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平成21年5月20日水曜日 14時30分から17時
京都ガーデンパレス 「楓」
稲本会長、柏尾委員、小林委員、十倉委員、向井委員、宮崎委員
【事務局】
(農林水産部)今西部長、
(農林水産部農村振興課)中村課長、小川参事、田淵主査、中村主任
(1)制度の経過について
(2)平成20年度の取組について
(3)京都府最終評価案の検討について
(1)制度の経過について
中山間地域等直接支払制度の概要及び第1期対策から現行対策にかけての経過、次期対策に向けての国・府の動き等を説明。
(2)平成20年度の取組について
平成20年度の京都府の取組実績を説明。
〈質疑応答・意見交換〉
(委員)
役員の報酬等はどういうものか?具体的に教えてほしい。
(事務局)
協定参加者が、協定活動に取り組む中で、お金の管理をするために、協定参加者間の合意の下で、役員を決めてもらう。協定代表者、副代表者、会計の少なくとも3名は必要。
役員には、その役務に対する対価として参加者合意の下で、報酬を払っている。
(委員)
使途はあらかじめ、国や市町村等で定められていないのか。
(事務局)
概ね2分の1は、共同取組活動に充てるよう規定されている。
ただし、個人の面積割で、全額個人配分を行っている都道府県もある。
そのような中、京都府は、共同取組活動への配分が比較的高い。配分方法、何に使うか等は、集落の合意に任されている。
(委員)
役員報酬の使途割合が都府県平均と比較し、京都府は低い。この背景は?
(事務局)
現地の実践活動に対して、より有効に使おうという、意欲の表れではないかと考えられる。府の役員さんの活動が他府県に比べ、軽いからということでは決してない。
(委員)
第2期対策になって、より多くの集落協定が締結されるようになり、以前にはなかった、より積極的な取組が拡大したことは非常にうれしいことである。
集落マスタープランの策定により、見通しを持った計画の下で、取組を実行していくという意味で、ハードルが高くなった。
より積極的な取組が広がってきたのはなぜか?地域の市町村や京都府も含めて、それを推し進めるようなところがあったのかお聞きしたい。
(事務局)
当初、2期対策では、1期対策と比較して、取組がかなり落ち込むのではないか、高齢化が進む中で、協定のメンバーの入れ替えもあまりない中、もう5年間活動を続けていけるのかとの心配の声が聞かれた。
より積極的な取組が広がったのは、市町村が地域をきめ細やかにまわり、府の広域振興局も市町村と連携して、地元を盛り立てていったから。
ただし、次期対策が行われた場合、もう5年間活動を継続できるかという問題はある。次期対策では、事務的な軽減等を考えていかないといけない。
(委員)
交付金の共同取組活動への配分割合が、京都府は、近畿平均、都府県平均と比べて、目立って差がある(高い)が、この背景は?
(事務局)
京都府は、第1期対策(平成12年度)当初から、毎年全都道府県中1~3番あたりにいる。
本制度スタート時から、いくつかの市町村では、集落営農や地域農業を守るために、有効に活用するよう、交付金を全部共同取組活動に使うよう取り決めをしている。これが要因ではないかと思われる。
(委員)
京都の地域性が出ている。
体制整備単価のA要件の「機械・農作業の共同化」、B要件の「集落を基礎とした営農組織の育成」の選択率が高いのは、京都が、集落営農の育成に力を入れてきたから。
A要件の「新規就農者の確保」が高いのは、京都という土地のブランド力ではないか。
(委員)
京都府平均を出しているが、近畿の中での特徴は?
(事務局)
京都府は地目別でいうと、水田が圧倒的。
滋賀県も水田地帯であるが、比較的平坦地が多く、協定数は少ない。
京都府は、集落営農や地域農場づくりという点で他府県をリードしている。
近畿平均の数字は、畑(果樹)が大半を占める和歌山県の数字が、他を引っ張っていると思われる。
(委員)
取組実績の京都府の平均値は、熱心な協定が数値を上げているのか、あるいは、どの協定も平均してレベルが上がっているのか。
(事務局)
京都府の傾向として、2~3ヘクタールで、数人が少ない交付金で細々とやっているところが多く、少数の100ヘクタール近い協定が数値を引き上げている。
京都府平均値ではその傾向がわかりにくい。
(委員)
近畿の中で見た京都府の数値が示されているが、これは京都府全体の平均値である。
集落の大きさ、農家構成(兼業・専業の割合)等地域間で格差があるが、地域間、集落間の構造の差は、どこまで意識をしておくべきなのか。京都府として指導する中で、どのように感じているか。
(事務局)
2ヘクタールのところでもがんばっているところ、2ヘクタールだけど、無理だというところがある。取り組んでいる農家の意識・意欲の差も出ている。地域で営農組合が組織されているか、作業受委託がどこまで進んでいるかでも差が出ている。
(委員)
NPO法人、企業、学校、複数集落間等新たな連携の事例として挙げられているのは、農家を中心とした従来の取組から進んだ、非農家等の外部とのネットワークを作っていこうとする取組である。
(委員)
体制整備単価要件のA要件の「高付加価値型農業の実践」の選択率が低いが、高付加価値農業、地場産農産物の加工販売は、地域外との基盤づくりに発展するものである。
京都府は、取組が水田中心ということで、果樹や野菜については弱いところか。
(3)京都府最終評価案について
京都府最終評価(案)を説明。
〈質疑応答・意見交換〉
(委員)
中山間地域は厳しい。(評価どおり)これだけできていたら5年前にすでにバラ色。
制度を存続させてほしいということからよい評価を書くという趣旨は理解できるが、表現はもう少し抑えめにすべき。
Aは大甘なA。
農政改革の議論が進み、農地法の改正により優良地や生産性の高い土地に光が当たっているが中山間の土地はどうなのか。
評価に出てきた模範例には行政が手をかけなくてもいい。税金をかけるのなら、限界集落に光をあてるべき。といっても高齢の人たちにやらせるのではない。
大学、NPOに、ボランティア的な支援を求めるのでなく、報酬をもらって、地域に入って、ガバナンスや事務的なスキルを持った担い手が活動するような制度が必要。
(委員)
現行対策では、将来に向けた積極的な取組を行って通常単価。基本的な事項だけでは、8割単価。ここから考えると、願わくば、全ての協定を通常単価のところまで引き上げたい。
各地で新しい取組が出てきたことを評価しつつも、将来につながる積極的な取組に進んだ協定は5割にとどまり、残りの5割を積極的な取組へと進ませるための仕掛けが必要と考えると評価はBくらい。
(委員)
17年度から21年度という短期間のうちに、こんなに成果があがっているのだなと感じた。このような制度の下に、短期間で成果をあげているところがあるのだと感心した。
地元に戻って、お米作りをしている人たちにこのことを話したいと思う。
(委員)
特徴的な取組の形を見ていると、地域内で全ての階層を取り込むなど、ネットワーク化のための組織作りの工夫をしており、その結果として取組が成功している。
福知山市の三岳地区は、過疎化・高齢化が進んでいるが、8集落で組織を作ることによって、中でも特に過疎化・高齢化が進んでいる集落が救われている。
総合評価に次期対策における限界集落も救えるような制度設計への要望を入れることを検討していただきたい。
(委員)
限界集落をどうにかする方法として、集落間のネットワークがよいのなら、どのようなネットワークが可能なのか。
「自ら計画を作る」の「自ら」の中身をもう一度掘り下げていく、地元というコアな部分の中身をどこまで広げていくのかが課題。
女性が少ないという統計もあるが、農家の女性、農村に住む女性をこういった取組にどのように参加してもらうかが課題。
放棄地が出ないよう農地を守り、多面的機能の維持をはかりつつ、集落がどうしたら存続できるのか、農村での暮らしという部分が成り立っていけるのか、次の対策で考えてほしい。
(委員)
以上の議論を、下記の2点でまとめる。
1 中山間地域対策が対象とすべき地域をどう設定すべきか。
他の地域、隣の集落等、外に向かって活動、組織づくりを広げていく。
地域をどうするかについて農業者以外も含めた住民という観点から考えていく。
また、内に向けても、しっかり連携をしていく。
2 中山間地域対策をどう展開すべきか。
農業活動に閉じこもっているのではなく、農業関連の活動、農業を超えた活動に取組内容を広げていくべき。
中山間地域対策、条件不利地対策として捉えるだけでなく、この制度をだしに、きっかけにして取組を広げていくという発想も大切である。
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