丹後の海の恵みを生かすアクションプラン 第2回政策検討会議議事録
開催日時
平成17年8月25(金曜日) 13時00分から15時
開催場所
京都府福利厚生センター3階 第2・第3会議室
検討委員
池田委員、倉委員、桑村委員、中江委員、滑田委員、西川委員、宮崎委員、森川委員、森田委員、鷲尾委員
座長
鷲尾委員
会議の様子(意見を交換する委員の皆さん)
各委員の発言内容
- 漁獲量があまり芳しくないことと、一般消費者が日常生活の中で魚を食べる機会が減っていること等から、丹後の海を守り育てていく大切さを感じている。
- 普段の食卓の中の魚の消費を増やすということをやりながら、丹後の魚が美味しいという動きを具体的に作っていくことができればと感じている。そういう消費者サイドの大きなエネルギーが丹後の漁業が活発になることに繋がり、ひいては後継者を育て上げていくことに繋がる。
- 子供らは魚に関心があるが、丸ごとの魚を見たことがない若いお母さん層は魚に関して関心が薄いが、このような層に関心を持ってもらいつつ、なおかつ流通の改革まで持っていくには大変なエネルギーが必要だと思う。
- 具体的な即効性のある提案と方針を示した長期的なものとを組み合わせたアクションプランができあがれば良いと思う。
- 丹後の魚は丹後で手に入らない。どこに買いに行けば良いのかわからない。
- 昔に比べて魚屋が少なくなったことが手に入りにくい一因ではないか。魚屋がスーパーに替わり供給が不安定な地元の魚は扱いが少ない。
- 京都府漁連では20年来京都生協の組合員へ生協を通じて丹後の魚を届けることや京都生協の店舗に届けることはしているが、消費者が欲しい時に必ずしも手に入るという状況にはなっていない。
- 丹後の魚が何処に行けば購入できるかについても情報発信しなければならないと感じている。
- 地元の魚を地元で使えるようにする工夫が必要である。
- 地場の魚の研究と対策が必要である。
- ブランドを作るのではなく、作りあげたものがブランドである。
- これまでの議論の中で、魚の生産者サイド(魚が安い)と消費者サイド(魚が高い)ではイメージが異なることが明らかになったが、これがどういう仕組みでこのようになったのか従来水産サイドで議論されて来なかったのではないか。
- 丹後の魚の多くがまず大阪市場に送られそこで価格形成され、品揃えが合うものが京都に戻ってくるという一段階経た流通システムがある。丹後の魚は価格、品揃えの点で丹後に戻ってくるのが少ないため、丹後で地元の魚がないという状況があるのではないか。従来の市場原理に任せた売り方を置いたままではこの状況は打開できない。
- 1年を通じて魚をどのように利用(天然、養殖、蓄養、一次加工を組み合わせて)していくかが研究のポイントになるのではないか。
- 例えば商店街の空き店舗を利用して丹後の魚の捌き方や食材としての魅力を積極的に伝えていかないと魚離れは進んでいく。
- 消費とともに、生の現場(特別なことをするのではなく、通常やっている水揚げ風景や養殖風景)を見てもらうという切り口の観光で消費者に魚に対する理解を求めることも必要である。
- 魚のおいしさは生なので、いかに生の魚を美味しく食べるかを考えていく必要があるのではないか。同時に、魚の特性を生かした加工品を考案することも必要である。
- 若い世代は加工した魚に比べて生の魚はあまり食べていない。
- また、丸のままの魚を利用する技術がない(伝えられていない)ので、同時に教えていくことが必要である。
- 昔は包丁教室(漁協主催)等に積極的に参加し、それから魚に興味を持つようになったが、今の若い世代はそのような教室に参加する人が少ない。40代、50代前半でも魚を捌けない人が多い。まずは自分の手で捌く体験をすることが大切である。
- 魚のおいしさや大切さを教育の分野(学校給食等)で訴えていくことが大切である。
- 若い世代も全く魚離れが進んでいるわけではなく、例えばそれをやることによって何か達成感が得られるようなストーリー(こういうものをこの季節にやる)があれば面倒くさくてもやる(例:いかなごのくぎ煮)。消費者の気持ちにヒットすることが大切である。
- 作り方、調理方法がわからないとだめなのでレシピは大切である。
- 消費の拡大を考えていく上で、世代を分けて細やかに対応することも必要であるのではないか。また、地場での取組と広域に浸透していく工夫も必要である。
- 近頃の団体客について、以前は普段からの仲間内が団体として来られたが、今の団体はパックツアーであり個人の集まりである。
- 団体客はメニューの内容を写真で知っているので、内容(魚種等)を変更することができない。しかし、個人が相手ならいろいろな均一的なメニューではない対応が可能である。
- 魚の捌きは誰でも最初からできるものではない。
- スーパー等に置いてある魚について、これをどのように食べるかについて示されていないが、レシピは必要である(売る側の努力)。
- 給食でも、栄養や調理時間が優先された結果として、魚が美味しくなくなっている。
- ブランド化と地場消費の拡大は相反する問題である。
- 流通経路の見直しが必要である。
- 売る側が価格だけを求めるならば地場消費はあきらめる必要がある。
- 生産者とすれば、採った魚を少しでも高く売りたいために、少しでも値段の高い市場(舞鶴市場)へ水揚げする。丹後の漁業者も舞鶴に出荷する。それらの魚は舞鶴から東京の中央市場へ出荷され、結果として地場にはいい魚が残らない。極端な話し、中央市場が休みの日には漁に出ないということもある。
- 京都府の漁業は定置が主体で300日以上操業しているので魚はあるが、大部分はカタクチイワシに代表される雑魚である。カタクチイワシはだしジャコに加工されるが時期があり、それ以外の時期は二束三文であるので、そこをどう消費するかが今後の課題であろう。
- 生産者の立場から、旬の物は旬に食べて欲しい。新鮮な物が全て美味しいというわけではなく、ブリやマダイなどは時間がたった方が美味しいことをわかって欲しい。これらは漁業者と消費者の食べ方のギャップであるが、漁業者から消費者に対して伝える努力(魚教室、料理教室でのPR)が不足しているのかもしれない。
- 丹後の魚を巡る状況が府民の共通認識となっていないのではないか。
- 施策の振興にあたって、関係者のみの議論ではなく、府民ニーズにあった生産というものを考えていく上で、広い範囲で議論することを考えても良いのではないか。
- 特定の物のブランド化ではなく、『京都はこんな風に食べる』という食文化のそのもののブランド化(京風)を魚で演じられないかと考えている。
- 府民の側から地元の魚(売れない雑魚)に触れるツアーや講演会、意見交換を企画することができないだろうか。
- 地元の魚を捌くような教室への講師の派遣もアクションプランの中で取り組むことはできないのか。
- 漁連では昔から積極的に包丁教室に講師(漁協婦人部)を派遣する事業を年間10日程実施している。これがアクションプランで取り組まれればもっと規模を拡大できる可能性がある。
- 生産者と消費者と繋げるためには、それをコーディネートして引っ張っていく人がいなければ定着しない。
- 雑魚については個人では消費まで繋げるのは難しいが、加工という手段で利用することができるのではないか。
- 自分がアクションを起こしてそれを続けていく気運が高まっている(自分は特別なことをやっているということ)。
- いろんな会の動きが単発ではなく、連携して繋がっていくことが大切であり、その中からレシピを教わったり、名物等が生まれればおもしろい会となり、リピーターを生み出すことに繋がる。