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編集:京都府農林水産部森林保全課
注意)当マニュアルはエクセルワークシートを活用しているので、配布の際は電子媒体を利用してください。
この木製治山ダム設計マニュアルは、京都府が平成11年度に開発した木製治山ダムの設計について、その後の各現場で設計を積み重ねた経験を生かして、木製治山ダムの設計方法について分かりやすく解説したものです。
木製治山ダムは、現場条件により、次の2つのタイプに分類される。
台形型と変形ラムダ型との使い分けは、以下の基準を参考に行う。
台形型
変形ラムダ型
木製治山ダムを設置する場合は、治山ダム(床固工)の設置基準を満たすことは言うまでもないが、さらに現地条件等を充分に調査し、下表のA群のすべて、かつ、B群の1つ以上、かつ、C群の1つ以上の条件を満たす場合に設置できるものとする。ただし、D群については、上記に関係なく設置できるものとする。
区分 |
設置条件 |
備考 |
A |
(1)大規模な土石流の発生する可能性が低い小渓流 |
必須 |
B |
(3)周辺が樹木で被われており日射の少ない箇所 |
選択(1つ以上満たすこと) |
C |
(6)人家等に近くない森林地域 |
選択(1つ以上満たすこと) |
D |
(10)災害後の応急復旧 |
特例(単独で実施可) |
木製治山ダム基礎の根入れ深は、治山技術基準に準じるものとするが、高さが3m程度以下の場合、下流埋戻部に栗石等による浸食防止工を施工することを条件に、0.5mまで低減できるものとする。
参考:下流浸食防止工の厚さは治山ダムにおける水叩きの厚さ(ウォータークッションのない場合)の
算定式を用いると以下のとおりとなる。
d=0.2×(0.6×有効落差+3×越流水深-1.0)
有効落差:2m、越流水深0.5mとするとd=0.34mとなる。
この値は水叩きをコンクリートで実施する場合のものであるため、木製治山ダムでは、浸食防止工を実施することを条件に、根入深を0.50m以上とした。
木製治山ダムの袖部の突込み深は、治山技術基準に基づく数量とするが、止むを得ない場合は、必要な対策を講じることを条件に、根入深程度まで低減できるものとする。
木製治山ダムは、台形型については、原則として専用の基礎を設置することとする。変形λ型については、特に基礎を設置する必要はない。
基礎工の部材には、木製治山ダムの基礎用部材を用いること。(本体と同じ規格で穴の開いていないもの)
基礎工の部材を固定する金具は、アンカー筋(径9、L=200mm)または、カスガイ等適宜使用して固定する。
木製治山ダムの高さは、経験的に3mを限度としている。
安定計算上の高さには、基礎工の部分は含めないが、放水路天端に設置する天端保護用部材の高さを、含めるものとする。
放水路部分については、特に損傷を受けやすいことから、保護部材を設置し、天端保護と併せて中詰材の流出の防止に配慮すること。
袖部分の天端については、周辺の状況により植生の侵入が可能となるような構造に配慮すること。
安定計算については、別途エクセルシート(台形型安定計算、ラムダ型安定計算)を参考に治山技術基準に示された以下の各項目について、安定となる構造とすること。
3)の堤体の破壊に対して安定とあるのは、ボルト締め構造であることからボルトの引張応力度以内であれば安定とみなす。
台形型の場合
幅2.00mであるが、上下流とも0.20cmの部分は木材か空隙しか存在しない部分であるが、空隙部分に木材を当てはめると上下流で0.10cm縮まることとなる。よって、平均幅を1.80mとして計算する。
横の長さ6.0m、高さは上記7で示した高さ、幅は1.80mとして容積を求めて、そこから使用する木材の体積を差し引いて、中詰材の体積とする。
ここをクリックすると、下記の表がエクセルファイルで開きます(25KB)
上記のような計算により、平均の体積重量を算出し、安定計算を行うこととする。従って、堤体の高さより、平均の体積重量が異なることとなる。
変形ラムダ型の場合
基本的には台形型と同様に計算するものとする。
連結ボルトは材料費に含まれるが、規格は以下のとおりである。
台形型
変形ラムダ型
基礎部
台形型については、基礎及び根入れ部分の設置に必要な日数について、ポンプ排水を計上することとする。
必要な日数は、敷長10m、根入れ深1.02mの場合は以下の日数となる。
木製治山ダムは、耐久性の向上のためにも、水が放水路を越流するように、本体背面(水表側)の放水路より下の部分ついて、ヤシマット又は、防水シート等の遮水マットを設置するものとする。
ヤシマットの数量は、重ねしろ等を考慮して、設置する平面積の7%(フトンカゴの吸い出し防止材の材料割り増しに同じ)を割り増しするものとするが、防水シートは、材料費に割り増しが含まれるため補正しない。
間詰めについては、木ダム本体との均一性を保つことから木製フトンカゴや木柵等の木ダム本体になじむような構造とする。
しかし、水際等腐朽の進みやすい部分については、鋼製枠や、鉄線フトンカゴ等についても検討すること。