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平成17年4月11日(月曜)午後2時30分~午後4時30分
京都府西別館401会議室
【委員からの主な意見】
資料の民生対策部分及び参考資料について各委員から意見をいただいた。
・参考資料1では京都府における300リットル未満の小型冷蔵庫の普及率が全国的に低い結果になっているが、学生の多い京都では逆のような気がする。学生以外の単身者などの動向もあると思われるが、現在の大学生の実態として、下宿等での冷蔵庫が大型化する傾向があるのか。
・大学生協で実施している(卒業生が就職等により不要になった家電製品を在学生用に流通させる)家電リユース市等の取り組みからは、学生について家電製品が大型化している傾向は見られない。
・住宅における省エネルギーを考えるとき、欧州等で普及しつつある(屋根や外壁等を断熱素材で被覆した)外断熱住宅の普及促進について考慮する必要があるのではないか。冷暖房効率の向上だけでなく、住宅寿命の向上による省エネにより、温室効果ガスの排出量削減が期待できると思われる。
・外断熱住宅については、寒冷地での省エネ効果はあると思われるが、夏の暑い京都においては(通風のため窓を開放することが多いことから)一概にその性能を評価できないと考えられる。
・京都でも窓を開けるとビルの外壁が迫っているような住宅密集地では、自然の通風が期待できず、冷暖房については機器に頼らざるを得ないことから、外断熱住宅の省エネ効果はあると考えられる。
・(建築基準法上の既存不適格建築物が密集する)隣地の建築物との空隙の少ない地区では、工法上の制約等で外断熱住宅の建築は難しいのではないか。そもそもの問題として、(既存不適格建築物の改善などの)住宅密集地をつくらないことが重要なのではないか。
・家庭におけるエネルギー使用の実態調査で、府北部地域では冬季の光熱費に月8万円も支出している家庭があるなど、多くの家庭で住宅の断熱性能が低いため多量のエネルギーを浪費している状況にあることがわかった。家庭における省エネルギーを推進するために、住宅の断熱性能を高めることが重要であることは間違いないと考えられる。
・どのような方法によって省エネルギーによる光熱費の削減ができるかを指南するための、家庭版ESCO(のような制度やサービス)の検討が必要と思われる。
・京都府温暖化防止活動推進センターでは、環境家計簿に基づく家庭向けの省エネ診断の試みを行っている。
・省エネ診断については、まず効果(省エネ・光熱費削減)の大きいものから確認していくことが重要である。住宅改修による断熱性能の向上は効果が大きい。
・(住宅の省エネ改修メニューは色々あるが)壁や床の改修は費用がかかり大変である。その点、窓の改修は比較的安くて効果が大きく、窓枠を二重サッシにしたり、ガラスを断熱ガラスに変えるだけでもかなりの断熱性能が得られることから、まずは窓から省エネ改修の普及啓発を図るのが良いと思う。
・既存住宅でできる省エネ改修のメニューについて、費用対効果を説明したものをまとめる必要がある。
・賃貸マンションでは、光熱費は賃借人が負担するため、マンションの大家に光熱費を削減するための省エネ改修の意識が生まれない。学生向けの賃貸マンション等の多い京都では、大家の省エネ改修を促進させるような制度の検討が必要ではないか。
・学生向けの賃貸マンションについて(省エネ性能に関する)調査を進めて、省エネ性能の高いエコマンションガイドといったものを作成し、行政・大学が学生へ優先的に斡旋するような制度の検討も考えられる。
・事業者としての大学に、新入生オリエンテーションでの温暖化防止に向けた環境教育を義務化することも検討するべきではないか。
・学生マンション等で家具や家電製品などの什器付のタイプがあるが、省エネ性能の低い家電しかついていないものが多い。学生の多くは在学中のみの使用ということでイニシャルコストが割高な省エネ家電を購入しづらいと考えられることから、什器付賃貸マンションのオーナーに、建物の省エネ性能と併せて什器の省エネ性能の配慮を求める制度が必要である。
・大学生協にも省エネマイスターを設置して、学生が使用する家電製品等の省エネ化を図る必要がある
・賃貸マンションの維持管理面での省エネルギー配慮について、制度化を図る必要がある。
・民生の省エネルギー対策では、街中に無数に設置させている自動販売機について対策を検討する必要があると思われる。自動販売機の設置数等について、府で参考にできる統計を持っているか。
→ 現段階では把握していない。
・京都市が(温暖化対策条例を制定するにあたり)自動販売機の設置台数を調査し、設置台数の規制などについて検討したことがある。この分野では、長野県が先行して、かなり煮詰めた検討をしていたが、業界の反対が強く、設置台数の規制については実現しなかった。市調査時の業界説明でも、自主努力により省エネタイプ自動販売機の普及を飲料用を中心に進めており、台数制限については反対ということであった。
・早稲田大学の研究室で自動販売機のESCOが研究された事例がある。自動販売機の配置場所や利用状況に応じた稼働設定を施すことで省エネ効率をアップさせる研究を ESCOとして省エネサービスにつなげているものであり、この研究事例を参考に、自動販売機の省エネルギーを推進する制度を検討することも面白いと思う。
・京都は観光地が多いことから、自動販売機の設置を野放しにすることは景観上も問題があると思う。
・観光産業振興上の理由と併せて、観光地周辺での自動販売機設置規制をかける方法も考えられる。
・温暖化対策として、ペットボトルの減量対策が重要であると考える。現在の家庭ゴミの中で石油化学系のペットボトルやプラスチックゴミの占める割合は非常に大きく、京都市では焼却処理されていることから、大量のCO2が排出されている。
・容器についてはペットボトルではなくアルミ缶の方が温暖化防止の点では望ましいと考えられる。アルミの多くはブラジル等の国で生産されているが、その電源は水力発電であることからCO2排出面でペットボトルと比較して環境にやさしいマテリアルといえる。
・運転免許証の更新時のアイドリングストップ指導はできないか。アイドリングストップステッカーの配布などができればドライバーの意識改革に影響があるのではないか。
・京都府警に相談できるならば、免許更新時のエコドライブ指導について、一度提案して欲しい。
・家電販売や低公害車販売、アイドリングストップといった各分野でのマイスター制の導入のように、温暖化対策推進体制のシステム化を図ることが大切である。
・推進体制のシステム化と併せて、ウッドマイレージCO2認証制に見られるようなマイレージ制度についても各分野でシステム化を図る必要があると考えられる。
・資料のウッドマイレージCO2部分に府内産木材の利用促進を併記するべきである。
・新エネルギーの導入や住宅の省エネ改修などの環境投資が必要な分野への財政支援も条例において検討されなければならない。
・財政支援として、低利制度融資の創設などはどうか。京都府の公金を取り扱う指定金融機関に働きかけて、住宅の省エネ改修のための低利制度融資を創設するなどの可能性を検討するのも面白い。
・京都府住宅供給公社には既に住宅の低利制度融資があるが、手続きが煩雑であることからあまり利用されていない。もう少し使いやすく工夫をする必要がある。
・屋上緑化についても低利制度融資の創設を検討するべきである。
・事業者向けに低公害車購入のための低利制度融資はあるが、現在は市中金利が低下したため、煩雑な手続きが必要になる現行制度融資はほとんど活用されていない。
・個人の自動車ローンは非常に高利であることから、個人向けの低利制度融資があればニーズがあると思われる。
・資料では低公害車販売のマイスター制度があげられていたが、マイスターにどのような説明をさせるかについては検討しなければならない。国土交通省で燃費基準プラス5%達成車などの低公害車に対する自動車グリーン税制があるが、現在ほとんどの新車は自動車グリーン税制対応車ばかりであり、単純に燃費性能の良い車を進めるということでは(小型車に比べて燃費に劣る大型車の販売は難しくなることから)マイスターの意味がなくなる。
・低公害車の販売台数目標の制度化ならば可能かもしれない。
・燃費の良い小型車の普及促進ということを検討する必要がある。
・グリーン税制対応車への買い換え促進で発生した中古車の多くはアジアなどに輸出されているのか。
・現在のところは統計がないためわからない。今年の1月から施行された自動車リサイクル法の統計が出てくれば、そのあたりの状況も見えてくる。現在の自動車はエンジンや各種駆動系部品の耐久度が高いため、買い換え促進により、廃車とならず相当の中古車が発生しているものと思われる。
・乗車待ちのバスのアイドリングストップを強化するべきである。
・コンクリートミキサー車や冷蔵庫車など、その用途上アイドリングストップが難しい車種はあるが、単に車内の温度調整のためだけのアイドリング規制については問題がある。
・京都駅八条口周辺の観光バスのアイドリングは温暖化防止だけでなく、付近の大気汚染にもつながっている。
・自動車を使わなくてもすむ道路づくり・街づくりを進めるための規定についても条例に盛り込むべきではないか。
・参考資料1ではテレビの普及率について京都府は全国的にあまり高い普及率ではないが、昨今のテレビの大型化に伴い、電力消費が増加することが懸念される。テレビの大型化はどれくらい電力消費量の増加になるのか参考となるデータはあるか。
・詳細なデータはないが、概ね大型化により2倍近く電力を消費していると思われる。
・テレビの大型化については、現在の消費者ニーズに沿ったものである。地上波デジタル化に伴う買換促進が背景にあり、2011年の完全デジタル化に向けて、テレビの大型化と電力消費量の増加が加速するおそれがある。
・公共施設における先行的な取り組みの推進と、その成果を民生につなげる戦略を条例に盛り込む必要があるのではないか。
・環境教育の推進については、教育委員会との連携が重要である。学校教育における環境予算は増加する傾向にあるが、現状の推進体制のままでは、教師による画一的な授業を一通りして終わるおそれがある。外部の風を教育現場に吹き込む工夫が必要ではないか。
・現在、学校教育における環境学習には多くのNPOなどの外部有識者が関与している。
・講師派遣制度などによる学校教育現場での市民と教育委員会の協働が必要。
・京都市教育委員会と連携して、7つの学校でKESの認証取得に取り組んだことがあったが、学校には制度が複雑で荷が重いことがわかった。現在、学校用のシンプルなKESを開発している。
・京都府立高校でも過去KESの認証取得に取り組んだことがあったが、予算(20万円)について財政当局の理解を得ることができず、1年で取り組みが終了してしまったことがあった。教育面における環境教育の促進を図るためには、和歌山県で導入された、エコオフィスにより浮いた事務費の半分を学校独自の予算にできるフィフティ・フィフティ(50・50)制度の導入を検討するべき。
・条例は府民等が実際に取り組みを進めてはじめて効果があるが、お上の押しつけというイメージしかない場合、条例はできても取り組みが進まないことが多い。条例を実効性あるものにするには、府民自らが条例づくりのプロセスに関与し、必要な取り組みについて合意形成を図る必要がある。
・今回は府民参画による条例制定は時間的に無理であるが、20年後、30年後の条例改正等を視野に入れて、条例制定に関する府民参画項目を入れるべきである。
・文字による広報だけでなく、顔を合わせて条例の意義を説明をすることが実効性を確保する上で重要である。
・改善効果が金銭的に見えやすい、省エネ家電の普及など機器のリプレースについての情報提供が大切である。
・(市では無理でも、広域行政である)府の条例では、EEC(エネルギー供給者に対する省エネルギー割合制度)などのエネルギー供給者の温暖化対策に向けた責務を盛り込むべきである。
・ゴミ対策などの他の環境問題との連携し、温暖化対策とセットで市民に働きかけを行うことが必要である。
・条例に基づく報告制度については、事業者からの報告情報を広く公開することで、府民の目による事業者の評価をさせることで、事業者の環境改善に対するインセンティブをつくる必要がある。
・パブリックコメントの方法を工夫して、タウンミーティングのような条例説明会を開催するべき。
・府民の環境意識については、京都府内でも地域による温度差が大きい。
・市町村が街づくりとして自発的に温暖化対策を進めることができるような取り組みが必要である。
・府はそのための舞台づくりをする必要がある。
・町ぐるみで温暖化対策に動く仕掛けが必要である。入口は、温暖化対策ではなくても、ゴミなどの身近な環境問題から取り組みを発展させていくことが大切である。
・条例の実効性を確保するためには、府民が自分たちの条例と思えるようなボトムアップが必要であるが、そのためには、取り組み単位を温暖化対策の効果を具体化しやすいものにする必要がある。
・具体化しやすい取り組み単位としては、まず家庭があげられる。住宅(家計)における省エネ取り組みのトップランナー制度の検討はできないか。
・家庭よりも少し大きな取り組み単位として地域(市町村)があるが、これについては既存の地域協議会を上手く活用し、これを充実させていくことが有効と考えられる。地域協議会を充実させるには、協議会の中に計画・戦略に取り組む人々を増やすことが重要である。
・地域での温暖化防止の取り組みを活性化させるためには、その取り組みが地域にとってどんな意義があり、どのような可能性があるのかについて周知を図ることが大切であり、メリットを説明するサポーターが必要である。
・一件環境とは関係がないように見える教育や金融といった市民生活の基盤を温暖化防止活動の基盤に変える試みが重要であり、そのためのツールと仕組みを仕分けして条例に盛り込むべきである。
・制度融資については既存のものも多くあるので、それらのリフレッシュを図って、温暖化対策につなげる検討も必要だと思われる。
・条例に盛り込む規定の性質にもよるが、北風政策的な規定だけではなく、努力をした者が報われる太陽政策的な規定についてもバランスを考えて盛り込むべきである。
・条例では広域行政としての府が市町村にどのようにコミットメントするのかを明確にするべきである。
・地域のコミュニケーションは、学校区単位も一つの考え方である。学校を中心として地域住民・地域の企業が一体となることは有機的なコミュニケーションが可能となる。
・民生と事業者の連携による技術面での温暖化対策の検討も重要である。KRPのグリーンベンチャー研究交流会との連携など、京都には優れた環境技術を持つ企業が豊富に存在する。
→ 次回の専門委員会が4月27日(水曜)午後1時30分から午後3時30分であることを確認
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