平成19年度第1回京都府中山間地域等直接支払制度委員会の議事要旨
1 開催日時
平成19年8月30日木曜日 午後2時00分から4時00分まで
2 場所
平安会館 金閣の間
3 出席者
【委員会】
稲本 志良会長、野寺 夕子委員、東田 文男委員、宮崎 猛委員、(小林智子委員は欠席)
【事務局】
京都府農林水産部 今西次長、農村振興課 中村課長、中村参事(担い手支援室長)、小瀬担当係長、田淵主任
4 次第
(1)開会
(2)平成18年度及び平成19年度の取組状況について
(3)中間年評価の実施について
(4)制度の推進に向けた今後の取り組みの検討について
(5)閉会
5 審議内容(報告内容及び主な意見)
(1)「平成18年度及び平成19年度の取組状況について」並びに「中間年評価の実施について」
<事務局から配付資料に沿って報告>
- 平成18年度実施状況の公表について
- 市町村別取組実績について
- 制度の実施状況について(実施市町村、協定、交付面積、交付総額、協定活動の動向等)
- 地域の取組の紹介
- 府内協定活動の動向について
(ア)新たな連携の事例について(6事例)
・ NPO法人との連携(舞鶴市杉山集落協定)
・ 企業との連携(京丹後市佐野甲集落協定)
・ 学校との連携(与謝野町石川亀山集落協定)
・ 非農家との連携(南丹市上ヶ城集落協定)
・ 地域のファンとの連携(福知山市毛原集落協定)
・ 集落間の連携(福知山市三岳集落協定)
(イ)取り組みの特徴的な事例(地域別5事例)
・ 京都市中江集落協定
・ 京田辺市高船集落協定
・ 京丹波町本庄集落協定
・ 舞鶴市長谷集落協定
・ 与謝野町温江集落協定
<委員からの質疑・意見>
- 前向きで積極的な取り組みを行っている集落では、どのような人がどのような手順で進めているか。
- 中間年評価は全協定で行うのか。また、委員会で審議する内容は何か。
- 協定が締結できていない集落の状況はどうか。
- 協定を引っ張っているリーダーの年齢は何歳くらいか。
- 今年度から、農地・水・環境保全向上対策が進められているが、府として両対策はどのように進められているのか。地域の重複はないのか。
- 先の国の選挙において農政が大きな争点であった。国の動きを察知して、小規模農家への支援などに当たるべきである。
(2)「制度の推進に向けた今後の取り組みの検討について」
<事務局から次の論点提起>
「制度を活用した中山間地域の活性化方策の検討について」
ア この制度を活用した中山間地域活性化のポイントについて
イ 活性化に向けて行政が取り組むべきことについて
ウ その他過疎化、高齢化集落の維持・再生に対する提案
<委員からの意見>
- 従来のような産地づくりの農業振興は難しくなっている。地域農業の担い手が多様化してきている。その意識も多様化している。その中で、地域づくりをどの観点から進めるかが課題である。
消費者も巻き込んだ新しい地域価値の再生戦略が求められている。滋賀県では、魚のゆりかご水田、兵庫県では、コウノトリの米づくりなど消費者にアピールして、国民的なレベルの理解を得ている。
これからは、単なるものづくりではなく、多様な担い手が統一した地域価値を発見できるような体制づくりが重要。
その際の不可欠な条件としては、「都市と農村の交流」が必要と考えている。直売や契約栽培などが具体的な動きに当たる。
- ひとつの地域で多様な担い手層がうまく動いているような理想的な取り組みを進めている地域はそうないと思われる。現実として農村にはそれほど担い手はいないと思われる。
- 優良事例を如何に今後の施策に活かすかの観点では、優良事例を表彰するために人を集めるようなシンポジウムは要らない。300人、400人を集めるなら、そのエネルギーをもっと大きな渦を起こす会にしてもらいたい。
地域において、おもしろい取り組みを進めている人はたくさんいる。その細かな活動の芽を如何に情報としてつかみ取るかを、個人的にも日々考えている。新聞記事になっているような情報は一般人受けしやすいが、一方で情報として扱いにくい段階の方が新たな芽と言えるのではないか。
南丹広域振興局で定年帰農の審議会の委員として携わってきた。その中で、IターンとUターンの違いを痛感している。両者は同じ視点で扱うことは難しく、全く別の施策が必要と感じている。
Uターンは、農地確保の観点からはうまく行くが、受け入れる側にも案外感情的な抵抗感があることが分かった。Iターンの方が、受け入れ側に抵抗感が少ない。
- 先に発言された地域価値には、地域に住んでいる人に視点を当てた内向きの価値と外向きに考える価値と、両方の意味が含まれていると思う。
地域が持続して活力をもっていくためには、内向きの戦略と、外向きの戦略が必要であり、両面が必要と考えられる。
- 府内の新しい動きも現に出ているなかで、集落のリーダーとして地域で苦労されている人を、審議会に招いてプロセスを聞き取りすべきである。
単なるシンポジウムの開催ではなく、頑張っているリーダーを見つけてくるべき。小さな芽を探し出すことができるはず。そして、そういう人たちを支援するための中山間地域の応援団を作ったらどうか。
- 積極的に取り組む地域がある一方で、そうでない地域も多いと思われる。その中で、広域的に捉えて施策を進める観点から、公的な役割は必要と思われる。
- 滋賀県は、水・環境に対する取り組みが進んでいる。NPOも盛ん。県職員も地域に入って率先した取り組みを進めていると聞いている。府県の枠を越えて連携した取り組みを進めていく必要がある。
- 府と市町間については、強制的になってはだめだが、うまく連携すればいい動きになる。府から市町へのちょっとしたアドバイスが、地域段階のすばらしい活動に発展するケースがある。
いい意味で市町村に対して施策の押しつけができるのは、府の役割と感じる。
- 地域価値を上げるため、農家や住民が動き始めたら、それを支援するのは行政の役割と考える。また、共通のスローガンを追求する計画づくりでも行政では役割を果たす。
地域への支援策としては、財政的支援は難しくなっており、今後は人的支援が挙げられる。
最近ある集落の全戸調査を実施したが、中山間地域を取り巻く状況は思っている以上に深刻である。高齢化が急ピッチで進行している。過疎化、高齢化に対する対策としては、高齢者も含めた人がなるべく流出しない対策も重要。また、Iターン者を上手く受け入れていくことも大事と考えている。
- 妻としての女性の意見も尊重しないといけない。実際には、定年帰農として、簡単に60才で生活を転換できる人は少ない。
- 帰農においても、息子に期待するより娘に期待する方がうまくいくことがあると思う。
- 中山間地域の活性化方策として行政に期待する項目としては、財政支援、代行支援、インフラ支援が挙げられる。
- 鳥獣害対策として、バッファゾーンを設ける作業を住民とボランティアが一体的に取り組んでいる事例がある。このような取り組みを直接支払制度と絡めてやれればおもしろいと思う。
- 地域でおもしろいことをやっている人を市町村に頼ることなく、府でも自ら見つけて欲しい。
- 中山間地域に対する悩みは共通するものだと思う。事務局の思いで進められればよい。
- いろんな取り組みを考えるときに、結果や成果から議論することが多いが、そこに至る「発想」と「プロセス」に視点を当てて学ぶべきことが大事。
取り組む主体も多様であるし、手法や支援の内容、領域も多様性を持っている。
その多様性を羅列しながらのみ考えるのではなく、「発想」と「プロセス」を意識して、本日の委員会では意見を賜った。
6 閉会(事務局)
- 制度を活かした活性化の取り組みを進めていくこととしたい。
- 府としてもいろんな施策をすすめているが、地域を総括りにして取り組みを進めたい。その際には、「発想」と「プロセス」を意識していきたい。
- 本日頂いた意見を活用して、引き続き制度の推進に努めて参りたい。
7 配付資料(参考)
平成18年度 京都府中山間地域等直接支払制度の実施状況(PDF:686KB)