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平成25年7月29日(月曜日)午後3時から午後5時まで
京都府庁 1号館6階 政策企画部会議室
佐藤部会長、田口委員、細井委員、松下委員、山ノ内委員
本田政策企画部長、畑村政策企画部企画監、柴田計画推進課長、栗山明日の京都担当課長
主なやりとりは、次のとおり。
・指標として、バリアフリー等は数字そのものを拾えばよいのでわかりやすいが、社会的な環境の中での人権侵害の状況は何で見るのかが難しい。適切な指標や分析がないか。
・他自治体においては、最近「多文化共生」が盛んに言われているが、京都府の場合、それはあまり前面に出てこない印象を受けた。出てくるのはユニバーサルデザインに関する指標で「高齢者や障害のある人をはじめ、子ども、成人、妊婦、外国人など」と最後に出てくる。外国籍の方の人権を取り巻く状況に全く触れられていない。
・他の分野の指標と比べて、この分野の指標は主観的なものが多い。人権問題の改善状況は、意識調査でしか計ることができないのか、客観的な指標はないのか。
(事務局)
昨年度のこの部会で、人権の問題はさまざまな事象、施策に広く関わるものであるところ「人権尊重という、ひとまとめのカテゴリーでくくるのがよいのか」との議論があった。この点は次の計画を策定する時の検討課題ではあるが、現在の構成は、個々具体的な人権問題はそれぞれに関係する分野の指標で見ており(例えば、児童虐待やいじめについては子育て・子育ちの安心、DVについては男女共同参画)、この人権尊重の項目では、人権について総合的にみるという考え方に立って人権教育や啓発を対象としている。
・人権尊重が人の意識に上がることが大切という考え方から、この分野の指標は、主として啓発に関するパフォーマンスを見ている。
・たしかに、「多文化共生の問題をどう捉えるのか」という問題はある。ニューカマーの人権問題は京都府では少ないので表には出てきにくい一方、オールドカマーの人権問題はある。書き方は非常に難しいが、一般的に「人権侵害があると思うか」という意識調査で掌握できるように思う。意識調査の実施はこの点においてベンチマークの指標として前進だと思うが、(被抽出者ではなく)回答者の母数に偏りがある。やむを得ないことではあろう。
・ベンチマークレポートで使われている「ボランティア」とは、どういった意味、定義で使われているか。これが曖昧だと(分析に基づく)その後の施策の方向性に齟齬が生じる。「プラットフォームの参画者数が減った」イコール「ボランティア活動の参画者数が減った」とは言えないのではないか。
・言い換えれば、ボランティア活動の参画者数等の指標は何の数字を拾っているのか、ということ。
(事務局)
次回部会までに確認する。指標は大別して2種類あり、1つは府主導で行っている事業への参加者数であり、これは増えている。もう1つは一般的にボランティア活動全般への参加であり、こちらは減少傾向にあり、2つの指標の傾向には乖離が見られる。その原因の1つとして、京都府の場合には同じ方がたくさんの活動に参加されているという傾向があると推測される。参加者の裾野を広げる必要があるとも考えている。
・地域力再生交付金事業自体はよいことだと考えるが、本来、市町村がやるべき事務であって、府が手を出すべきことではないように思う。しかし、市町村に好意的に受け取られているという状況があれば、こういった形の自治体間の協調も現状ではありだとは思う。
・指標に生涯未婚率とあるが、家族形成の仕方は個人の価値観の問題。それを府の施策に反映させるのはどうか。未婚率が増えていることを「後退」と評価することを批判する向きもあるのではないか。そもそも「結婚を望む人の出会いの場が増えること」という基本目標の立て方が違うのではないか、という考え方もあるところ。
(事務局)
昨年度は、当初、重点課題に「婚活事業をはじめ多面的な少子化対策の推進」を挙げていたが、府が婚活事業を促進するのはいかがなものかという議論があり、最終的に重点課題から除外した経緯がある。
・「コミュニティは人の生き方を縛るもの」という考え方もある中、「コミュニティを再生させることが大事」という考え方で記述すると疑義が出やすい。
(事務局)
目指しているコミュニティは決して旧態依然としたウエットものではなく、自由で開かれた新しいタイプのコミュニティであるが、基本目標と指標が必ずしも一致していない。結局、新しいコミュニティといえば、現状ではNPOしかない。
・人々の人権が損なわれない新しいコミュニティとは何かが明確ではない。そのため、細かな話に入りにくい。
(事務局)
新しいコミュニティ像が示されれば、施策が描きやすい。
・年末年始等に地元に帰った時、地元を離れて東京等に行った人達(潜在住民)が集まり、地元にいる人達と情報共有している。こういった情報共有の場、集える場が必要と感じる。小さなコミュニティで何かをしてもなかなか広がっていかない。広くつながることができる人が集まれる場が必要。
・基本目標にある「地域住民」という捉え方が違うのではないか、という御指摘。
・地縁、血縁の話に限られている。そうではないコミュニティのあり方があるはず。例えば、福岡でもドーナツ化が進んでおり、山傘の担ぎ手が不足しているので企業も参加している。そして、転勤族の方々が転勤した後も山傘を担ぎに来たり、定年後に福岡に居住したりしている。こういうことを言うのではないのか。
・新たな人を入れる、新しい血を入れるということが必要。
・若い世代はフェイスブック等で交流するだろうが、行政がそういう場を創るのもよいことだと思う。
・バーチャルの世界の交流がリアルの世界の交流に影響を与えることもある。地縁、血縁はなくならないが、これを強調すると排他性等のコミュニティのマイナス面が強調される。
(事務局)
地縁、血縁ではない新たなコミュニティづくりを計るものさしとして、何が考えられるか。
・新しい住民が増えているところでは、例えば地域住民以外の方に公営住宅をより安い賃料で提供するなど、新たな住民への居住支援が行われている。
・特定の目的を共有し(その人の全人格ではなく)一部の人格で参加するアソシエーションは、コミュニティとは異なる。これは、コミュニティと区別する必要がある。新しいコミュニティのイメージが明瞭ではないため、ものさしを示すのは難しい。
・「京都地域創造基金と連携して取り組む提案型プログラムの設置件数」の指標は、新たなコミュニティといった意味合いで取り上げたものか。
・コミュニティ形成を施策分野から外すことはできないというコンセンサスはあるが、新しいコミュニティのイメージは今後議論を重ね、指摘を受けながら創り上げていく途上にある、というのが現状。
・古くからの人を結集させることも大切だが、新たな人を排他的にならずに受け入れるという点を計る指標があればよい。
・中山間地域と都市部とでは、コミュニティに対するイメージが違うのではないか。
・京都では、中山間地域でも都市部でも人の移動がほとんどないので、コミュニティのイメージに地域間の差はあまりないのではないかという感覚がある。
・自分がDVに遭っていることが分からない方、被害に遭っていることを受け入れられない方も多いことを実感している。被害者の置かれている状況はそれぞれであり、深刻である。相談件数が増えているからよいというものではない。また相談に至るまでにも時間がかかるという実態がある。
・そのような実態に対して、指標として何を数えるとよいだろうか。
・中学生に対してコミュニケーションの取り方一つでDVやいじめになるという啓発活動を行っているNPO等がある。啓発をどのように行うか、が大事。
・ とても重要な指摘であり、加害者に対して自覚させるという視点が現在の指標にはない。
(事務局)
DV被害の件数が増加し、深刻化している実態がある。府が啓発活動を強化した結果、これまで潜在的に存在していたものが表面化し、相談件数が増加している側面がある。
・顕在化したのは意識の高まり、ということができる。現時点では、顕在化した事例が増えたことは、悪いことでもあり良いことでもある、と評価せざるを得ない。社会啓発の点から事業のパフォーマンスを見た方がよい。
・かつてに比べればDVの認知度は上がっているが、セクシャルハラスメント同様、加害者に自分の行為がDVであると気付かせることが重要だと考える。啓発事業を指標化することは可能なはず。
・指標に社会進出している女性の数や割合が取り上げられているが、「(男女双方に対して)社会で活動する女性をとりまく環境が改善されたと感じている人の数」を入れてはどうか。女性委員の数等だけでなく、ここは主観があってもよい項目だと思う。
・最近、新聞等で妊婦に対するマタニティハラスメントが話題になっている。会社に支援制度がないために、やめざるを得ない状況がある。これを指標として取り上げることはできないか。女性の離職に関する数値等はどうか。
・統計上は「自己都合による離職」としか出ないだろうと思われるため、難しいのではないか。
・「配偶者が家事を十分に分担していると思う既婚者の割合」について、男女間で感覚が異なると思われるため、男女別に分けて示すか、傾向の違いを記載するべき。この見せ方ではあまり意味がない。
・定住することがよいことか、というのはある。個別の施策課題(居住のための基盤整備等)は、安心安全の再構築部会の分野になっている。
・指標にある「地域法人」とは、何か。
・地域再生活動を行っている団体のうち、その活動を継続して行うために法人格を取った団体をさす。
・必ずしも現在住んでいる地域にそのまま住み続ける、というのは難しい状況もある。
(事務局)
畑等の生産手段があるから完全にその地域から離れることはできないが、生活するのが困難なために生活基盤は別の地域に構えて畑に通う、という実態もある。
・そのように「ふるさと定住」のありようは変わっていく。新しい「ふるさと定住」のモデルが提示される必要がある。目標が示された上で、どこまでできたのかを確認するのがベンチマーク、住まい方の共通認識がない状況でベンチマークの話はしづらい。
・男女差、地域差があるような指標は、その旨を何らかのかたちで記載した方がよい。
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