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健全な森林を育てるために重要な間伐作業は、府内一円で実施されているが、間伐材の利用が進まず幅広い用途の開拓が求められている。
このような背景を考慮し、平成11年度から循環可能な資源でもある間伐材を利用した環境に配慮し、自然にやさしい木製治山ダム工を導入した。
京都府の森林面積は約345,000haで、うち民有林におけるスギ、ヒノキ等の 人工林面積は123,678ha(平成11年3月現在)で、このうち4~7齢級の間 伐を必要とする森林は48,168ha、人工林全体の39%を占めている。
本府における間伐の実施面積は、昭和63年の3,046haをピークに減少を続け、平成6年には1,302haまで減少したが、その後、間伐の必要性や重要性の普及に努めた結果、平成7年度以降は増大に転じ、平成10年度には3,476haとなった。
また、平成12年度の間伐材積は、45,100立方メートルで、このうち利用材積は2割強の9,800立方メートルに止まっている。
植栽したスギ、ヒノキ等を健全に育成するためには、立木密度の調整を行う間伐は欠かせない作業の一つであり、この間伐を実施することにより、林内に下草等が生育し、表土の流亡が抑制され、森林の多面的な機能が十分に発揮できることになる。
間伐の推進には間伐材の利用が不可欠であり、公共事業への木材・間伐材の利用や新たな利用を模索している現状を踏まえて、間伐材の利用拡大を目的に平成11年度から木製治山ダム工に取り組んだものである。
木製の治山ダム工については、設計法や施工法が未だ確立されていないことから、実際の事業での施工を通して、府立大学等の専門家の協力を得ながら調査・研究を行い、設計法や施工法の確立を図るためモデル的に実施したものである。
木製治山ダム工の設置場所としては、木材の長所や短所を、また、木材の永久構造物としての腐朽という最大の短所を考慮して次のような条件が必要となる。
木製の部材(間伐材:厚さ17cmの太鼓材)を井桁状に組み上げながら、中に石材(栗石等)を充填し、安定断面を台形型に築設する。
木製の部材(間伐材:厚さ17cmの太鼓材)を縦と横に組み合わせ、間隙に石材(栗石等)を充填しながら積み上げ、安定断面をラムダ型に築設する。