京都府森林審議会の議事要旨
1 開催日時
平成21年3月23日(月曜日) 午後1時から2時15分まで
2 場所
京都市上京区烏丸通上長者町下ル 平安会館 「嵯峨」の間
3 出席者
【委員】
石田委員、奥田委員、栗山委員、髙田委員、田中委員、辻井委員、藤井委員、水山委員、吉田委員 (五十音順)
(欠席 井上委員、川井委員、小林委員、深町委員、松原委員、宮前委員)
【事務局】
小林林務課長、藤井森林保全課長、大槻林務課参事、森井森林保全課参事他林務課、モデルフォレスト推進課及び森林保全課職員
【傍聴者】
0名
4 議題
(1)京都府豊かな緑を守る条例に基づく「森林利用保全指針の骨子(案)」の説明
5 審議内容(主な意見)
(1)主な意見
- 第1章2項の「地域区分」について、「京都」と「山城」の地域は、林業の状況が大きく異なるので分けた方がわかりやすいのではないか。
- 「地域区分」はこの指針に基づき今後、何をしていくかで区分されるべきものであり、区分の判断基準をしめしていくべき。
- 「地域区分」について、木材生産の視点から見ると「京都」地域は「南丹」地域と同じにする方がわかりやすい。
- 第7章「・・・推進体制」のうち、森林所有者に対する表現では不十分。森林組合などがいくら頑張って働きかけても森林整備出来ないのが森林所有者の思いであり、このままでは森林所有者は付いて来ない。働きかけをどうするのかを示すべき。森林所有者の意志決定が肝心、なかなか集約化も進まない。田舎でも昔のように長男が山を守る時代ではく、森林に対する思いは希薄になっている。相続により森林所有が細分化し、不在村所有者も増えてきており、その働きかけや森林管理の義務化が謳えないか。また、義務化に対してはその見返りも必要になるだろう。
- 第3章「森林利用保全の視点」について、「(3)・・・木材生産機能の発揮」をもっと上位に位置づけるべき。これが出来ていないために今のような状況になっている。「環境」が前面に出ているが、「木材生産」が前に出てこそ森林を保全出来るということを出すべき。
- 民有林面積の内、広葉樹が41%を占めているが、広葉樹の利用を謳うべき。北海道等では銘木として取引されている。有効な商品としてみせる時代。
- 森林所有者は所有森林への関わり方により、次の4つに区分出来ると考える。1)悪戦苦闘しながら頑張っている人、2)高齢でも先祖から受け継いだ山林をこつこつ整備している人、3)若手で無関心のため放置している人、4)不在村地主で放置している人。第7章「・・・推進体制」のうち、森林所有者への働きかけを進めるため、森林所有者の自助努力と交流(行政・森林組合の指導による森林所有者(前述1~4)相互の話し合いや共同作業)が必要。
- 第6章3項「府民ぐるみでの森林づくり」について、10月8日「木の日」を活用して「森林に親しむ日」と設定(モデルフォレスト協会で)して、啓発を図ってはどうか。
- 「無関心で放置している森林所有者」の理由を調べてみる必要がある。植林してもシカなどの鳥獣被害をうけ、努力しても報われない、先が見えないという人が多い。鳥獣被害への対策を示し、森林整備への展望が見えるものにしてほしい。
- この指針は林業をどうするかというものではなく、全般的に府民の取組をバックアップしようとする視点に立ったものであるため、この骨子でよいと思う。ただ、林業にとっては使い物にならない。しっかりと思い切った対策を別途打ち出す必要があるではないか。
- 限界集落が多く点在している現状であるが、森林は山間部に生活の場をおく方々が支えている。条例に基づく指針に山村生活者から見た「緑」も含むとするなら、その生活者の視点がほしい。府民全体から見る「緑」と山村生活者の「緑」は似て非なもの。
- 例えば茅葺きの集落や景観を守ろうとする時、その集落には10~20人しか住民がいない。その集落の住民の生活、山の生活者を支援し守る視点が必要。行政の姿勢として漠ッとしたものではなく、具体的な文言を示してほしい。
- 京都府は山林境界が不明確なところが非常に多く、山林境界が明確なところは府内で6%しかないとも言われる。今のうちに山林境界を明示しておく必要があり、その対策も検討してほしい。
- 木材の経済的な裏付けや、住みにくい山間地の住民の生活を守ってこそ森林整備がついてくるのではないか。「木材生産機能の発揮」が一番重要と思う。指針の骨子はあまり抽象的になると、指針がぶれてしまうのではないか。
- 指針は、条例に基づくものであるが、条例そのものがそういうものではないので、そういう話をここに書き込むのは無理ではないか。この指針に具体的なことを書いても特に縛りもない。指針はさらりと流して、別で議論をした方がよいのではないか。
- 第4章「・・・目標と目指す姿」のうち、「環境保全型」で目指す森林の姿の中で、「人工林の強度間伐を行い・・・混交林に推移」と記述されているが、それが可能かまだ実証されていないので注意が必要。また、「大学等と連携して試験研究を行いながら」という表現がほしい。
- 「里山」の文言があるが竹林も含むのか、どこまでを「里山」とするのか、その定義を表記しておいた方がよい。
- 第7章「・・・推進体制」のうち、(森林組合、木材関連業者)について、同じ扱いになっているが、「生産」と「利用」それぞれ別の立場で、森林組合と木材関連業者は別のものであり、一緒に書かない方がよいのではないか。
- この指針で施策の方向性を示すということだが、条例でいう「長期的な目標」を示していく必要があるのではないか。