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平成27年度 第2回京都府日本型直接支払制度支援委員会の議事要旨
1開催日時
平成28年3月22日(火曜日)13時~15時
2場所
ホテルルビノ京都堀川「アムール」
(京都市上京区東堀川通下長者町下ル)
3出席委員
星野会長、飯尾委員、柏尾委員、金子委員、松下委員
4議題
- 平成27年度の実施状況について
- 二箇環境向上委員会(京丹後市)による取組事例報告
平成27年度京都府農地・水・環境保全向上対策協議会優良組織表彰
京都府農業会議会長賞 受賞地区
- 意見交換
5内容
(1)平成27年度の実施状況について
委員からの主な質問・意見
- 多面的機能支払交付金について名前や制度が変わってきているので、改めて3メニューの説明をしていただきたい。
→農地維持支払は、農道・水路等の基礎的な維持管理に対する支援。資源向上(共同)は、農村環境の保全向上(景観作物の植栽や生き物調査)に対する支援。農地維持と資源向上(共同)が旧共同活動になる。
資源向上(長寿命化)は、農道・水路の長寿命化(補修や更新)に対する支援であり、旧向上活動になる。
- 環境保全型農業については対前年比227.6%と取組が格段に進んだが、説明では緩効性肥料・長期中干しがその要因とのことであった。これは新しく制度に追加されたのか。
→27年度から交付対象に追加した。
- 追加はどんなプロセスで行うのか。
→国への申請後、国の第三者委員会に諮られ、妥当という結果がでれば追加することができる。
- カバークロップとはどういう意味か。
→化学肥料の代わりに、例えば、マメ科植物のレンゲなどの緑肥となる植物体をすき込む農法のことである。
- 環境保全型農業は地域によって取組内容に差があるが、これは府の指導に地域格差があるためか、それとも地域の自然的条件が影響しているのか。
→後者と考える。元々その地域で取組が盛んであった農法などが影響していると思う。なお、府の指導に地域格差はないと考える。例えば、「有機農業」に関して言えば、府では、全ての普及センターに「有機農業相談窓口」を設置し、「京都府有機農業アドバイザー」と連携した相談体制を強化している。
- 環境保全型農業について、実績見込みには複数取組もカウントしているのか。
→実績見込みは全て複数取組が入っている。
- 中丹地域では緩効性肥料・長期中干しの取組が大きいが、地域での環境教育等の行事と関係しているのか、それとも慣行的なものが影響しているのか。
→地域でもともとこの農法が採用されており、交付対象の拡大に合致した。
- 中山間地域等直接支払交付金の取組面積減の理由は、高齢化によるものが大きいとの説明であったが、その他の理由は何があるのか。また、高齢化対策には即効性がある対策はないが、今後の見通しはどうなっているのか。
→高齢化に伴う後継者不足による影響が大きい。平場の条件が良い農地では集積が進むが、中山間地の農地は生産性及び米価の問題から集積が進みにくい。条件が悪い中でも地元の方は、先祖から受け継いだ農地ということで、必死に農地を守られているが、5年後を考えた際に同じように営農できるか分からない、ということから協定廃止や協定農用地を絞っている実態がある。高齢化に伴い農地がどのように集積されていくかがポイントだと考えている。
今後は協定から除外された農地の要因分析が必要だと思うが、行政が動いたからといって、構造的な問題もありすぐに状況が改善するわけではない。ただ京都府として守るべき農地を選別するなど、考えていく必要がある。現地の状況は次回の委員会でお示ししたい。
- 中山間地域等直接支払交付金の向こう5年間農地を守るというルールに例外はないのか。
→対策期間終了までに耕作放棄地を出すと、協定初年度に遡って協定農用地全ての交付金を返還しなければならない。ただし、農家の死亡や病気、介護によって農業の継続が出来ない場合等については、返還免除規定がある。
- 耕作は継続性が大事で有り、一度辞めてしまうと再開することは難しい。続けて農業ができるように、支援を考えてほしい。
- 中山間地域等直接支払交付金は短期的には所得補填で農地を維持できる効果があるが、長期的な視点でみた場合、この施策だけでは問題を解決できない。ただし、「林地化」を認めていることから、集落の土地利用構想を変えていくことにはつながっているといえる。
- 綾部市では未取組の集落を対象に説明会を開催したことにより、新規協定が複数できたとのことだが、他と同じように感じる。何か違う点はあるのか。
→綾部市では上林地域、志賀郷地域で新規協定が締結できた。事務局説明のとおり、市が説明会を開催したことが新規協定締結につながった。その他に、交付金を共同機械の更新にあてたいという要望が多く、また多面的機能支払交付金や府事業の命の里事業に取り組んでいたことによって共同活動をするという素地があったことも新規協定が多かった要因ではないかと考えている。
- 事務負担軽減のため、広域化を進めるというのは重要である。担い手への集積も組織が大きい方が進みやすいし相互にカバーしあえる等、メリットは多い。
(2)二箇環境向上委員会(京丹後市)による取組事例報告
委員からの主な質問・意見
- 月の輪田の面積はどのくらいか。
→7平方メートル程度であり、三日月型の水田。隣では5アールほどの田んぼで古代米を栽培している。
- 由緒ある田というのは何かに記録されているのか。
→日本古事記に記載されている。
- 生き物調査は学校と連携しているのか。
→学校と連携して行っている。二箇地区だけでなく、学区全体の子どもが参加できるよう学校から要望があったため。
- 非農家も活動に参加されているのか。なぜ参加しないといけないのかといった声はなかったか。
→非農家の方も活動に参加されている。最初は否定的な声もあったが、芝桜を植栽したところ、近所の方が喜ばれ活動に興味をもたれた。次第に子どもや老人の方も含め、非農家の方も草刈り等に参加され、横のつながりができるようになった。
- 非農家の参加を得るコツはあるのか。
→老人会や消防団等の団体に声かけをし、活動に巻き込むようにした。それが良かったと思う。
- 構成員の年齢階層はどうなっているのか。
→50~60代が活動の中心メンバー。
- 月の輪田の碑文は40年以上前のものだが、どうして復活させようとなったのか。
→多面的機能支払交付金に取り組むことによって、横のつながりができ、子どもたちに自分たちのふるさとを知ってほしいという思いから復活させようとした。
(3)意見交換
- 国第三者委員会の動きについて報告する。3月9日(水曜日)中山間地域等直接支払交付金、3月11日(金曜日)多面的機能支払交付金の国第三者委員会が開催された。両委員会とも主な議題は、中間評価に関するものであり、統計数値の他、活動組織等に対するアンケートを活用していくということであったが、アンケートは受益者による評価になるので、客観的な評価が必要になると考える。
中山間地域等直接支払交付金の第三者委員会では、取組減少の要因分析もあった。高齢化は取組減少の大きな理由であるが、参加者がいてもリーダー(代表者)の高齢化により、後任者を確保できなかったことから取組を断念したという協定もあるとのことであった。
- 鳥獣害対策に交付金の大半を使われている集落もある。国に対して、鳥獣害対策の拡充を望む。
- 二箇地区の発表のような、埋もれていた地域の宝が再発見されるということは非常に大切。継続的に地域の農地を守るためには、農村と都市の交流等、外部から人を呼び込むこむことも重要であり、そのためには興味を持ってもらえるような地域の宝が必要で、非常に良い取組をされていると感じた。
- 環境保全型農業直接支払の中丹地域の「緩効性肥料の利用及び長期中干し」のように、地域の歴史や自然条件等、地域の実情にあった活動が工夫されながら展開されていると感じた。
- 多面的機能支払交付金中間評価の活動組織向けアンケートに、府独自の項目を設ける予定はあるのか?
→アンケートの内容・実施方法等の詳細を把握できていないので、府独自項目の追加や取りまとめ方法については今後検討させていただく。
次年度の委員会については現地調査を実施すると共に、多面的機能支払交付金の中間評価に係る市町村・活動組織のアンケート取りまとめ結果について、府としての意見についてご審議をお世話になりたい。