丹後広域振興局
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魚道とは、「ぎょどう」を読みます。字のとおり、いわば魚の専用の通路のようなものです。
なぜ、魚道が必要なのでしょうか?
その理由としては、河床(かしょう:かわどこのこと)の安定のために造られた床止め(とこどめ)が設置されている場合などで、次のような理由から造る必要があります。
もしも高い床止めがあったら、泳力(えいりょく:泳ぐ力のこと)が小さい魚などは、遡上することができません。
床止めの勾配が緩かったら、泳力の小さい魚などでも遡上が楽にできます。
特に、ハゼ、カニなど川底をはうような生物は助かりますよね。
でも、勾配を緩くすると、川の流れが速くなってしまいます。
そのためには、斜路(斜めの部分)を階段をたくさん付けたりして、流速(川の流れの速さ)を遅くするなどの方法を考えます。これが、プール式と呼ばれるものです。
それでは、魚にとって邪魔者の床止め(落差工)ともいいます。)は、どうして必要なのでしょうか?
それは、河床(かわどこ)の安定のために大切なのです。
川の底は、ふつうは砂やれきなどの土砂でできています。
川底の土砂は、洪水のときのように水の流れが速くなると掃流力(そうりゅうりょく:川底の土を下流に流す力のこと)が強くなり、軽い砂や小石などは流されてしまいます。洪水時には、川の大きさにもよりますが、50センチメートル以上の大きさの石でも流されてしまいます。
そうなると川底が掘れて深くなってしまい、川の安定のために造っている護岸が不安定になり倒れたりして壊れてしまいます。
このことを防ぐためには、川底の安定のための対策が必要となります。
この対策は次の方法があります。
ここで、方法2の固めるという方法は、自然ではなく、動植物のためによくありません。
そのため、方法1の勾配を緩くするという方法を優先します。
そこで床止めが必要となるのです。床止めを造らないと河床の土砂が安定しないからです。
ただし、砂防河川など、上流部の地形勾配が急な場合は、床止めを造るにしても限界があるため、川底にコンクリートや石を張らざるをえないのです。でも、自然ではないですよね。
ここでは、京丹後市丹後町にある清流(せいりゅう)として有名な二級河川 宇川の多自然川づくり として造った山根堰(やまねせき)を見本として、魚道を見てみましょう。
上の写真1と写真2は、山根堰をそれぞれ下流から見た写真と横から見た写真です。
山根堰の魚道の特徴(特に目立つ点)を説明すると次のようになります。
まず、アユ、サケなどのように力強く遡上することのできる魚は、Aの線(黄色の線)を上ります。
この部分は、プール式になっていますので、一度に上まで上らなくても、休憩しながら上ることができます。
次に、Bの線(赤色の線)は、ウナギ、ハゼ、カニなど、強い水の流れがあると上るのに苦労する魚などが上ることができます。
この部分は、川の中心に向かってゆるやかな勾配がついていますので、川の水の多い少ないによる影響をあまり受けないように工夫してあります。ここが、この魚道の設計する上、施工する上でのポイントです。(曲面斜路式と呼んでいます。)
この他にも、袋詰玉石工(ふくろづめたまいしこう)で落差工を造ることがあります。
この工法は、専用の袋に玉石を詰めて大きな固まりして、それを積み重ねることで魚道と同じような効果を期待するものです。
この方法で造るとゆるやかな自然な落差になり、風景になじむとともに、あわせて魚道の効果を期待できます。
また、工事の費用も少なくて済みます。
袋詰玉石工による落差工の工事事例
川は、魚などの生き物が自然に暮らせることが大切です。
このように山根堰は、魚などの生物が川を上ったり、下ったりできやすいようになっています。
川の管理者(管理する国や府など)は、川が氾濫しないように、川を広げたり、護岸を造ったり、河床が安定するように床止めを造ったりと、人間が安心して暮らせるように治水のための工事を行います。
そのときに大切なことは、動植物の環境や風景など、貴重な自然環境を守り、治水・利水(田畑へ水をとるなど水を利用すること)とならんで、環境に配慮(気をくばる)することが必要とされています。
したがって、土木事務所で川の改修を行う場合、治水に対する考えだけでなく、景観(景色のこと)や動植物の環境、また、河川を利用する人の行動などを全体的に考えて計画をつくって進めていきます。
また、住民といっしょになったまちづくりを進めるために、 府民参画 に取り組んでいきます。
動物や自然と共存共栄(ともに生存してともに栄えること)するために、環境に気配りした 環の公共事業 を進めます。
自然環境を守ることは、地球環境を守ることとおなじことです。
皆さんも、どうすれば人と自然が共存できるか考えていきましょう!
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