第12回教員の評価に関する調査研究会議の議事要旨
1 開催日時
平成17年7月29日(金曜日) 午後2時30分から4時30分まで
2 場所
京都市上京区東堀川下長者町 ルビノ京都堀川 2階 加茂
3 出席者
【委員】
調査研究会議:
山口座長、塩見副座長、谷口委員、中桐委員、樋口委員、宮崎委員、八尾坂委員、(0名欠席)
協力:
宇治市立大久保小学校 藤谷校長、宮津市立宮津小学校 石野校長、綾部市立綾部中学校 仲田校長、府立朱雀高等学校 高畑校長、府立南丹高等学校 野田校長、府立綾部高等学校 田口校長
【事務局】京都府教育委員会 池田管理部長、堀尾総合教育センター次長、中島教職員課長、吉田教職員課参事ほか
【傍聴者】5名
4 議題
(1)教員の評価に関する調査研究について
5 審議内容(結果及び主な意見)
(1)平成16年度教職員評価制度試行における評価の段階についての状況報告
添付資料に基づき報告
平成16年度教職員評価制度試行における教諭・実習助手に対する校長評価結果<段階評価の分布・評価の個別割合>(PDF:12KB)
平成16年度教職員評価制度試行における教諭・実習助手に対する校長評価結果<B評価が1個及び2個の者の詳細>(PDF:29KB)
(2)評価の段階を見通した平成17年度試行(当初面談等)実施状況について
ア 小学校(樋口委員から報告)
- 小学校の特徴としてほとんどの教職員が学級を担任しており、あるべき学級経営、あるべき学年経営をイメージし、それを基本に年間の学習指導を計画する。小学校の教員は、教職員評価制度の職務区分である「学習指導」「生徒指導・学級経営」「学校運営」の中でも学級経営をベースに年間の目標を組み立てているので、その学級経営の目標である学級経営案に関連づけながら自己申告書に記入された自己目標について教員を認め、励まし、育て、意欲を引き出すようにすべきである。
イ 中学校(仲田綾部中学校長から報告)
- 当初面談を通じて感じたことは、教職員が思った以上にそれぞれの立場でしっかりしたビジョンを持ち、取組を行っていることである。自己目標については抽象的な部分もあったが、年度末に自己評価がしやすいよう、当初面談で具体的な手段や数値目標を聞き取り、補足説明を受けた。
ウ 府立学校(中桐委員・塩見副座長から報告)
- 当初面談の状況については府立学校間で進捗状況にばらつきがあるもののどこともに時間の確保に苦慮しているようである。当初面談時に評価に関わって教職員に説明していることは、最終面談で一方的に評価者の評価を伝えるのではなく、自己評価と評価者評価をつき合わせながら、成果や課題を共有化し次年度に積み上げていけるような評価、最終面談にしたいということである。
- 自己目標については自己評価がしやすいような記入を求めたが、評価の段階では本人の振り返り、課題の自覚が大切であり、そのための日常的な育成の観点からの指導助言、支援を通した密接な評価者と被評価者との関係づくりが非常に重要であると感じている。
エ 実施状況に対する意見
- 自己申告書にはそれぞれの学校のそれぞれの教職員の持ち味を生かした得意分野での目標も入れ、そのことによって意欲を持って取り組んでもらうという発想も必要である。
(3)意見交換
ア 評価項目
イ 段階評価
- 3段階評価で良いが、「A」「B」「C」段階のネーミングについては継続して検討すべき。
ウ 評価表(付表)
- 職務遂行状況の観察記録は正確な評価を行う上で不可欠であるが、記録様式としての評価表(付表)は適宜様式とする。また、育成の観点から目標の達成状況や指導助言の記録の一部を評価表に記入できるよう、所見欄を設けるべきである。
エ 評価基準・加点方式・伸長度合いの加味
- 能力はその高さを評価するのではなく1年1年の伸長度を評価することによる加点方式であると明記すべきである。
- 実績は目標をどの程度達成したか、能力は伸び具合、どれだけ伸びたかを評価するものとすべきである。
- 実績評価のABCの持つ意味と能力評価のABCの持つ意味を分けて表記すべきである。
- それ以上の能力の伸びが期待できないほど授業の構成能力や発問の仕方に高い能力を有する教員には能力の伸びではなく維持に対してC以上の評価をしても良いのではないか。
- 通常の範囲で能力が伸長しているのがCでそれよりも昨年と比べて著しく能力がアップした場合がBとするのか、Bという絶対的な水準があってそこに到達しない限りBとつけないのかを判断すべきであり、中途半端に両者を加味することは非常にわかりにくい。
- その教職員のもともと持つ基礎的な能力をABCとランク付けするのではなく、一般の教職員よりも低い能力しかなくてもその自分の現状からどう伸長してきているのかを評価すべきである。そのために基本的に持つ能力をベース化すべきであると考える。
- 教職員の持つ能力のベースはまちまちであるが児童生徒が毎年変わるといった状況の変化に対応しながら教職員がその状況に合った指導方法を積み重ね、引き出しを作っていくことによって能力も高まっていくのである。
- 実績については周りに変化があるから出来た年もあれば出来なかった年もある。意欲についても意欲的に取り組んだ年、そうじゃない年で変化する。能力についてはその年の伸長度を評価すべきである。
- 1年単位の評価ということを考えれば、その教職員に対する前年のイメージを一旦真っ白にし、そこから教職員の努力や自己の向上のための工夫、意欲を引き出すべきである。
- 能力については、あくまで年度単位で評価すべきである。
- 能力の見方はその教職員が具有する能力ではなく、持っているものをどれだけ発揮したか、具有する能力をどれだけ行動にあらわしたかを評価すべきである。経験年数の違いや個人により具有する能力には違いがあるが、発揮されたものという観点において共通性を持たせるべきである。しかし、それだけでは激励、意欲を喚起していくという評価制度の本質が必ずしも十分な効果を得られない場合があるので、伸長度合いを付加することにより意欲付けややる気を持ってもらうような機能を盛り込むと考えるべきである。目標管理の考え方と各評価項目の意味付けを整理する必要がある。
- 評価項目の説明にあるように発揮能力を評価するのであれば、段階評価の説明の部分でも「Cを一般的な発揮能力として、それより高い場合はB……」とか実績については「一般的な目標に対して標準的な達成をした場合はC…」と明確に表記すべきである。
オ 最終面談
- 教職員評価制度は教職員の育成、能力開発を目指すものであり、アセスメントをするだけ、足りない部分や良くできた部分を発見するだけではなく、具体的に何をすれば良くなるのかを示し、最終面談で啓発すべきである。
(4)協議
本日の審議内容を踏まえて座長、副座長で第2次調査研究報告書の詳細部分については調整し、まとめることで協議が整った。
調整後の第2次調査研究報告
第2次調査研究報告(PDF:553KB)
調査研究報告 新旧対象表(PDF:30KB)
6 問い合わせ先
教員の評価に関する調査研究会議 事務局
京都府教育委員会管理部教職員課、電話075-414-5789