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障害を理由とする差別の解消のための事例集
共生社会の実現に向けて
京都府・京都市
1はじめに3
2障害者差別解消法について3
3京都府障害のある人もない人も共に安心していきいきと暮らしやすい社会づくり条例について5
(1)相談対応について5
(2)相談体制と助言・あっせんの仕組み5
4事例集6
(1)肢体不自由6
(2)視覚障害15
(3)聴覚障害22
(4)知的障害28
(5)発達障害33
(6)精神障害37
(7)内部障害・難病42
(8)その他47
5障害者差別に関する相談窓口48
6関連ホームページ51
平成25(2013)年度に障害者差別解消法が制定されたことを受け、京都府では「京都府障害のある人もない人も共に安心していきいきと暮らしやすい社会づくり条例」を制定しました。この条例は平成27(2015)年4月から、障害者差別解消法は平成28(2016)年4月から施行されています。
京都府においては、条例に基づいて相談員を配置し、京都市をはじめ府内市町村とも連携しながら、障害を理由とする不利益な取扱いや合理的配慮の提供に関する相談に対応しています。
何度も類似の相談があるような事例は、社会の理解が十分に進んでいないことを表していますし、コロナ禍に伴う困りごとのような、社会情勢の変化に伴って新たな課題・問題が生まれることもあります。また、障害のある女性や子どもなど、障害と性別や年齢等の複数の原因によってより困難な状況に置かれている場合もあります。
この冊子は、相談事例の紹介を通じて、障害者差別等について私たちの身近でも起こりうるものとして考えていただくことを目的として、京都府・京都市が共同で作成しました。
まずは、障害のある人がさまざまな困難に直面していることへの“気づき”が大切です。そのうえで、障害のある人が日常生活を送るうえで支障となる様々なバリア(「社会的障壁」)をなくし、誰もが暮らしやすい共生社会を作っていくためにはどうすればよいか、皆で考え、取り組んでいきましょう。
障害者差別解消法とは
障害者差別解消法(障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律)は、障害のある人が、障害のない人と同じようにサービスの提供等を受けることができるよう、国・都道府県・市町村などの役所や、会社や店などの事業者が、障害を理由に「不当な差別的取扱い」をしないこと、社会的な障壁(バリア)を取り除いていくために「合理的配慮」を行うことを定めています。
不当な差別的取扱いの禁止とは?
正当な理由なく、障害を理由として、障害のある人の権利利益を侵害することは禁止されています。
<財・サービスや各種機会の提供を拒否する>
例:視覚障害のある方がイベントへの参加申込みをしたところ、断られた。
<提供に当たって場所・時間帯などを制限する>
例:車いすを利用する人が食堂に行ったところ、ランチタイムは忙しいため、来店不可と言われた。
<障害のある人にだけ条件を付ける>
例:物品購入契約の際、障害者手帳を所持している人は、第三者の立ち会いが必要と言われた。
合理的配慮の提供とは?
障害のある人から配慮に係る意思の表明があった場合に、行政機関や民間事業者は、過重な負担とならない範囲において、必要かつ合理的な配慮を行う義務があります。
例:窓口において、視覚障害のある人に対して、資料の読み上げをする。
例:病院の待合で、聴覚障害のある人に順番がわかるよう、受付番号の表示を行う。
障害者差別解消法(改正後)のポイント
「イメージ図」
令和3(2021)年5月、障害者差別解消法が改正され、事業者による合理的配慮の提供が義務化されました。施行日は公布の日(令和3(2021)年6月4日)から起算して3年を超えない範囲で政令で定める日とされています。
「京都府障害のある人もない人も共に安心していきいきと暮らしやすい社会づくり条例」についても、法改正を踏まえ、新たな法律及び基本方針との整合性も取りつつ、条例改正の検討を進めていきます。
条例の趣旨
障害のあるなしにかかわらず、みんながお互いにかけがえのない個人として尊重し合いながら、共に安心していきいきと暮らしやすい社会(共生社会)の実現を目指して定められました。
誰もが暮らしやすい社会にするため、みんながお互いを思いやり、支え合う地域社会を築くことを目指しています。
(1)相談対応について
条例では、府内で発生した次に掲げる相談(特定相談)を相の対象としています。
ア不利益取扱いによる障害者の権利利益の侵害に関すること
イ合理的配慮に関すること
ウ障害者に不快の念を起こさせる言動に関すること
エ障害者虐待に関すること
オ障害、性別、年齢等による複合的な原因により特に困難な状況における、その状況に応じ
た適切な配慮に関すること
(2)相談体制と助言・あっせんの仕組み
「イメージ図」
事例1
2階席しかなく食事ができなかった
相談者
身体障害のある人(肢体不自由)
相談内容
車いすで町家風のカフェに立ち寄ったところ、カフェには2階の席しかなくエレベーターもなかった。1階で食事ができないか確認したところ、店長に「お食事は2階席のみでお願いします。」と言われた。
対応
店長に対し、どのような配慮が可能か検討をお願いしたところ、「事前に連絡をいただければ、1階の待合スペースで食事をしていただけるよう対応する。」との回答があり、その旨を相談者に伝え了解を得た。
事例2
電動カートでの入店を拒否している店がある
相談者
身体障害のある人(肢体不自由)から相談を受けた関係者
相談内容
スーパーの建物の入口に、「電動カート(シニアカー)での入店はご遠慮ください。」との表示があるが、これは障害者差別ではないか。
対応
障害者差別解消法及び府条例のパンフレット等を送付し、不利益取扱いの考え方を説明したところ、表示の下に「電動車いすでのご入店についてはこの限りでない。」の表示が追加された。
事例3
車いすで飲食店を利用しようとしたが入店を断られた
相談者
身体障害のある人(肢体不自由)
相談内容
車いすで飲食店を利用しようとしたところ、「店内通路が狭いため、入口に一番近いテーブルを車いす用としている。現在空いていないのでお引き取りください。」と言われた。他にも席は空いており利用したい旨を伝えても「会社の方針」として入店を断られた。店を指導してほしい。
対応
店舗に事実確認をしたところ、店内通路が狭く事故防止のため車いすやベビーカー利用の席を限定しているとの説明があった。条例の趣旨等を説明し、お店が決めた配慮の方法のみを提示するのではなく、障害のある方が求めている配慮を丁寧に聞いたうえで対応するよう依頼した。また、同じ建物内の他のテナントも同様の状況であるため、テナント会議の場で相談員から条例の説明と障害者に対する対応について周知を行った。
事例4
車いす利用者であることを理由にイベントへの参加を拒否された
相談者
身体障害のある人(肢体不自由)
相談内容
車いす利用者であることを理由にイベント運営会社から参加を拒否された。自分で申し入れし参加が可能とはなったが、指導してほしい。
対応
運営会社に事実確認したところ、参加者の安全確保等の面から車いす利用者の参加を断ったとのことであった。障害者差別解消法及び条例の趣旨等を説明したところ理解を得たので、その旨を相談者に伝え了解を得た。
事例5
複数の車いすで飲食店を利用しようとしたら入店を断られた
相談者
身体障害のある人(肢体不自由)
相談内容
車いすを利用している2名で食事をしたいと言ったところ、空席があるにもかかわらず、店員から「11名なら良いが2名では他のお客様に迷惑をかける。」と入店を断られた。
対応
店舗に事実確認し対応の改善を依頼したところ、事前に予約があれば対応可能であるとのことであったが、当該飲食店が加盟している飲食店組合に相談内容を伝え、組合からも店舗に対応改善を助言してもらい、対応可能な範囲で配慮を行ってもらうことを確認し、その旨を相談者に伝え了解を得た。
事例6
入浴施設で車いすでの入店を断られた
相談者
身体障害のある人(肢体不自由)
相談内容
入浴施設の受付で車いすでの入店を拒否された。条例上の不利益取扱いになるのではないか。
対応
施設に事実確認をしたところ、衛生上の理由から車いすでの入店を断ったとのことであったが、条例の趣旨等を説明し、館内用の車いすを用意する配慮を依頼し了解を得たので、その旨を相談者に伝え了解を得た。
事例7
営業妨害をするなと言われた
相談者
身体障害のある人(肢体不自由者)
相談内容
携帯電話の店舗で商品を見ていたところ、相談者の後ろに男性スタッフがついてきたので、「気持ちが悪いから後ろからついてくるのをやめてほしい。」と言ったら、店員から「ついていっている訳ではないです。」と言われた。後日、同店舗へいったところ、店長から「営業妨害をするな。」と言われてとても不快な思いをした。
対応
相談者が自から思いを伝えたいとのことであり、店舗に事実確認を行うとともに条例や障害者の特性への理解を求めた。後日、相談者が店舗を訪れたときに、店長が相談者の特性に配慮した丁寧な対応をした結果、相談者の不快な思いが解消した。
事例8
車での通学を拒否された
相談者
身体障害のある人(肢体不自由)
相談内容
障害のため車での大学通学を認められていたが、突然、車での通学が認められなくなった。障害者を受け入れているなら配慮してほしい。
対応
大学に事実確認したところ、学舎工事のため駐車場が少なくなっているとのことであった。後日、大学を訪問し障害者差別解消法や条例について説明するとともに、文部科学省の対応指針に、障害のある学生に駐車場を確保するよう記載があることを説明し、駐車場所の確保を依頼した。大学からは前向きに検討したいという回答があり、後日、相談者から駐車場所が確保されたとの報告があった。
事例9
PTAとの関係で不快な思いをした
相談者
身体障害のある人(肢体不自由)
相談内容
身体障害があるため子どもの学校のPTA役員を引き受けることができず、それが理由でPTA役員から嫌がらせを受けている。自分の子どももPTA役員の子どもからいじめを受けている。
対応
市教育委員会に調整を依頼し、相談者と校長、PTA役員、PTA構成員が参加する話し合いの場が持たれた。相談者から他の保護者に対し、PTA活動に参加できないことを説明して理解を求めた。そのその後、市教育委員会を通じて特に問題が発生していないことを確認した。
事例10
大学で授業時間中のトイレ介助が受けられない
相談者
身体障害のある人(肢体不自由)
相談内容
重度肢体不自由者が、私立大学で学生支援を受けながら学んでいる。前期はコロナ禍でオンライン授業だったが、後期からは大学での授業が再開される。学生支援ボランティアの協力で授業は受けられるが、トイレ等の生活支援について、大学内では障害福祉サービスの支援が受けられないので困っている。
対応
学生支援ボランティアは授業時間中のトイレ介助ができないとし、障害福祉サービスも授業中は利用できないとのことだったので、市の担当者に連絡したところ、市のケースワーカーが大学と連携して対応を検討するとの回答を得て、相談者にその旨報告した。
事例11
車いすで駅ホームに入ることを断わられた
相談者
身体障害のある人(肢体不自由)
相談内容
道路から駅のホームへのアプローチが階段しかなく、車いすを利用できない。駅員に確認したところ、車いすを利用しないでほしいと言われた。改善をお願いしたい。
対応
鉄道事業者に条例の趣旨等を説明し当該対応が不利益取扱いにあたる可能性がある旨説明したところ、鉄道事業者内で駅のスロープ設置を検討する旨の回答があり、その旨を相談者へ伝え了解を得た。
事例12
バスへの乗車を断られた
相談者
身体障害のある人(肢体不自由)
相談内容
車いすでバス停で待っていて、バスが到着したので乗ろうとすると前に並んでいた人まで乗車できたが、混雑しているので次のバスに乗るように言われた。次のバスには乗車できたが、乗車のサポートに時間がかかり、運転手や他の乗客が迷惑そうにしているのを感じた。
対応
バス会社に条例の趣旨等を説明の上、運転手が乗車スペースがあると認識しているのに他の乗客への協力を依頼せず乗車を拒否した場合、不利益取扱いにあたる可能性がある旨説明し、改善を求めた。
事例13
駅入口の放置自転車防止用のゲートで電動車いすが通行できない
相談者
身体障害のある人(肢体不自由)
相談内容
駅入口に新設された放置自転車防止用のゲートで電動車いすが通行できない。他のゲートがあるが、介助者がいないとゲートを開けることができない上、車道を通らなければならず非常に危険であるので改善してほしい。
対応
鉄道事業者に早期の改善を依頼したところ、鉄道事業者が一本柵を撤去し、電動車いすが通行できるようになった。
事例14
折りたたみ式の電動車いすでタクシーを配車した際のタクシー会社の対応
相談者
身体障害のある人(肢体不自由)
相談内容
タクシー会社に配車の予約をしたら、電動車いすの場合はセダンではなく、追加料金を払ってもらいミニバンを配車することになると言われた。
対応
タクシー会社に確認したところ、運転手が高齢化していることや、セダンに折りたたみ式の電動車いすを乗せられなかったことがあったことから、電動車いすの場合は一律に追加料金を払ってもらい、ミニバンの利用をお願いしているとのことであった。電動車いすの場合は、一律に追加料金を課してしてミニバンを配車するのは、合理的配慮の不提供に該当する可能性があり、運輸支局と連携して条例や障害者差別解消法に基づく対応指針について説明し、改善を求めた。その結果、セダンがある場合には、セダンを配車することとなった。その後、同タクシー会社は電動車いすの場合の追加料金について廃止した。
事例15
車いすを利用する人から段差の解消を求められている
相談者
金融機関事業者
相談内容
車いすを利用する顧客から、ATMの入口に段差があり入れないと言われている。金融機関としてどのように対応すれば良いか助言してほしい。
対応
現地を訪問し、段差は車いす利用者が1人で越えられない高さであること、介助者が付いて駐車場等を迂回して入る方法があることなどを確認した。段差解消工事は、安全な勾配基準を満たさない上、業務にも支障をきたすため難しいとのことであったため、合理的配慮の提供は過重な負担でない範囲で実施されるよう助言した。その結果、ATMの前にインターホンを設置し、必要がある場合は警備員や職員が手動式のスロープを設置し、介助することとなったとの報告があり、顧客も納得されたとのことであった。
事例16
新幹線のチケット受け取りが不便
相談者
身体障害のある人(肢体不自由)
相談内容
事前に新幹線の身体障害者用座席を予約していても、チケットの受け取りは駅の有人窓口のみとなっている。大きな駅では観光客などが多く並ぶので順番待ちが長く、予約していた新幹線に乗れないことがあった。対応を改善してほしい。
対応
鉄道会社に対し、合理的配慮の提供について依頼したところ、今後個別対応やシステム変更等の環境整備も含め、改善について検討していく旨の回答があり、その旨を相談者に伝え了解を得た。
事例17
勤務地変更の希望を断られた
相談者
身体障害のある人(肢体不自由)
相談内容
以前の家が手狭だったので、職場から遠くなるが広い家に転居した。肢体不自由なので自動車で通勤しているが1時間あまりかかる。会社に、自宅から近い職場への異動希望を伝えたが、できないと言われた。
対応
雇用に関することは障害者差別解消法第13条により「障害者の雇用の促進等に関する法律」の定めるところによるとされており、労働局に相談するよう助言した。
事例18
車いす対応のバスでないことを理由に行事参加を断られた
相談者
身体障害のある人(肢体不自由)
相談内容
車いす利用者がバスで現地まで移動する障害のある人対象のレクリエーション行事に参加申込みした際、主催者団体から、「車いす対応でないバスのため、受け入れできない。」と断られた。車いす利用者も参加できるよう、主催者団体に考えてほしい。
対応
主催者団体に事実確認したところ、再度役員会で相談者からの要望について話し合う予定である旨の回答があった。後日相談者から、ヘルパー2人付きで参加可能となったと報告があった。
事例19
近所の人からの発言に悲しい思いをした
相談者
身体障害のある人(肢体不自由)
相談内容
町内会の役員から、「障害があるあなたに役なんかできないでしょ。」と決めつけられて悲しい思いをした。
対応
条例で規定する「不快の念に該当する可能性があるが、周囲との関係性を維持するためにも、社会福祉協議会へ相談するよう助言し相談者も了解した。また、条例の啓発パンフレットの送付希望があったので送付した。
事例20
期日前投票宣誓書における表記について、不快な思いをした
相談者
身体障害のある人(肢体不自由)
相談内容
期日前投票のための宣誓書の事由欄で、「身体障害等のため歩行困難」と「刑事施設等に収容」の項目が、同列に表記されている。身体障害者にとっては不快な表記であり、改善してほしい。
対応
期日前投票宣誓書については、府選挙管理委員会が標準様式を作成して市町村に配布していることから、相談者の意向を伝えたところ、同様の記載があった他の様式も含め、様式を変更した旨の報告があった。
肢体不自由とはどんな障害?
手足や体の運動機能障害をいいます。手や指を使うことが難しい上肢不自由、ひざや足を使うことが難しい下肢不自由、身体の姿勢を維持することが難しい体幹不自由などがあります。
<肢体不自由の人の特徴>
車いすを利用しているからといって、足だけが不自由とは限りません。
口や舌の動きがマヒしていると、ことばを使って自身の思いを十分に伝えることができないことがあります。
手指や手・腕に障害がある人は、文字を書いたり、お金の扱いなど細かな手先の動作に苦労します。
肢体不自由の人への配慮の例
お手伝いをする際には、まず声をかけ、ご本人の意向を確認してからにしましょう。
カウンターの一部を低くしたり、車いすのまま机の下に足が入るスペースを空けておきましょう。
通路に物を置かないなど、通行の邪魔になるものがないか注意しましょう。
文字を書くために時間がかかる人に対して、ゆっくり記入できるスペースを案内しましょう。
手続きの受付時間等を指定する場合には、電車が混み合う通勤時間帯を避けるなどの調整を行うようにしましょう。
関連情報
バリアフリートイレについて
バリアフリートイレとは、男女共用トイレで、広いスペースと、様々な機能が備わっています。必要としている人が、必要な時に使えるよう、一般トイレを使用できる人は一般トイレを使用しましょう。
<こんな人たちが必要としています>
車いす利用者
車いすを回転できるスペースや、便器に移るための手すりが必要
オストメイト(人工肛門等保有者)
パウチ(便等をためておく袋)から処理するために、汚物流しを使用
介助が必要な人
介助者同伴で入れるトイレが必要。介助用ベッドを使うこともある。
子ども連れの人など
「イメージ図」
「京都おもいやり駐車場利用証制度」について
障害や高齢、難病で歩行が困難な人、けがをされた人や妊産婦で一時的に歩行が困難な人などに利用証を交付し、「おもいやり駐車場(車いすマークの駐車場等)」を利用いただくための制度です。
この制度に協力を申し出ていただいた公共施設や商業施設などに設置されている「京都おもいやり駐車場」の表示がある駐車場が対象です。
「イメージ図」
車いすを使用している人は、車の乗降に広いスペースが必要です
「イメージ図」←府内施設のバリアフリー情報が検索できます。
事例21
病院の無料シャトルバスの案内が視覚障害のある人への配慮に欠ける
相談者
視覚障害のある人
相談内容
初診の病院に下見に行く際、病院の総合案内に電話をしたら、駅近くのシャトルバスを案内されたが、結局行き着けなかった。視覚障害者への対応が不十分であり配慮に欠けるので指導してほしい。
対応
病院に条例の趣旨等を説明した上で適切な対応を依頼した。その後、相談者から受診時にバス乗り場や院内等の丁寧な説明を受け、スムーズに受診できたと報告があった。
事例22
飲食店に盲導犬同伴での入店を拒否された
相談者
視覚障害のある人
相談内容
盲導犬を伴い飲食店を訪れたところ入店を固く断られた。今後、このようなことのないように改善指導していただきたい。
対応
飲食店に事実確認を行ったところ、対応方法がわからなかったとのことであったため、身体障害者補助犬法、障害者差別解消法及び条例の趣旨等について説明を行い、今後は盲導犬などの補助犬を受け入れられることとなった。
事例23
アウトドアスポーツイベントへの参加を断られた
相談者
視覚障害のある人
相談内容
アウトドアスポーツイベントに参加したいと思い主催者に相談したら、視覚障害のある人(全盲)の場合、一人での参加は不可であるが、ガイドヘルパー又は友人と二人なら参加可能と言われた。ガイドヘルパーを探したが見つからないので、インストラクターの付き添いをお願いしたが断られた。
対応
事業者に事実確認したところ、安全確保のため全盲の方については、ガイドヘルパー等の同伴を条件としているとのことであった。条例の趣旨等を説明し、障害のある人向けインストラクターの確保等の検討を依頼した。その後、相談者からガイドヘルパーの確保ができて参加可能になったと報告があり、条例の趣旨等を主催者に説明したことに対して理解を示された。
事例24
スイミングクラブへ入会を申し込んだら断られた
相談者
視覚障害のある人
相談内容
スイミングクラブに入会しようと複数のクラブに問い合わせをしたが、ヘルパーも会員になり同行するよう条件を付けられた。
対応
スイミングクラブに相談者との話し合いを依頼した。話し合いの結果、ヘルパーについては入会せずにプールへの同行が可能となった。
事例25
点字ブロック上に自転車が停まっている
相談者
視覚障害のある人
相談内容
よく利用する小売店で、道路から店の入口まで点字ブロックが敷かれているが、点字ブロック上に他の客の自転車が停まっていて、通れなくて困ることが多い。
対応
事業者に相談内容を伝えたところ、対応方法を検討される旨の回答があり、後日「点字ブロック上には駐輪しないでください。」との掲示がされていることを確認した。
事例26
障害者割引表示が施設のホームページに掲載されていない
相談者
視覚障害のある人
相談内容
市営の温泉プールの障害者割引表示がホームページに掲載されていない。施設を管理する市役所に要望しているが改善しない。
対応
行政機関は「障害者差別解消法」第5条に基づきの環境整備に努めなければならないので、市役所から施設の指定管理者に対して相談者の意向を反映するように理解を求めた。
事例27
スーパーでスタッフに声かけしたが忙しそうに立ち去った
相談者
視覚障害のある人
相談内容
近所のスーパーで買い物をする際、通常はヘルパーに同行してもらうが、急な場合などは一人で行くこともある。店のスタッフに声をかけたら、「今日はヘルパーは来ていないのか。」と言って忙しそうに立ち去った。
対応
スーパーに事実確認したところ、当日はスタッフが不足し多忙であったためそのまま立ち去ってしまったとのことであった。障害のある人から手助けを求められた場合は、忙しい時でも要件を確認したり他のスタッフに取り次ぐなど、負担が重すぎない範囲で合理的配慮の提供に努めるよう依頼したところ、そのような対応がなされることとなった。
事例28
学校の各種プリントは紙なので見られない
相談者
視覚障害のある人
相談内容
全盲のため、子どもの学校からの各種プリントは見ることができない。家族に読んでもらうにも時間の都合などで無理な場合も多いので、学校の配慮をお願いしたい。
対応
保護者から担任の先生に、音声読み上げソフトを持っているので資料をメール送信してほしいと直接提案することとなった。学校内で検討した結果、各種プリントをメールで送信されることとなった。
事例29
駅の無人改札口は視覚障害のある人への配慮に欠ける
相談者
視覚障害のある人
相談内容
ICカードで鉄道を利用する際、残額がわからないため改札を通れないことがある。無人改札口ではインターホンで連絡するように案内が流れるが、インターホンがどこにあるのかわからない。視覚障害のある人への配慮に欠けるので指導してほしい。
対応
相談内容を鉄道事業者にお伝えし、障害特性を踏まえた対応をしていただくよう依頼した。
事例30
交差点の音響式信号機の音が鳴っていない
相談者
視覚障害のある人
相談内容
交差点の音響式信号機の音が鳴っていない。何か理由があって鳴らないようになっているのか調べてほしい。
対応
警察の担当部署に連絡し、信号機業者が速やかに点検を行ったところ、電源が入っていなかったことが判明し直ちに復旧された。
事例31
歩道に点字ブロックを敷設してほしい
相談者
視覚障害のある人
相談内容
鉄道駅付近の交差点に音響式信号機が設置される予定であるが、そこからスポーツクラブまでの歩道に点字ブロックを敷設してほしい。
対応
歩道の大部分は隣接県の市道であり、隣接県の協力を得て、関係団体からの書面を提出し、点字ブロックが敷設された。
事例32
点字ブロックがふさがれている
相談者
視覚障害のある人
相談内容
市営地下鉄駅構内を移動する際に、点字ブロックの上に物が置いてあったり人が立っていたり、道がふさがれていたりして、乗降口にたどり着けず、電車に乗り遅れてしまうことがあった。
対応
市営地下鉄を管轄する市に対応を依頼した。その後、地下鉄駅利用客に対する構内放送において、点字ブロック上は空けておくよう注意を促すアナウンスが追加されることとなった。
事例33
盲導犬を理由に賃貸住宅の申込みを断られた
相談者
視覚障害のある人
相談内容
転居するため、盲導犬を同伴し不動産業者を訪ねたが、アパートでは動物を飼うことはできないこと、火事の心配があることを理由に、物件の紹介は難しいと言われた。
対応
不動産会社に対して、火事を起こしやすいというのは客観的な根拠がなく不当な差別的取扱いとなる可能性があることや、盲導犬はペットでなく受け入れについて努力義務があることを説明し、入居できることになった。
事例34
インターネット会社の料金プランがわかりづらい
相談者
視覚障害のある人
相談内容
数年前にインターネット会社と契約をした。障害のある人に料金割引があるプランがあったが、契約時に説明がなく通常の契約を行った。会社に、割引プランについて視覚障害のある人にもわかるような方法で案内するよう言ってほしい。
対応
インターネット会社に事実確認したところ、通常契約との差額を遡って返金する予定であるとのことであった。障害者差別解消法及び条例等を周知し、割引プランの案内を視覚障害者にわかるような方法でホームページに掲載するよう検討をお願いしたところ、本社が検討することとなり、その旨相談者に伝え了解を得た。
事例35
保険会社の手続きを是正してほしい
相談者
視覚障害のある人
相談内容
保険の手続きで、点字や音声等での通知をしてもらえない。印刷による通知文書で対応できないため、マイナンバーや会員番号等の確認を安易に電話等でされる。是正してほしい。
対応
保険会社に相談者の意向を伝えたところ、社内で対応を検討され、「時期の確約は困難であるが、視覚障害のある人用に順次点字化を図る。」との方向性が示された。その旨を相談者に伝え了解を得た。
事例36
オリンピック聖火リレーの参加申込み方法で困っている
相談者
視覚障害のある人
相談内容
オリンピック聖火リレー参加の応募方法が電子申請のみとなっているため、入力ができず困っている。合理的配慮をお願いしたい。
対応
オリンピック聖火リレー実行委員会の事務局に確認したところ、申込方法は全国的に電子申請のみとなっているが、事務局に申し出いただければ、代理入力等の個別対応が可能であるとの回答があった。その旨を相談者へ伝え了解を得た。
視覚障害とはどんな障害?
視覚障害は、日常生活や就労などの場で見えづらい、もしくは全く見えない状態のことをいいます。
<視覚障害がある人の特徴の例>
〇まったく見えない、文字がぼやけて読めない、物が半分しか見えない、望遠鏡を通しているように一部分しか見えないなど、さまざまな見え方があります。
〇文字を見えても、歩いているときに障害物にぶつかったり、つまずいてしまう人、障害物を避けてぶつからずに歩くことはできるが、文字を見えない人など、個人差があります。
〇合理的配慮の提供は、障害のある人からの申し出を受けて行うものですが、視覚障害のある人は、困っていても自ら配慮等を求めることが難しいことがあります。
<視覚障害のある人の配慮の例>
視覚障害のある人が戸惑っているのを見かけたときは、まず、声をかけ、そして、何らかの手助けが必要かどうか、意向を確認するようにしましょう。
〇困っていそうな人がいたら、「お手伝いできる事はありますか?」と積極的に声をかけましょう。
声かけ・コミュニケーションのポイント
そばに行って、前から声をかける
「あっち」、「むこう」などではなく、「あなたの右」、「スマートフォンくらいの大きさ」など、具体的に説明をする
「イメージ図」
誘導時のポイント
いきなり体に触れることはせずに、どのように誘導するか聞いてからにします(半歩先に立ち、肩や肘、手首をつかんでもらうのが基本です).
〇盲導犬に対する注意事項
盲導犬を見かけたときは、仕事中だということを忘れず、触ったり声をかけたりせず、温かく見守ってください。
〇その他の注意事項
点字ブロックの上に立ち止まったり、物を置いたりしないようにしましょう。
「イメージ図」ほじょ犬マーク
事例37
診療の受付が電話のみでしか行われていない
相談者
聴覚障害のある人から相談を受けた手話通訳者
相談内容
診療所の予約受付が電話のみであるため、FAX・メールでも受付してほしいと要望したが改善されない。
対応
医療機関に連絡をとり、条例の趣旨等を説明したところ、今後はFAXでの受付に応じるとの回答があった。次回受診時に本人(相談者が手話通訳者として同行)、院長、事務員で話し合いがもたれ、今後はFAXで受付ける旨回答があった。
事例38
飲食店への入店を拒否された
相談者
聴覚障害のある人から話を聞いた手話通訳者
相談内容
飲食店に入ろうとして、「耳が聞こえないのでよろしくお願いします。」という内容を身振りで伝えたところ、店員が両腕で「×」の形を作り入店できなかった。店を指導してほしい。
対応
飲食店に事実確認をしたところ、満員だったので断ったとの説明があったが、条例の趣旨等を説明の上、断る際にも筆談等で丁寧な対応をするよう指導した。また、後日、飲食店を運営している法人本部を訪問し、筆談等聴覚障害の特性に応じた対応を依頼した。その結果、法人本部から運営する全店舗に条例の周知と障害のある方への適切な対応について指導が行われた。
事例39
携帯電話の解約時に希望する方法で対応してもらえない
相談者
聴覚障害のある人
相談内容
携帯電話の解約をホームページから申し込もうとしたところ、入力誤りでロックがかかり手続きが出来なくなった。メールで問い合わせると、電話で本人確認が必要との返信があり、聴覚障害で電話が出来ないので店舗で手続きしたい旨伝えても、ホームページから手続きするように指示された。障害者差別ではないか。
対応
携帯電話の店舗への事実確認後、聴覚障害者で電話で話せないという理由がある場合には、来店による筆談などの合理的配慮の提供をお願いしたところ店舗から、合理的配慮の提供と丁寧な対応をしたいとの回答があり、後日相談者は、手話通訳者同行で手続きを行うことができた。
事例40
スポーツクラブへ入会を申し込んだが断られた
相談者
聴覚障害のある人
相談内容
スポーツクラブへの入会申込手続をしようとしたら、安全面で保障ができないという理由で入会を拒否された。不利益取扱いではないか。
対応
スポーツクラブに事実確認したところ、安全面の問題から入会を断ったとのことであった。障害者差別解消法及び条例上、不利益取扱いになる可能性があることを説明し入会ができるよう依頼したが、スポーツクラブは受け入れに困難を示した。後日、相談員の立ち会いのもとスポーツクラブを訪れ、両者が安全面での不安を解消する方法を話し合った結果、入会することができた。
事例41
イベントの参加申込みを断られた
相談者
聴覚障害のある人
相談内容
社会人サークルのイベントに参加申込みをしたところ、主催者からからイベントを楽しんでいただけないのではないかと参加を断られた。再度、手話通訳者を同行すれば参加可能か問い合わせたが、イベント開催日後になってから参加できない旨の回答があった。
対応
当該事業者の本社は他県にあり、全国で同様のイベントを開催していることが判明したため、経済産業省に本件の調整を依頼した。その後、経済産業省から事業者に対して障害を理由とする不利益取扱いは禁止されている旨の指導が行われ、事業者が理解を示した。
事例42
物品購入契約で第三者の同席を求められた
相談者
聴覚障害のある人
相談内容
家電量販店でウォーターサーバーを購入しようとしたら、店員から、身体障害者手帳所有者は単独で購入契約を行うことができないので、介護者等と一緒に来店してほしいと言われた。
対応
事業者に事実確認したところ、障害を理由に家族や第三者の同席がないと購入契約ができない旨の説明をしていたことを確認した。
事業者に対して障害者差別解消法及び条例の内容を説明し、不利益取扱いに該当する可能性があることを伝えたところ、事業者から相談者に謝罪の上、今後は適切な対応をするとの回答があった。
事例43
駅で筆談に応じてもらえなかった
相談者
聴覚障害のある人(難聴者)
相談内容
駅で電車から降りた際に他の乗客の荷物に当たり、片方の補聴器がなくなった。駅の窓口に「筆談に応じます。」と表示されていたので、スマートフォンに「補聴器をなくしたので探して欲しい。」と表示して伝えたが、筆談に応じてもらえなかった。
対応
事業者に事実確認したところ、職員は、相談者が口話して(口の動きで言いたいことを伝えて)いたので、会話ができていると思ったとのことであった。会話ができているように思えても、聞こえづらい場合や伝わっていない場合があることを説明し、今後の対応の検討を依頼した。事業者から、「今回の事例を踏まえ、聴覚障害のあるお客様にはコミュニケーション方法をその都度丁寧に確認することを研修の場で改めて全職員に周知した。」との報告があった。
事例44
筆談で相談していたら途中からからマイクでの対応に変わった
相談者
聴覚障害のある人
相談内容
駅の窓口で、筆談で相談をしていたが、途中からからマイクの音声のみの対応になった。合理的配慮が足りない。
対応
事業者の電話相談窓口に問い合わせたところ、職員の口の動きで理解してもらっていると思い、途中からマイクの音声のみの対応をしてしまったとのことであった。事業者から、これまでも聴覚障害者への対応についての研修を行ってきたが、今後、今回の事例に基づき具体的な研修を行っていきたいとの回答を得た。
事例45
宿泊施設のテレビで字幕放送が見られない
相談者
聴覚障害のある人
相談内容
宿泊施設の客室のテレビに、字幕表示ボタンのないリモコンしか置いていないケースがある。字幕表示ができないことをホームページに記載している府内の宿泊施設に対して、指導をお願いしたい。
対応
宿泊施設に事実確認したところ、有料放送を利用したり設定を変えたりする宿泊客がいるため、機能を限定したリモコンを設置しているとの説明であった。今後は、必要に応じて字幕表示の操作が行える通常のリモコンを貸し出すとともに、ホームページへの記載も削除されることとなった。その旨を相談者へ伝え了解を得た。
事例46
電話か対面でしか対応してもらえない
相談者
聴覚障害のある人
相談内容
通帳の記載内容について金融機関に問い合わせ、FAXかメールで回答してほしいと依頼したが、対応してもらえず店舗まで出向いた。文書での回答でも可能とのことであったが、時間を要するためFAXでも対応してもらえるよう改善してほしい。
対応
店舗に事実確認したところ、FAXやメールは情報漏洩等の観点からできないとのことであった。障害者差別解消法及び条例について説明の上、電話であればその場で知ることができる情報が、文書での回答の場合数日かかるため、障害者に不利益が生じることを説明し、過重な負担でなければFAXでの対応を検討するよう依頼した。その後、事業者から、相談者への回答をFAXで行うこととなったと報告があり、今後はFAXやメールでの回答依頼があった場合は個別に対応することとなり、各店舗でも共有されることとなった。
事例47
災害発生時の避難誘導で筆談に応じてもらえなかった
相談者
聴覚障害のある人
相談内容
デパートで火災があり、館内放送で被害発生を伝えた様子で避難誘導をしていたが、私には伝わらないので、店員を呼び止めて状況を教えてもらうよう筆談を求めたが、応じてもらえなかった。
対応
事業者に対し、電光掲示板により災害情報や避難情報を表示したり、パトライトを設置するなど、視覚的に情報を発信するなどの環境整備を求めた。
事例48
マスク購入時に嫌な思いをした
相談者
聴覚障害のある人の関係者
相談内容
知り合いの聴覚障害者が薬局でマスクを購入するためにレジに並んでいたら、障害があることが分かった他の客から「なんで並んでいるのか。」と言われた。その人が福祉施設にマスクが配布されていることを知って言われたのか分からないが、その障害者は不愉快な思いをしたと言っていた。
対応
匿名の相談であり、具体的な要望もなく、現状を聞いてほしいということだったので、傾聴するとともに、条例の周知を図ることを伝えた。
聴覚障害とはどんな障害?
音が聞こえづらい、もしくは、聞こえない状態を聴覚障害といいます。
補聴器をつけていない限り、外見には特徴がないため、「見えない障害」ともいわれています。話しかけた人が「無視された」と誤解やトラブルが生じることもあります。
聴覚障害のある方への配慮の例
コミュニケーションにはさまざまな方法があります。多くの人は、どれか一つの方法だけを使うのではなく、いくつかの方法を相手や場面に応じて組み合わせて使っています。
京都府内においては、手話言語条例やコミュニケーション条例制定の動きが広まっています。
【聴覚障害のある人のコミュニケーション方法】
「イメージ図」
聴覚障害に関するマーク
耳マーク「イメージ図」
聞こえが不自由なことを表すと同時に聞こえない人・聞こえにくい人への配慮を表すマークでもあります。
手話マーク「イメージ図」
「手話で対応をお願いします」、「手話で対応します」等の意味を表します。
筆談マーク「イメージ図」
「筆談で対応をお願いします」、「筆談で対応します」等の意味を表します。
マスクを着用していると、口の動きや表情が分からず、コミュニケーションが難しくなる場合もあります。透明マスクやフェイスシールドを着用するなど、配慮をお願いします。
事例49
福祉事業所の職員が利用者と保護者へ差別的発言をしている
相談者
知的障害のある人の家族
相談内容
福祉事業所の職員が他の利用者がいるところで、理解できないからと利用者と保護者へ差別的発言をしている。抗議をしたが認めない。
対応
福祉事業所の運営法人に事実確認し、相談者は障害のある人への配慮及び職員研修の実施を要望していることを伝えたところ、福祉事業所の責任者から、「職員の差別的発言については事実確認ができなかったが、御意見には真摯に対応していきたい。」という回答があり、相談者の了解を得た。
事例50
スーパーの入店を断られた
相談者
知的障害のある人の支援者
相談内容
知的障害のある人がヘルパー同伴で買い物に行った際、障害特性から買い物カゴが斜めに置かれていることが気になり置き直すことに対して、店舗スタッフがヘルパーにやめさせるように言い、やめられなければ入店は困ると言われた。
対応
店舗に事実確認を行うとともに、障害者差別解消法及び条例について説明し、合理的配慮の提供を依頼した。また、相談者の家族から、店員の発言に傷ついていることや今後も買い物をしたいと思っていることを確認した。店舗責任者と家族が面談を行い、責任者から家族にお詫びするとともに、買い物カゴの置き方を工夫するとの説明があり、その後、買い物カゴの置き方が工夫されていることを確認した。
事例51
イベントで迷惑をかけた場合は退室させると言われた
相談者
知的障害のある人
相談内容
イベントに参加しようとしたら、声を出したり他人に迷惑をかけたりすることはないかと聞かれ、そのような事があった場合は退室してもらうことを了承してくださいと言われた。
対応
イベント運営会社に事実確認の上、障害者差別解消法及び条例の内容を説明したところ、途中で声を出してしまう障害者も一緒にイベントを楽しんでもらえるように、事前に出演者の了解を得たり、また開始5分前に会場にその旨のアナウンスを流したりすることとなった。
事例52
店員が商品に手を触れないよう邪魔した
相談者
知的障害のある人の保護者
相談内容
知的障害のある子どもが店の中で商品を見ている時、店員がずっと子どもの後ろについて歩き、子どもが商品に手を触れないように邪魔をしていた。
対応
店に確認したところ、特に障害がない子どもへの対応と変えているつもりはなく、商品を乱暴に扱うなどした場合でも、穏やかな声で、短く、分かりやすく注意するよう心がけているとの回答があった。
事例53
絵画教室の入会条件に付き添いを求められた
相談者
知的障害のある人の保護者
相談内容
知的障害がある子どもの絵画教室の入会手続きに行ったら、何かあった時に心配なので、付添いの方が一緒に来てくれるなら入会できると言われた。
対応
知的障害のある子どもの絵画教室の入会に際して、他の人にはつけない付添いの同伴を条件とする対応は、不利益取扱いになる可能性があることを説明し、その後、両者で不安を解消する方法が話し合われた結果、付添いなしで入会できることとなった。
事例54
乗り物の利用を断られた
相談者
知的障害のある人
相談内容
ガイドヘルパーと公園に行き、一人でゴーカートに乗ろうとしたところ、危険だからと言われ乗ることができなかった。
対応
障害を理由に利用を制限することは障害者差別に当たる可能性があることを説明した。公園の管理者から、「一人乗車が可能かどうかの判断基準を作成し、障害の有無にかかわらず、全ての利用者に対して操作説明や試乗を行ったうえで判断することとした。一人乗車ができないと判断したときは、その理由を丁寧に説明することを徹底する。」と報告があった。
事例55
タクシー料金の割引にあたり障害者手帳の個人情報を控えられた
相談者
知的障害のある人の保護者
相談内容
タクシー料金を支払う際、割引を受けるために障害者手帳を提示したところ、運転手に、手帳に記載された個人情報を控えられた。個人情報の取り扱いに問題があるのではないか。
対応
近畿運輸局に問い合わせ、タクシー料金の割引を受ける時は手帳を提示するだけで問題ないことを確認した。タクシー会社にその旨を伝えたところ、正しい取扱いについて全従業員に周知・徹底を行うとの回答があった。障害者差別解消法と条例パンフレットを送付し、会社全体で周知いただくよう依頼した。
事例56
物件の紹介を断られた
相談者
知的障害のある人の支援者
相談内容
知的障害のある人の一人暮らし用物件を探そうと不動産会社の店舗に同行した際、障害を理由に住宅を紹介してもらえなかった。
対応
店舗の本社に、障害を理由に住宅の紹介を行わないことは不利益取扱いに該当する可能性があることを伝え、障害者差別解消法及び条例の説明をして事業者の理解を促し今後改めることとなった。
事例57
施設職員の対応を改めてほしい
相談者
知的障害のある人の関係者
相談内容
ボランティアをしている作業所で、ある通所者が担当職員から「本当に遅い。もっとはっきり言わないと分からない。」などと周りの人にも聞こえるように大きな声で言われ、途中から作業に入れてもらえないこともある。自分が悪いので仕方がないと思って我慢しているようだが、職員の対応を改めるべきではないかと思う。
対応
職員の言動は、侮辱する言葉や態度、脅し、無視、いやがらせ等によって精神的に苦痛を与える「心理的な虐待」に該当する可能性があり、虐待に気づいた場合は、窓口となる市町村障害者虐待防止センターに通報することができ、また、法務局が開設している人権相談所でも相談を受け付けていることを伝えた。
知的障害とはどんな障害?
概ね18歳までに知的な能力の遅れがあらわれ、日常生活や社会生活での生活のしづらさがあります。
<知的障害がある方の特徴の例>
〇複雑な事柄の理解や判断、こみいった文章や会話の理解が苦手
〇計算や読み書きが苦手
〇自分の置かれている状況や抽象的な表現を理解することが苦手
〇コミュニケーションが苦手
〇気持ちや行動のコントロールが苦手
<知的障害のある人への配慮の例>
人によって、苦手な分野や障害の状態は異なります。それぞれの状態に応じた支援が必要です。
〇簡単な言葉でポイントを押さえて説明しましょう。
わかりやすい言葉づかいでゆっくりと、場合によっては絵や写真を見せるなどの工夫をしながら説明しましょう。
〇相手の返答をゆっくり待ちましょう。
すぐに自分の気持ちを言葉にできないことがあるため、あせらずに待ちましょう。
また、抽象的な質問にはうまく答えられなかったりすることがあります。具体的な質問をしてみましょう。
(例)「どうされましたか?」→「切符を買いたいのですか?」
〇ふりがなを付ける、コミュニケーションボードの活用
説明に使う書面は、ふりがなを付けたり、わかりやすい言葉づかいにするなどの工夫も考えましょう。
また、窓口でよく使う言葉やイラストをまとめた「コミュニケーション支援ボード」を用意しておくと、より説明しやすくなります。
「イメージ図」
事例58
紹介状を持参したのに受診できなかった
相談者
発達障害のある人
相談内容
紹介状を持参し市内の大学病院を受診しようとした。失語症に関する受診を希望していたが、紹介状に発達障害についての記載もあり、当該病院では発達障害専門外来の受け入れを停止していたことから、受付窓口職員が該当する診療科がないため診察できないと判断し受診ができなかった。今後このようなことが起こらないよう体制を整えてほしい。
対応
相談者と病院双方に事実確認をした上で、相談者と病院が協議した結果、今後、紹介状持参者の診察可否については受付窓口で判断するのではなく、当日勤務の医師が直接判断することとなった。
事例59
ショッピングセンターへの入店を断られた
相談者
発達障害のある子どもの家族
相談内容
発達障害のある子とショッピングセンターに行ったところ、マスクを着けていないことを理由に入店を断られた。
対応
ショッピングセンター責任者に障害特性について説明し、何か配慮や工夫ができないか考えるよう依頼した。責任者から「障害特性によりマスクが着けられない方がいるのを知らなかった。買い物を楽しみにして来られたのに申し訳なかった。」と謝罪があり、その後は入店が可能となり、他のお客様に対してもお知らせをすること、こまめな消毒などで感染対策を行うと回答があった。
事例60
障害者を対象としたパソコン教室での指導方法
相談者
発達障害のある人
相談内容
障害者を対象としたパソコン教室で、大きな声が苦手なことや手に触れて指導されることが耐えられないことを訴えたが改善されなかった。教室はもうやめるが、教室の責任者と講師を指導してほしい。
対応
相談員からパソコン教室に障害特性に応じた配慮をお願いし、その旨を相談者に報告したところ、「伝えてもらってほっとした。元気が出てきた。伝えてもらっただけでよい。」とのことであった。
事例61
児童を対象にした講座への参加を希望
相談者
発達障害のある子どもの家族
相談内容
発達障害がある子どもが、市町村主催の児童を対象にした講座への参加を希望しているので受け入れて欲しいと思っているがどうか。
対応
市町村の担当部署へ直接相談するよう勧めた。市町村から家族に対して、どのような配慮が必要か聞き取りを行い、希望どおり発達障害のある人への支援の経験があるスタッフが配置され、講座に参加できることとなった。
事例62
担任教員の言動
相談者
発達障害のある子どもの家族
相談内容
孫が特別支援学級に通っているが、担任が保護者に「体験メニューが含まれる社会見学への参加をどうするか。」「特別支援学校に転校してはどうか。」と相談しているという。条例に違反するのではないか。
対応
学校が保護者の意向を確認している現在の状況ではただちに条例に違反するとは言えないが、今後、本人や保護者の意向を尊重せずに決定がなされれば条例に違反する可能性もあることを相談者に説明した。本人や保護者の意向を学校に伝え、今後、本人や保護者の意向が尊重されるよう十分に話し合うよう助言した。
事例63
小学校から卒業式への不参加等を提案された
相談者
発達障害のある子どもの家族
相談内容
小学校の卒業式の練習で、子どもが卒業証書の受け取りの際に緊張から壇上に上がれなかった。その後、学校から式典への不参加又は名前の読み上げだけで受け取りを行わないとする等の提案があった。
対応
担任に直接相談するよう勧めた。保護者から学校に対して式典への参加と卒業証書の受け取りの希望を申し出たところ、校長先生が壇上から降りて児童の席で卒業証書を渡すこととなった。
事例64
家が借りられない
相談者
発達障害のある人
相談内容
一人暮らしを始めるため不動産会社の店舗に行き、物件の相談をしたときに、障害者手帳を持っていること、精神科を受診していることを話したら、担当者から「障害者はトラブルを起こす人が多いので家主さんが貸すのを拒む。」と門前払いされた。
対応
不動産会社に対して、丁寧に話を聞かずに障害を理由に断ったことは、不当な差別的取扱いに当たる可能性があることや、不動産会社の店舗は入居を希望する障害のある人から丁寧に話を聞き、家主さんと交渉・調整を行うことが望ましいことを説明した。
事例65
隣家の住人がいろんなことをしてくる
相談者
発達障害のある人
相談内容
隣家の住人が私が障害者だと思って、工事をする際に敷地に排水を流すなど、いろんなことをしてくる。なんとかしてほしい。
対応
障害者差別解消法や条例では事業者でない一般私人の行為や個人の思想言論については対象とならないので、法務局「みんなの人権110番」と弁護士会の「高齢者・障害者よろず相談」に事前に相談内容を説明した上で相談者に連絡した。
発達障害とはどんな障害?
発達障害は、生まれつき脳の一部の機能に障害があることにより、成長するにつれ様々な生きにくさを感じたりする障害で、いくつかのタイプに分類されます。
自閉症スペクトラム(ASD)
〇人の気持ちを理解したり、冗談や比喩を理解することが苦手
〇自分の話したいことを一方的に話し続けてしまう
〇日課や習慣の変化や予定の変更への対応が苦手。特定のものへのこだわりが強い
〇音やにおい、光、触覚などの感覚が過敏で、そのような刺激で苦痛を感じる
注意欠如・多動性障害(ADHD)
〇じっとしていられない、しゃべりすぎる
〇気が散りやすい
〇予測や考えなしに行動してしまう
〇うっかりミスが多い
〇物をなくしたり、忘れ物をすることが多い
学習障害(LD)
〇「読む」、「書く」、「計算する」など、特定の事柄のみが極端に難しい
<発達障害のある人への配慮の例>
発達障害の特性は人によってさまざまです。その人の特性に合わせた配慮が必要です。
〇耳で聞いて理解することが苦手
→絵や文字、写真、実物などで説明する
〇先を見通すことが苦手
→事前に活動の内容や手順を説明して確認する、作業手順などを示した業務マニュアルを、わかりやすく工夫して作成するなど
〇周囲の音に敏感で集中できない
→ノイズキャンセラーや耳栓の使用を認める、状況に応じて静かな場所を準備する
事例66
利用している福祉サービス事業所を替わりたい
相談者
精神障害のある人
相談内容
就労継続支援B型事業所で仕事をしているが、給料が安いので、就労継続A型事業所に替わりたい。そのことを市に何度も相談しているが、対応してくれず、どうしたらよいか。
対応
相談者はすでに近隣のほとんどのA型・B型事業所で勤務を経験されており、職場定着が難しく、市の担当者と支援者間で、まずは同じ職場に3ヶ月定着することを課題として引き続き支援していく方向で話し合いをしていることを確認した。
相談者に、市の担当者と支援者の意向を伝えた上で、今後も市の担当者と支援者にしっかりと思いを伝えながら、就労継続に向けた支援を受けられるよう助言した。
事例67
薬局で薬の郵送を依頼したが断られた
相談者
精神障害のある人
相談内容
心療内科に通院している精神障害のある人が、薬局で薬が重いので郵送を依頼したら、郵送を拒否され怒鳴られた。
対応
薬局に事実確認したところ、相談者と薬局とで過去にトラブルになったことがあり、薬の郵送を断ったとのことであった。薬局のオーナーに条例の趣旨を説明するとともに、過去のトラブルが相談者の障害特性によるこだわりが原因であることを説明した。障害者に対する合理的配慮の提供と障害特性への理解を依頼したところ、利用者に寄り添うことを基本に今後は丁寧な対応をしたいと回答があった。
事例68
お店で買い物をしていると店員から出入り禁止を言い渡された
相談者
精神障害のある人の家族
相談内容
2年前、お店で女性店員に商品の場所を聞いた際につきまといと誤解され、店長から「もう来ないで。」と言われた。その後も店を利用していたが、最近また女性店員に商品の場所を聞いたところ男性店員から出入り禁止を言い渡された。店を指導して欲しい。
対応
店舗に事実確認をしたところ、2年前に店内で大きな声を発する等トラブルになり入店を断ったことがあり、今回も他のお客様の迷惑になるため入店を断ったとのことであった。関係者との調整の結果、相談者が利用している地域生活支援センターが仲介し、店舗と本人が直接面会し入店を受け入れることとなった。
事例69
店員の対応が不快だった
相談者
精神障害のある人
相談内容
携帯会社に手続きに行った時、店員が私に向かって話をせず同行者ばかりに話しかけてとても不快であった。
対応
事業者に相談者の思いを伝えたところ、担当者から「相談者に対して、不快な思いをさせてしまった。今後は気をつけて対応したいと思う。」との回答があった。
事例70
駐輪場でステッカーを貼られてしまう
相談者
精神障害のある人
相談内容
障害のために駐輪場の奥まで行けないので、管理会社に精神障害者であることを話して入口付近に自転車を置かせてもらうことにした。しかし、すぐに規定の場所への移動を促すステッカーを貼られてしまう。
対応
相談員から駐輪場の管理会社に連絡をとり、天井がある駐輪場は相談者の障害特性によりパニック症状が出ることを説明し、条例の趣旨説明を行った上で合理的配慮の提供を依頼した。後日、管理会社から相談者の自転車に目印となるシールを貼ることを提案され、相談者も了解された。
事例71
賃貸住宅の保証会社の対応
相談者
精神障害のある人
相談内容
引っ越すことになり保証会社に賃貸住宅の保証を申し込んだが、現在無職のため保証会社に、「福祉を利用しているか。通院しているのは何科か。」等聞かれた。精神障害のことは話していないが、通院科まで聞くのは差別ではないか。
対応
保証会社の相談窓口に、「通院しているのは何科か。」等と聞かれたことに相談者がショックを受けていることを伝えたところ、「意見があったことを社内で情報共有したい。」との回答があった。
事例72
精神障害のある人が家主から出て行くように言われている
相談者
民生委員
相談内容
近所に住む統合失調症の人が、夜中に大声を出すので家主から出て行ってほしいと言われている。
対応
夜中に大声を出すことを理由に立ち退きを求めることは、障害者差別とは言えず、生活支援が必要であると判断し、市町村の福祉窓口や保健センターに相談するよう助言した。
事例73
物件の契約を断られた
相談者
精神障害のある人
相談内容
不動産業者に
双極性障害があり生活保護を受けていることを伝えた上で受入可能な物件を紹介してもらったが、契約の段階で断られた。
対応
匿名を希望されたため、障害を理由とした不利益取扱いに関する事実の確認はできなかったが、今後不動産関係団体等を通じて障害者差別解消法及び条例の周知をすることで、相談者の了解を得た。
事例74
職場で障害特性が理解されずつらい思いをしている
相談者
精神障害のある人
相談内容
職場で障害の特性が理解されず、自分の行動を否定されるので大変つらい思いをしている。
対応
職場名は言えないとのことであったため、相談者の悩みを傾聴した。日頃相談している支援者に悩みなどを伝え、対応策を一緒に考えていくよう助言するとともに、職場での合理的配慮についてハローワークの労働相談室に相談することもできることを助言した。
事例75
面接で障害者の採用はしていないと言われた
相談者
精神障害のある人
相談内容
会社の面接を受けに行ったら、面接官から障害者の採用はしていないんだよねと言われた。障害者差別ではないか。
対応
障害者雇用促進法及び障害者虐待防止法の規定違反の可能性があることを伝えたところ、労働局による指導を希望されたため労働局に対応を依頼した。労働局から会社に対し、今後は適正な面接を実施するよう指導されるとともに、面接会場までの交通費も返還され、相談者の希望に添う解決がなされた。
精神障害とはどんな障害?
統合失調症やうつ病などの精神疾患により、日々の生活や仕事や対人関係などにおいて、様々な生活のしづらさを抱えています。
多くの場合、適切な治療や服薬によって症状をコントロールできれば、地域で安定して生活を送ることができますが、病気に対する偏見や誤解によって生じる生活のしづらさがあります。
<精神障害のある人の特徴の例>
〇初めての場所や、初対面の人と話をするような場面では、非常に緊張したり、相手にわかるように伝えることが苦手なことがあります。
〇ストレスに弱く、疲れやすかったりすることがあります。
〇人と対面することや、対人関係、コミュニケーションが苦手な人もいます。
<精神障害のある人への配慮の例>
〇やさしく声をかけ、ゆっくりと用件を聞きましょう。
〇体調が悪いときは、とても疲れやすく、自分一人で作業することができなくなることもあります。仕事や活動の量・休憩時間を調整するなどの配慮をしましょう。
関連情報
〇精神障害への理解を深める
京都府精神保健福祉総合センターや京都市こころの健康増進センターでは、精神疾患に関する様々な情報を発信しています。
また、こころの健康について理解を深めるための講座なども行っています。
〇国の対応指針
国では、各府省庁所管事業における障害を理由とする差別の解消に関する対応指針を定めています。
不動産業については、国土交通省が対応指針を定めています。
事例76
女性に男性のヘルパーが派遣された
相談者
難病の妻を介護している夫
相談内容
妻の介助に男性のヘルパーが派遣され、妻がいやがっている。事業所に申し入れるとヘルパーを派遣してもらえなくなるのではと心配で言えない。どうしたらよいか。
対応
相談者は事業所との調整を望まなかったため、女性ヘルパーの派遣が可能な事業所がないかなどを市町村に相談するよう助言した。
事例77
入院中における重度訪問介護の夜間利用を断られた
相談者
難病者の支援者
相談内容
難病で体を動かすことができない重度障害のある方が入院する際、24時間のコミュニケーション支援が必要になる。平成30(2018)年度から、入院中においても重度訪問介護が利用可能となったが、現在入院中の病院から、夜間の重度訪問介護利用には対応できないと言われた。付き添いを行う家族の負担が大きいため、入院中の重度訪問介護について、終日利用できるようにしてほしい。
対応
医療相談担当課、保健所の難病担当と連携して対応した。当事者家族は在宅時から利用している重度訪問介護者による支援を希望されていたが、病院側としては夜間の介護者交替の際に安全上の問題があり、夜間帯の受入れが困難であるとのことであった。
引き続き、病院と相談者・関係者で建設的な話し合いを行い、解決策を検討していくこととなった。
事例78
銀行が化学物質過敏症への配慮をしない
相談者
難病者
相談内容
カード手続きで銀行とやりとりをしている際、化学物質過敏症のため郵便物を開封することができないので、電話での対応をお願いしたにも関わらず、電話での対応が少なく、郵便物の送付があった。合理的配慮の不提供である。
対応
銀行に事実確認を行ったところ、当初は、病気の情報がなかったので、特性に応じた対応がわからなかった。銀行としては今後は障害、化学物質過敏症の特性に合わせ、丁寧な対応をしていくとの回答があり、相談者にその旨を報告した。
事例79
入浴を拒否された
相談者
内部障害のある人
相談内容
私はオストメイトであるが、ホテルの大浴場に入浴しようとしたところ、「他のお客様が気にされるので入浴はお部屋の浴室でお願いします。」と言われた。
対応
ホテルに対して、ストーマ装具を適切に装着していれば、入浴中に外れたり排泄物が漏れたりすることはなく衛生上の問題はないため、不当な差別的取扱いによる障害者差別の可能性があることを説明し、今後は大浴場で入浴できることとなった。
事例80
マンションの賃貸契約における車いす利用者の入居拒否
相談者
難病者
相談内容
マンション賃貸契約の申し込みをしようとしたところ、6件の物件で車いす利用を理由に入居拒否があった。
対応
対象物件は複数の管理会社にまたがっていることから、事実確認が困難な状況であった。相談員が各管理会社を訪問し、障害のみを理由とする入居拒否は不利益取扱いにあたる可能性があり、今後の合理的配慮の提供についてお願いするとともに、障害者差別解消法及びと条例を説明した。
事例81
職場への通勤経路が認められない
相談者
内部障害のある人
相談内容
障害特性を考慮した通勤経路を要望したが認められなかった。合理的配慮の不提供にはならないのか。
対応
障害者雇用促進法に基づく指導権限のあるハローワークに相談するよう助言するとともに、ハローワークに今回の事例が合理的配慮の対象となることを確認し相談者に報告した。後日、相談者から希望の通勤経路が認められ、希望経路区間の通勤手当も支給されるとの報告があった。
事例82
透析のための早退や休暇取得が認められない
相談者
内部障害のある人
相談内容
定期的に透析を受けることになり、職場の上司に週2日の早退や休暇を認めてもらうよう相談したが受け入れてもらえない。
対応
雇用に関することは障害者差別解消法第13条で障害者雇用促進法に委ねられているため、労働局に相談するよう助言した。
事例83
採用時研修で配慮をお願いしたい
相談者
内部障害のある人
相談内容
障害者枠で採用され、1ケ月間の合宿型研修で毎日ランニングがある。相談者は内部障害があり、ペースメーカーをつけているため配慮をお願いしたいが、どうすればよいか。
対応
相談者から研修担当者に対し、職場における合理的配慮の提供について相談されるように助言した。後日、相談者から、合理的配慮としてランニングは免除されたとの報告があった。
内部障害・難病とはどんな障害?
〇内部障害とは、身体内部の障害のことを指します。外見から分かりにくいため、周りの人に理解されにくい障害です。疲れやすい、携帯電話の電波が悪影響となる、トイレに不自由する(オストメイトの方は、オストメイト対応設備が必要)、タバコの煙で苦しくなったりするなど、周囲の方の理解と配慮を必要とする障害です。
<内部障害の分類>
心臓機能障害、じん臓機能障害、呼吸器機能障害、ぼうこう・直腸機能障害、小腸機能障害、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)による免疫機能障害、肝臓機能障害があります。
〇障害者総合支援法でいう難病とは、難病の患者に対する医療等に関する法律が示す基準のうち2点「発病の機構が明らかでない」「患者数が人口の0.1%程度に達しない」を要件としないこととしており、令和3(2021)年11月より366疾患が対象となっています。
「ヘルプマーク」を知っていますか?
義足や人工関節を使用している人、内部障害や難病者、または妊娠初期の人など、外見からは分からなくても援助や配慮を必要としている人が、周囲の人に配慮を必要としていることを知らせることで、援助を得やすくなるよう作成されたマークです。
「イメージ図」
ヘルプマークを身に着けている方を見かけたら
〇電車・バスの中で席をお譲りください。
外見では健康に見えても、疲れやすかったり、つり皮につかまり続けるなどの同じ姿勢を保つことが困難な人がいます。
〇駅や商業施設で声をかけるなどの配慮をお願いします。
交通機関等の事故等、突発的な出来事に対して臨機応変に対応することが困難な人や、立ち上がる、歩く、階段の昇降などの動作が困難な人がいます。
〇災害時は、安全に避難するための支援をお願いします。
視覚や聴覚に障害があり、状況把握が難しい人、肢体に障害があり自力での迅速な避難が困難な人などもいます。
ヘルプカード
障害のある人などが困ったときに周囲の人や救急隊などから必要な支援を受けやすくするため、その人の障害特性や医療情報、緊急時・災害時の対処方法、緊急連絡先などを記載し、身に着けておくためのカードです。
こんなことが書かれています(「京都市版ヘルプカード」の例(市町村によって記載内容が異なります。また、ヘルプカードを作成していない市町村もあります。))
ご本人の名前、生年月日、住所、緊急連絡先、病気や障害の状況、かかりつけ病院や飲んでいる薬、アレルギーのこと、知って欲しいことや手伝って欲しいこと
ヘルプカードで支援を求められたときは…
〇ヘルプカードに記載されている障害の特性や病気に関すること、してほしい支援、緊急連絡先などを参考に支援をお願いします。
〇ヘルプカードには、必要な配慮や支援がすべて書かれているわけではありません。可能な限りご本人の状況を聞き取るなどしたうえで支援をお願いします。
「イメージ図」
事例84
障害者手帳の提示でない方法で割引を受けたい
相談者
障害のある人
相談内容
病院への直通バスで障害者割引を受ける際、障害者手帳の提示ではなく、障害者手帳を取り込むスマートフォンアプリを提示する方法で割引を受けられるようにしてほしい。
対応
バス運行会社に確認したところ、「導入する方向で内部で調整しており時間をいただきたい。」とのことであったため、その旨を相談者に伝え了解を得た。その後、障害者手帳の代わりにスマートフォンアプリを提示することで障害者割引を受けられるシステムが導入された。
事例85
病院への直行バスの運賃がわかりにくい
相談者
障害のある人
相談内容
病院への直行バスの運賃に関して、病院ホームページに障害者割引の記載がなく、わかりにくい。障害者の運賃を明記するか、メールで問い合わせできるようにしてほしい。
対応
病院に相談内容を伝え、病院ホームページの一部に運賃が記載されていない画面があったため、修正対応をお願いした。後日、ホームページに障害者割引運賃が記載されたことを確認した。
京都府及び各市町村等では、障害を理由とする不当な差別的取扱い、合理的配慮の提供などに関する相談を受け付けています。
【障害を理由とする不利益な取扱い、合理的配慮に関すること】
京都府広域専門相談員
電話075-414-4609(相談専用)業務時間:平日8時30分~17時15分
Eメール
kyousei-soudan@pref.kyoto.lg.jp(相談専用)(原則次の業務日に対応いたします)
FAX075-414-4597(障害者支援課兼用)(原則次の業務日に対応いたします)
地域相談員
連絡先は、京都府ホームページ(https://www.pref.kyoto.jp/shogaishien/jyorei.html)を御確認ください。
【各市町村の障害を理由とする不当な差別的取扱い、合理的配慮に関すること】
<市町村相談窓口一覧>
福知山市
福祉保健部障害者福祉課コミュニケーション推進係
電話0773-24-7017
FAX0773-22-9073
Eメール
shogaishafukushi@city.fukuchiyama.lg.jp
舞鶴市
福祉部障害福祉・国民年金課障害福祉係
電話0773-66-1033
FAX0773-62-7957
Eメール
s-fukushi@city.maizuru.lg.jp
綾部市
福祉保健部障害者支援課
電話0773-42-4254
FAX0773-42-8953
Eメール
shogaishashien@city.ayabe.lg.jp
宇治市
福祉こども部障害福祉課
電話0774-21-0419
FAX0774-22-7117
Eメール
shougaifukushi@city.uji.kyoto.jp
宮津市
健康福祉部社会福祉課障害福祉係
電話0772-45-1622
FAX0772-22-8438
Eメール
shougaifukushi@city.miyazu.kyoto.jp
亀岡市
健康福祉部障がい福祉課
電話0771-25-5031/0771-25-5189
FAX0771-25-5511
Eメール
syougai-fukusi@city.kameoka.lg.jp
城陽市
福祉健康部福祉課障がい福祉係
電話0774-56-4033
FAX0774-56-3999
Eメール
fukushi@city.joyo.lg.jp
向日市
市民サービス部障がい者支援課
電話075-874-2574
FAX075-932-0800
Eメール
syogai@city.muko.lg.jp
長岡京市
健康福祉部障がい福祉課
電話075-955-9549
FAX075-952-0001
Eメール
syougaifukushi@city.nagaokakyo.lg.jp
八幡市
福祉部障がい福祉課障がい福祉係
電話075-983-2129
FAX075-972-2520
Eメール
syogaifukusi@mb.city.yawata.kyoto.jp
京田辺市
健康福祉部障がい福祉課
電話0774-64-1372
FAX0774-63-5777
Eメール
shogai@city.kyotanabe.lg.jp
京丹後市
健康長寿福祉部障害者福祉課障害福祉係
電話0772-69-0320
FAX0772-62-1156
Eメール
shogaishafukushi@city.kyotango.lg.jp
南丹市
健康保健部社会福祉課障害者福祉係
電話0771-68-0007
FAX0771-68-1166
Eメール
s-fukushi@city.nantan.lg.jp
木津川市
健康福祉部社会福祉課障害者福祉係
電話0774-75-1211
FAX0774-75-2083
Eメール
fukushi@city.kizugawa.lg.jp
大山崎町
健康福祉部福祉課社会福祉係
電話075-956-2101
FAX075-957-4161
Eメール
fukushi@town.oyamazaki.lg.jp
久御山町
民生部住民福祉課福祉介護係
電話075-631-9902
FAX075-632-5933
Eメール
jumin@town.kumiyama.lg.jp
井手町
高齢福祉課
電話0774-82-6165
FAX0774-82-5055
Eメール
kourei@town.ide.lg.jp
宇治田原町
福祉課福祉係
電話0774-88-6635
FAX0774-88-3231
Eメール
shougai@town.ujitawara.lg.jp
笠置町
保健福祉課福祉係
電話0743-95-2302
FAX0743-95-3021
Eメール
hokenfukushi@town.kasagi.lg.jp
和束町
福祉課福祉係
電話0774-78-3006
FAX0774-78-2799
Eメール
fukushi@town.wazuka.lg.jp
精華町
健康福祉環境部社会福祉課共生社会係
電話0774-95-1904
FAX0774-95-3974
Eメール
fukushi@town.seika.lg.jp
南山城村
税住民福祉課福祉係
電話0743-93-0103
FAX0743-93-0444
Eメール
d_zeijyu@vill.minamiyamashiro.lg.jp
京丹波町
福祉支援課社会福祉係
電話0771-82-1800
FAX0771-82-0446
Eメール
fukushi@town.kyotamba.lg.jp
伊根町
保健福祉課福祉係
電話0772-32-0504
FAX0772-32-1009
Eメール
info@town.ine.lg.jp
与謝野町
福祉課障害者福祉係
電話0772-43-9021
FAX0772-42-0528
Eメール
fukushi@town.yosano.lg.jp
【官公庁における障害を理由とする不当な差別的取扱い、合理的配慮に関すること】
各官公庁の相談窓口
【雇用における障害を理由とする不当な差別的取扱い、合理的配慮に関すること】
<ハローワーク等一覧>
ハローワーク西陣
電話075-451-8609
FAX075-414-3900
(烏丸御池庁舎)
電話075-255-1161
FAX075-255-1163
ハローワーク園部
電話0771-62-0246
FAX0771-62-4853
ハローワーク京都七条
電話075-341-8609
FAX075-371-0767
ハローワーク伏見
電話075-602-8609
FAX075-611-3040
ハローワーク宇治
電話0774-20-8609
FAX0774-24-7796
ハローワーク京都田辺
電話0774-65-8609
FAX0774-63-6898
ハローワーク木津
電話0774-73-8609
FAX0774-72-3660
ハローワーク福知山
電話0773-23-8609
FAX773-22-4527
ハローワーク綾部
電話0773-42-8609
FAX0773-42-2049
ハローワーク舞鶴
電話0772-75-8609
FAX0773-76-5150
ハローワーク峰山
電話0772-62-8609
FAX0772-62-5301
ハローワーク宮津
電話0772-22-8609
FAX0772-22-4107
京都障害者職業相談室
電話075-341-2626
FAX075-341-2612
京都ジョブパークハローワークコーナー
電話075-682-8609
FAX075-682-8613
京都労働局職業対策課
電話075-275-5424
FAX075-241-3264
【人権問題全般に関すること】
人権擁護委員・京都地方法務局(人権擁護課)みんなの人権110番
電話0570-003-110(全国共通ナビダイヤル)
インターネット(24時間受付)
パソコンからhttp://www.moj.go.jp/JINKEN/jinken113.htm
携帯電話からhttps://www.jinken.go.jp/soudan/mobile/001.html
〇障害者差別解消法
https://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/law_h25-65.html
〇障害者雇用促進法
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/shougaishakoyou/03.html
〇障害者虐待防止法
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/gyakutaiboushi/index.html
〇内閣府障害を理由とする差別の解消の推進
https://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/sabekai.html
〇京都府障害のある人もない人も共に安心していきいきと暮らしやすい社会づくり条例
https://www.pref.kyoto.jp/shogaishien/jyorei.html
〇京都市障害を理由とする差別の解消の推進
https://www.city.kyoto.lg.jp/hokenfukushi/page/0000192671.html
〇民間事業者に関しては、国(各省庁)が事業分野ごとに「対応指針」を策定しています。内閣府ホームページから各省庁の対応指針の検索ができます。
https://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/sabekai/taioshishin.html
〇行政機関については、自治体ごとに「対応要領」を策定しています。
〇内閣府:合理的配慮の提供等事例集
https://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/jirei/example.html
〇内閣府:合理的配慮等具体例データ集(合理的配慮サーチ)
https://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/jirei/index.html
〇独立行政法人日本学生支援機構:障害学生に関する紛争の防止・解決等事例集
https://www.jasso.go.jp/statistics/gakusei_shogai_kaiketsu/index.html
京都府・京都市令和3(2021)年12月
京都府健康福祉部障害者支援課
電話075-414-4598
FAX075-414-4597
Eメール
京都市保健福祉局障害保健福祉推進室
電話075-222-4161
FAX075-251-2940
Eメール
syogai@city.kyoto.lg.jp
お問い合わせ