行政の誠意対応義務を明確にしてほしい。
・景観を考える上で営みをはずすことは出来ず、景勝空間だけでなく、生活空間を考える必要があると思う。
・守る景観ばかりでなく、時代と共に作っていく景観を取り入れてほしい。
(景観づくりにおいて行政(府・市町)に望む支援策は?)
・景観保有機構のようなものが必要になるのではないか。
・宅地開発について、景観サイドで何か規制が出来ないか。
・道路建設・デザインが景観に影響を及ぼしており、道路計画時に住民意 見を取り入れたり、景観サイドからの検討をお願いしたい。
(景観づくりやまちづくりを進める上での課題)
・景観を考える上で、生業を抜きには出来ず、土木関係だけでなく、商工関係等との分野を越えた連携が必要である。
・プロの教育が必要である。(行政、建築、デザイン、クライアント等)
(住民協働の景観づくりのアイデアは?)
・都会の人が農村地域で生活するために、相談を受けたり、アドバイスをするその地域に詳しい地元のコーディネーターを設けまた、移り住んだ人の経験(マーケティング等)による指導をいただいたりと、人のつながり(交流)が大事である。
建築分野だけでなく、多方面から御意見をいただいた。
景観づくりには、まず、地域の多くの人々が、地域を見て、良いものも悪いものも発見していくことが大事であり、まずは見る目の育成から取り組んでいかなければならない。
山城地域には、良いものがたくさんあり、地域の人々が発見し、育て、引き継いでいくために、景観条例がバックアップできるもの、「景観権」が確立できるようなものとなるよう考えていきたい。
平成18年9月10日(日曜)午後2時~4時30分まで
ガレリアかめおか(亀岡市)
<進行役>深町加津枝 京都府立大学人間環境学部助教授(条例検討委員会委員)
<円卓会議> 9名
<傍聴者>40名(一般募集)
「南丹・ふるさとの景観資源の保全と創造」
(大事な景観・風景とはどのようなものか?)
・保津峡の景観は単なる自然景観ではなく、物流のために開削された歴史があり、水運の文化的景観である。
・保津橋は高さを低く抑え山並みと調和がとれていて良いと思う。
・保津川では竹林を堤防の代わりとしていた特徴的な景観が残っている。
・自分でもう一度造れるものなら壊してもいいが、そうでないなら残すべき。
・豊かな自然、自然と共生できるまち。
・伝統的な歴史あるまち。
・都市との交流や来訪者の意見を聞く中で、かやぶきの良さを認識し、誇りを持てるようになった。
・美山の自然景観が一番の誇り。美山の自然を活かした生業。
・地域の人によって保全され、みんなでまちづくりをしているところが良いまちだと思う。
(悪いところ)
・馬堀駅付近の高層ビルは、周囲の町並みとスケール感が違いすぎて違和感がある。また、山の上の鉄塔も気になる。
・駅ホームの広告看板により素晴らしい風景が見えない。
(景観を活かし守っていくための問題点や課題、意見)
・市民、行政、企業が共通の意識や価値観を持って一緒に考えていくことが重要。(情報の共有化、意識の共有化)
・文化財や古い建物を守り、城下町の修景等に取り組みたいが、助成や保護がほとんどないため、公共でサポートするシステムが必要。大事なものを守るための術を早急に出すべき。
・住民が自然を認識していない。地域の人に自分のまちを知ってもらい、将来のまちづくり・地域づくりに活かしていきたい。
・現在の学校教育では地域のことを学ぶ機会が少ないが、地域のことを知ることがスタートであり基本。
・昔ながらの町屋が十分に活かしきれていない。地域住民の景観に対する意識向上が必要。
・景観法や景観条例の制定が遅かったのでは?
・大型店についても地域の景観に配慮して欲しい。
・農林、土木、教育等それぞれの部門が共同し、総合的に景観への配慮に取り組むべき。
・景観形成の土台づくりとして、短期的に対応できる財政支援等が必要では?長期的には、子供達にふるさとへの思いを持ってもらうような人づくりが重要。
・かやぶき等の景観を守っていくためには、土台となる住民の暮らしを守らなければならない。
・景観と観光の両輪で今後ずっと進めていくためには、後継者が必要。
・農地・山林保全については、集落の高齢化により5年10年先の見通しのつかないような危機的な状況。広域的な視点での支援が必要。
・みんなが同じ意識・感覚を持てるようにすることが重要。
(問題解決のために条例の中に盛り込めるものや提言)
・住民の意識向上が重要であるため、普及啓発については強調して欲しい。
・各部門で連携をとりながら、農山漁村の景観保全についての支援策を具体的に示して欲しい。
・住民が参加するのでなく個人が参加できるシステムを組み入れて欲しい。
・建物を残したり建て替える場合、耐震・耐火の問題があるため、それらを条例に入れるべきでは?
・条例をつくるのに何かコンセプトがあってもいいのでは?
・アドバイザー制度については、技術的なことだけでなく、全体として物語を伝えていけるような仕組みができると良いと思う。
・まずは一人一人が地域の良さを認識し、行動につなげ、一緒に地域の景観を考えていく。そのことが、長期的には人づくりにつながる。
・様々な情報を交換し、長期的な地域景観の方向性を考えていく視点が必要。また、それらを実行する中で、短期的に助成や人の手だて等が必要となる場合もある。
・行政は、様々な部局が共同で大きなビジョンを持ち、それぞれの立場で関わっていくことが重要。
平成18年9月9日(土曜)午後2時~4時30分まで
舞鶴市政記念館(舞鶴市)
<進行役>金田章裕 京都大学大学院文学研究科教授 (京の景観形成推進プラン検討委員会委員)
<円卓会議>8名
<傍聴者>58名(一般募集)
「中丹三都の景観づくり~今むかし、そしてこれから~」
(条例内容についての意見や質問など)
・景観登録制度において、どこにでもありそうな空間、日常的な景観をきちんと位置づけてほしい。
・条例の施策展開に当たっては、山林事業や農村人口を増加させるような事業と景観づくりを結びつけることが大事である。
・市民の声を取り上げた条例づくりをお願いしたい。
・条文上、景観をよくするための府の具体的な支援措置(財政面等)を唱うべきである。
(景観づくりにおいて行政(府・市町)に望む支援策は?)
・認定NPO法人の緩和や税制上の措置など、団体が活動しやすい体制づくりをお願いしたい。
・地域の高齢化により、荒れた山林、棚田等がかなりある。若い人の居住人口を増やし、活性化していかないと景観は守れない。こうした面から行政としても施策を検討されたい。
(景観づくりやまちづくりを進める上での課題)
・景観法について知っている市民は少ない。まちづくりの主役は市民であり、パブリックコメント等の実施により広く情報共有し、市民との協働を図っていくことが重要である。
・良好な景観の概念は非常に主観的である。例えば、電柱が立ち並ぶ景観も戦後復興期を映し出す景観とも解釈できる。多くの人にオーソライズされた景観、そこに暮らす人々が良好と判断する景観が良好な景観であろうが、コンセンサスを得るにはかなりの時間を要するのではないか。
・景観の重要性をどんどん発信していくべきである。
・暮らしの中に素晴らしい景観の要素があり、景観は生活そのものである。
・景観は時代や人々の見方によって変わっていくもの。また価値観が変われば景観の受け止め方も変わっていく。
・かつての見慣れた里山の風景は輸入材の普及や燃料需要の転換でその維持理由が喪失しており、今後どのようにしていくかが課題である。
・こうした中、景観について私たち一人ひとりが重要視して考えていくことが大切である。
平成18年8月31日(木曜)午後2時~4時45分まで
国民年金健康センター丹後おおみや(京丹後市)
<進行役>谷口知弘 立命館大学経営学部助教授(条例検討委員)
<円卓会議>11名
<傍聴者>28名(一般募集21名、行政6名、報道関係者1名)
「丹後の魅力を深める住民協働の景観づくり」
(「景観」に対する意見、課題など)
・既にいろいろとある異質な建造物について、もう統一(まちなみを揃える)、強制はできない。
・統一されていない建造物が各種資料に掲載されることが良くあるが、(掲載されることが悪いとは思わないが)我々の目指しているまちづくりと少し違う気がする。
・それぞれ地域ごとの特性があり、画一的に造られたまちなみがいいのか疑問である。あくまでも、生活をしているまちなみがベースであり、そのまちなみの良さを知った人々が訪れるのは大いに賛成である。 歴史と文化の特色あるまちづくりをすることが一番である。
・ 形は洋風でも仕上げの素材がポイントとなる。 洋風、和風で区分するのではなく、素材で判断すればいいのではないか。
・行政には全く暖かさがない。住民同士の繋がり、行政と住民の繋がりが大切である。
・日本は景観を造ることに失敗した。コンパクトシティーを目指すべきであり、思想なき開発を進めてきた行政が悪い。きちんとした思想を持って取り組むべきである。
・景観に関わりを持たない人たちへの、景観とは何かという教育が必要である。
・行政・民と区別する必要もないのかもしれない。
・新しい地域の観光と景観をどう繋げていくかが大切であるが、晴れやかなものを演出しないと観光は成りたたない。 人に言う前に大好きなまちをつくろう。大きなことを考えないで、自分の身のまわりのことで、やれることからやればいいと思う。
・自分が暮らしていていいまちでないと、人は来ない。
・ このフォーラムのような機会は有意義であった。今後も、地域一体となって連携しながら進めていくことが大事である。
・良好な景観形成には、ゆっくり、時間がかかるものである。人と人との心を繋いでいくことが大切である。
・まちおこしというものは、最初は行政が仕掛けても、民間へ移行して民間が主体となり、行政はそれを援助する側にならないとうまくいかない。
・景観からまちづくりの話へと拡大もできた。色、形だけでなく、これまで育んできた歴史も踏まえて取り組んでいくことが重要である。
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