平成18年度京都府産業教育審議会の議事要旨
1 開催日時
平成19年3月19日(月曜) 午後1時30分から4時30分まで
2 場所
ルビノ京都堀川2階「ひえい」
3 出席者
【委員】
岩下 正弘 会長、渡邉 隆夫 委員、小瀧 茂 委員、貴田 康乃 委員、森田 雅憲 委員、並木 隆和 委員、大嶋 良子 委員、藤井 浩之 委員、田嶋 民江 委員
代理出席(括弧内は代理出席者氏名)
黄瀬 謙治 委員(湯瀬 敏之 京都府商工部商工総務室副室長)
鞍掛 孝 委員(本永 治彦 京都府農林水産部企画室課長補佐)
(4名欠席)
4 議題
(1)開会
(2)教育長あいさつ
(3)会長あいさつ
(4)報告事項
ア 府立高校における産業教育における現況について
イ 府立峰山高校における企業と連携した職業教育の活性化について
ウ 府立工業高校における企業と連携したキャリア教育の推進について
(5)協議事項
(6)会長、副会長の改選
5 審議内容(結果及び主な意見)
(5)協議事項
ア 協議題
これからの京都府における企業と連携した職業学科の在り方
イ 委員の意見の要旨
- 京都府商工部が進める北部産業活性化拠点の整備について、府北部には、伝統に裏打ちされた丹後ちりめん産業やこれと並ぶ丹後の基幹産業となった機械金属産業があり、また、長田野や綾部、エコートピア京都三和など工業団地への企業集積や綾部のオムロン、京セラなどの企業の立地が進んでいるところである。これらの産業のさらなる発展と企業集積を生かした次の段階の発展を図るためには、ものづくり人材の確保・育成機能の強化が不可欠である。このため、日本電産の御協力により旧峰山工場の施設を活用し、人材育成支援と丹後地域の総合産業支援を核とした「京丹後拠点」を20年度開設を目途に整備する。当施設は、約3.6ヘクタールの敷地と約1.1ヘクタールの施設で寮も備えており、様々な活用法が想定でき、産業教育にも御活用いただけるものである。
- 大学に学生を迎える立場から、高校を卒業して企業に入るためのインターンシップもさることながら、やはり、大学に入る目的意識を明確にするためには、ある程度産業社会での生の知識を、比較的早い段階からもった方が、大学に入って受ける抽象的な知識がよりいきいきとする。単に技術の伝承というレベルに留まらず、働くことの意味、ビジネスの意味、企業経営の意味、市場の意味などが感じられるインターンシップになればよい。
- 小さい間から、小中高大を通じて職業教育をすることによって、勤労観の育成とか職業観の育成を全面的に取り上げないと企業との連携に係るこの問題はなかなか解決できない。教員養成系の大学でも、教育実習以外に介護実習を義務づけているところもある。中学生くらいから相当長期間にわたる職業体験は効果をあげている他府県の事例もあり、インターンシップに代わるようなものができるのではないか。北部地域の峰山高校では、繊維デザイン科があるが、丹後ちりめんを発展させるために、例えば、西陣織などと共同作業を行うカリキュラムの工夫や家政科との連携もできる。また、福祉関連の専門教育では、高齢社会の現実も踏まえ、福祉関連産業や生活関連産業で、地元に出ていくことを具体的に考えると勤労観、職業観に繋がっていく。
- 宇治市9中学では、キャリア教育指定を受けており、職場体験から社会で働く意義を短期間であるが学んでくる。徳育の部分に関すること、いわゆる時間を大切にしなければならないことや親に感謝しなければならないことを身につけ、今後もキャリア教育を位置づけて進める。
- 高校生のインターンシップは、大学のインターンシップと比較すると採用・就職と不連続である。北部産業活性化拠点の整備推進で、ものづくり人材の確保・育成強化を置き換えると、量と質の確保になるが、学校教育の中での質は上がっているとは考えにくく、まだまだ高校教育の3年間でもっともっと詰め込む余地がある。企業の必然的な行動として、日本人でうまくいかない場合は、海外に目を向けることになり、中国人の必死さ加減の方が遙かに上で、その人材で何とかしようとする。むしろ、企業側としては、企業からの出張する学校への派遣授業で生徒の技術が随分上がることから、先生方の職業教育の技術向上をされる方がよいのではないか。
- 学校教育で高度な技術を生徒に指導できる立場の方がいないと、今まで誇りにしてきた日本の技術は廃れてしまう。企業に出てからではなく、学校教育段階で中学生・高校生が感動をし、職業観につながる動機付けが大事である。長期間の計画的に一貫した教育課程の中で、専門教育の充実と技術・技能の熟達を図るために、現制度の中学校と高等学校、あるいは高等学校と大学・大学院の間での専門一貫教育は実現できないだろうか。
- 職業に就いていた者の離職率が中学校卒業者で7割、高校卒業者で5割、大学卒業者で3割という現状を打開しなければならない。働く人たちを出していくことと受け入れることを作り上げる中で、マッチングさせていかないと、折角、教育をしても、府外へ出ていったり、地元に帰ってこなっかたりするのでマッチングさせることを考えていかなければならない。
- グローバルな意味での農業を取り巻く環境の変化としては、中国・南米からの農産物がだんだん入ってこなくなる状況がある。特に、穀物の需給が弱くなっている中で、それをカバーするために、迂遠ではあるが、京都は穀物生産には向かないかもしれないが、丹後地域・中丹地域で新しい施設型の集中産地を作る動きが盛り上がっている。それらに応えられる学校・技術教育を幅広くやってもらいたい。農業の活性化の問題は、基本的には今の社会は流通である。流通がどのように変わっていくか、それをしっかり担い手がとらえることにより、新しい産地の核になっていく人がどんどん育っていくことが大事である。新しい産地づくりに対応できるような人づくりに行政・学校教育の力を借り、流通についての経営感覚を磨く人材を育成することを期待する。
(6)会長、副会長の改選
会長 岩下 正弘
副会長 的場 敏信
に決定