展示会のアルバイトへの強引な和服販売
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事例
商品を仮押さえする書類にサイン
M子はタウン紙で京都市内の業者がA市で開催する3日間の和服展示販売会のPRレディー募集という記事を見つけ応募した。
展示会当日、空き時間に、近くにいた社員が和服を試着させてくれた。「とてもよく似合ってる。」と買うように勧められたが、「私自身経済力がなく親と相談しないと決められない。」と断った。すると、「せっかく気に入っているのだから、売れてしまわないよう商品を仮押さえしておくので書類に記入して。」と強く言われた。仕事させていただいているという気持ちが強かったこともあり応じてしまった。
仮押さえのはずの和服が買ったことに
翌日、来る予定だった母が急に来られなくなり、仮押さえしていた着物については、次の日までに決めて下さいといわれた。ところが、その日になって高熱が出て寝込んでしまい会場に行けなかった。
その後、特に着物の話が出ないので、なかったことになったと思い、もらっていた書面の写しも捨ててしまった。それから1カ月ほどたってクレジット会社から計算書が届いた。見ると和服を買ったことになっており、手数料を含め130万円ほどの契約になっていた。
20歳代に多い和服の契約トラブル。トラブルの大半が、展示販売、アポイントメントセールス及びキャッチセールスなどの特殊販売
- 若い人の場合、アクセサリーなどと同様、結婚準備をセールス文句に勧誘することが多いようです。結婚情報のアドバイスなどというふれ込みで呼び出し、和服の知識を知ってもらいたいなどと営業所に連れていって勧誘するなどが典型的です。
- 他に、和服プレゼント当選のダイレクトメールが来て、指定の店舗や展示会場に出向くと、高額の帯や小物などを勧誘されるというトラブルもよくあります。和装は京都を代表する伝統産業であり、若い世代が和服に親しむのは望ましいことです。しかし、慣れないうちは信頼のおける店でアドバイスを受けながら購入する慎重さも必要でしょう。
2日以上開催されている展示会は店舗と同じとみなされる可能性が高い
- 特定商取引に関する法律では自ら<営業所等>に出向いて行った契約は、訪問販売による契約とはならず、クーリング・オフできません。2日以上の展示会の場合は、営業所等とみなされる可能性があります。
- また、事業者がその従業員に対して行う販売行為にも特定商取引に関する法律は適用されませんが、この事例の場合、そもそも和服を買わせる目的で募集しているふしもあり、この規定を機械的に適用することは問題です。販売目的を隠したアポイントメントセールスとして特定商取引に関する法律の対象となる場合もあるでしょう。また、特定商取引に関する法律の対象とはならない場合でも消費者契約法による取消しが主張できる場合もあります。
いずれにせよ、展示会などのアルバイト中の商品購入については、こういう微妙な問題があることも知っておきましょう。
- 他の事例として、アルバイトのつもりで呉服展示会モニター募集に応募して採用されたが、会場で呉服セットをしつこく勧められ契約せざるをえなくなったという相談があります。この場合「モニター募集」と称して着物の販売をするのが目的です。内職をあっせんすると称してパソコンを売りつける等の販売と併せ、特定商取引に関する法律では、このような販売を業務提供誘引販売として規制しています。
※内職、モニター商法(業務提供誘引販売)の定義は次のようなものです。
- 物品販売等を行う事業であること。
- 顧客に対して販売した物品等を利用した業務(内職)を提供するのでそれにより収入を得ることができるといって誘引すること。
- 顧客に、物品の対価や登録料などの金銭負担を負わせること。