平成19年度第1回京都府公共事業評価審査委員会の開催概要について
平成19年10月23日
京都府土木建築部指導検査課
075-414-5221
平成19年度第1回京都府公共事業評価審査委員会の概要は、下記のとおりでした。
1 日時
平成19年9月7日(金曜)午後1時30分から午後4時まで
2 場所
平安会館「平安の間」
3 出席者
「京都府公共事業評価審査委員会」委員
吉川和広委員長、河地利彦委員、佐藤紀子委員、深町加津枝委員、森田宏明委員
(芝池義一委員、中西たえ子委員は欠席)
事務局
(土木建築部)部長、技監(土木担当)、理事、担当室長ほか
【傍聴者】2名
4 議事概要
(1)今年度の委員会の進め方について
- 河地委員が委員長職務代理に指名され、了承された。
- 審議案件の件数等を考慮し、今年度は5回程度委員会を開催することとした。
(現地調査1回を含む)
(2)公共事業再評価の個別審査
- JR山陰本線等 連続立体交差事業
事業種別 街路
事業主体 京都府
所在地 福知山市
- 都市計画道路福知山綾部線 街路事業
事業種別 街路
事業主体 京都府
所在地 福知山市
- 一般府道富野荘八幡(とのしょうやわた)線 地方道路交付金事業
事業種別 道路
事業主体 京都府
所在地 京田辺市
- 国道163号 交通安全施設等整備事業
事業種別 道路
事業主体 京都府
所在地 笠置町
ア 審査の結果
今回審査した各事業の再評価は、委員会に提出された資料、説明の範囲において、その手続きがおおむね適切に進められており、京都府から提出された対応方針案(一般国道163号は「見直し継続」、他は「継続」)のとおりでよいと判断される。
イ 審査の状況
各事業について、必要性や進ちょく状況、事業を巡る社会経済情勢等の変化、費用対効果分析の結果、コスト縮減施策、良好な環境形成・保全の検討等をもとに、事業主体の対応方針案について審査された。
5 議事の内容と主な意見
(1)JR山陰本線等 連続立体交差事業他
- (委員)北近畿タンゴ鉄道宮福線高架を除いて高架事業はほぼ完成しているのか。
(道路計画室)そのとおりである。
- (委員)審査表に「コスト縮減を図ってきた」とあるが、前回の再評価時と比較してコスト縮減できたか。
(道路計画室)高架工事では地中杭から直設基礎への変更や擁壁工から法面工への変更等によりしコスト縮減を実施し、全体事業費は370億円から315億円に縮減できた。
- (委員)本事業に駅舎の建築も含まれるのか。
(道路計画室)本事業に含まれる。
- (委員)今後も継続してコスト縮減に努めるとあるが何をするのか。
(道路計画室)現場製作の計画であったものを二次製品に変更したり、上部工の仮設支保工の見直しを行うなどで、コスト縮減を実施する。
(委員)今後の工事で削減された事業費はどうするのか
(道路計画室)協定額の最終調整を行い、全体事業費の減額を検討する。
- (委員)アンケート調査はどのような方法で実施したか。
(道路計画室)市民2,700人、鉄道利用者2,300人を対象に調査票を配布した。なお、回答率は約19%であった。
- (委員)アンケート結果を見ると、駅施設の利便性の回答に、「駐輪場・駐車場の設置が十分でない」とあるが、今後整備されるのか。
(道路計画室)調査時に十分な駅の関連施設が整備されていなかったことからこのような結果となったと思われる。今後、福知山市所管事業により駐輪場や駐車場が整備される予定である。
(2)福知山綾部線 街路整備事業
- (委員)審査表の事業の進捗状況の項目で、残用地2件で残工事80メートルとあるが、残用地の延長が80メートルなのか。
(道路計画室)進捗状況図の緑色着色部が工事未完成範囲で延長約80メートル。残用地箇所は黄色着色部で80メートルよりも短い。
- (委員)『環』の公共事業構想ガイドライン評価シートの環境評価を△(三角)としているのは感覚的な評価か。
(道路計画室)「完全ではないが効果有り」として△(三角)としている。
(委員)それは自己評価なのか。
(道路計画室)自己評価である。
- (委員)『環』の公共事業構想ガイドライン評価シートの地域個性の項目で「良好な街並みの景観を確保」とあるが具体的にどういう整備をしたのか。整備中の写真では、良好な街並みとは感じられない。
(道路計画室)府の管理道路については、延長2,000キロメートル程のうち、植樹整備されている区間は1割未満である。このような状況の中で本路線は両側歩道に高木を植栽しており、通常より格の高い整備を行っている。
(委員)植栽の樹種は何か。ただ木を植えたということではなく、街並みのために具体的にどういう選定をしたかについて聞きたい。
(道路計画室)福知山市と協議の上、当路線ではハナミズキを植栽している。管理については地元ボランティアにお願いしている。
- (委員)歩道での自転車事故防止対策はしているか。
(技監)以前は自転車は車道を通行することとされていたが、高度成長期以降歩道を通行させるように変わってきた。しかし、その反面、現在自転車と歩行者との事故の増大が課題となっており、国では歩行者と自転車の分離を検討している。今後交通ルールとしてどうなるかは国や公安委員会の議論を待ちたい。
(委員)街灯は設置するのか。
(道路計画室)府ではカーブや橋梁などの地点に道路照明を設置している。本路線ではそのような箇所がないので設置予定はない。自転車や歩行者用の防犯灯設置は市等の所管であり、設置について協議があれば対応したい。
(別の委員)景観は一体性、連続性を考えて欲しい。
(別の委員)ヨーロッパのような自転車専用道を設置すると道路幅員が増えることとなる。自転車の通行に関するルールについては国等と十分協議して欲しい。
(別の委員)NHKの番組で、名古屋で自転車を片側のみ通行させる地域の取り組みを放映していた。参考にして欲しい。
(3) 富野荘八幡線 地方道路交付金事業他
- (委員)事業名に「農業基盤整備関連道路改良事業」とあるが、どのような事業か。
(技監)農業側のほ場整備事業と事業調整を行い実施するもので、ほ場整備計画に道路計画を織り込み、創設換地により道路用地を捻出し、道路用地は道路事業で買収し、それ以外の土地ではほ場整備を行う手法である。ほ場整備事業者は道路事業の用地補償費を受け取り、それをほ場整備の事業費にあてている。
- (委員)事業を始めて15年経つことで、早い段階での買収単価と現在交渉中の用地単価では、乖離があると思うが、どのように対応しているか。 (道路建設室)近年交渉しているのは工業地域であり、初期に買収したのは農地である。経年的な地価の変動はあるが、そもそも土地の用途による単価差もあり、大きな問題とはなっていない。
- (委員)排水が農地に流れ込まないように配慮したとの説明だが、それは事業範囲全線にわたってのことか。
(道路建設室)東側の工場排水が影響する範囲に限ってのことである。
- (委員)『環』の公共事業構想ガイドライン評価シートに「工事着手前に文化財発掘調査を実施した」とあるが、どのような調査をして、結果はどうだったのか。
(道路建設室)京都府の文化財担当部局が発行している遺跡地図を基本に埋蔵文化財の発掘調査を実施した。結果としては、学術上重要な遺構・遺物は発見されなかった。
- (委員)前回再評価時の質疑で、予測交通量が現道・バイパスあわせて12,000台となっているが、現時点での状況はどうなのか。
(道路建設室)現道においては、資料に示すとおり平成17年度の交通量調査により5,333台の交通量である。バイパス部では計測していないため不明である。
(4) 国道163号 交通安全施設等整備事業
- (委員)地元要望について、10年近く事業を実施していて、いきなり平成18年度から一斉に各方面から地元要望が出されているのは違和感を覚える。
(道路建設室)これらの団体からは毎年要望を受けており、審査資料には直近の状況のみを掲載している。
- (委員)歩行者が非常に危険な状況であり、交通事故の防止が本事業目的であると説明されたが、交通事故減少便益が「0」となっている。これでは、本事業で歩道を造る意味がないととれ、お金を掛ける割に便益が少ないのではないかと思うが。
(道路建設室)費用対効果については、国土交通省の算定基準に基づき算出しており、交通事故減少便益は1.主要交差点数、2.区間の延長、3.交通量の項目の増減により算出している。
本事業区間ではそれぞれの項目に変化が生じず、計算上便益が算出されない結果となっている。事業による交通安全の便益を一部しか算定できないことは問題があると思っているが、マニュアルにのっとった形で計算すると交通事故減少便益が「0」となってしまう。
(委員)事業名が交通安全施設等整備事業でありながら、交通事故減少便益が「0」と算定されるようなマニュアルが適切なのか、という疑問を感じる。
- (委員)完了予定が平成24年度となっており、残り5年間である。これまで事業延長1,210メートルのうち730メートルを10年間かけて完了させているが、残り480メートルを5年間で完成させることが可能なのか。非常に危険な状況であり早急に整備すべきと思うので、完成時期について見通しを少し詳しく説明してほしい。
(山城南土木)1,210メートルのうち、東側260メートルを昨年に、西側470メートルを今年度に整備しており、あと480メートルを整備していきたい。既に用地は8割強が買収済みであり、事業が遅れていた大きな原因である、河川側への拡幅・工法変更についての河川管理者との協議も完了した。残りの期間内で全区間完了するように頑張りたい。
- (委員)小学生の通学状況について、危ないところは親が送り、安全なところは子供達が集団で登校しているのか。施設整備が完了したら、この登校方法は変わるのか。
(道路建設室)事業完了後の通学方法については本日資料を持ちあわせていないが、通学以外の一般の人々の生活においても安全性が確保され、事業効果は見込めると思っている。
6 その他
10月9日(火曜)に第2回委員会(現地調査)を、10月30日(火曜)に第3回委員会を、11月27日(火曜)に第4回委員会を開催することになった。