京都府住宅審議会(第19回)開催結果
更新年月日:平成31年3月12日
審議会等名 |
京都府住宅審議会 |
担当課(室)名 |
住宅課 |
設置根拠法令等 |
京都府附属機関設置条例 |
設置年月日 |
令和26年7月25日 |
担任する事項 |
住生活基本法(平成18年法律第61号)第17条第1項に規定する計画の策定及び変更並びに京都府府営住宅の整備及び管理その他の住宅に関する重要事項について知事の諮問に応じ調査審議し、意見を答申する事務 |
委員数 |
20 |
1 日時
令和3年3月26日(金曜日)午前10時から12時まで
2 場所
3 出席者
委員 : 18名 うち代理出席2名(欠席2名)
傍聴者 : なし
報道関係者 : なし
その他 : 関係課、事務局
4 議事概要
(1) 報告事項
(2) 部会の設置及び部会委員の指名について
事務局から資料3及び資料4により説明し、承認された。
事務局から資料5及び資料6により説明し、本日の意見を踏まえ、次回審議会で再度審議することとなった。
<議事について>
- 資料1、③の施策の方向性の1点目について、「住み慣れた地域で自立して暮らせる」というのはそのとおりだが、「自立」が強調されて地域とのつながりというニュアンスが弱い。「住み慣れたコミュニティの中で」など表現を再考してほしい。
- ⑥の施策の方向性についても、「防災・減災」だけではなく「復興」という視点でも議論してきたので、そのような形での整理が望まれる。
- 資料1の⑥の主な御意見の1点目にで、「危険性の高い宅地の土地取引時の情報提供の強化」とあるにも拘わらず、資料2の「施策の方向性」の中で浸水被害情報の提供の義務づけが論じられていないのが残念に思う。滋賀県では条例化されている。浸水履歴や宅地の安全性に係る情報の流通について、もっと踏み込んだ提言をしてほしい。
- ③の「高齢化社会への対応」について、現行の住生活基本計画が策定された時点から、より長寿命化社会になっており、これまでなら、前期高齢者(アクティブシニア)のうちの維持管理や住み替えなどにより、最後まで住み続けることができたかもしれないが、これからはさらにその先を考えないといけない時代になってきた。
- 昨年、都市近郊の住宅地で調査したことがあるが、これまでは住宅の維持管理ができていたアクティブシニアの方々には、「今後は、生活資金を残しながら自宅にはあまりお金をかけないで住み続けたい。」と、少し見通しが甘いのではないかと感じられる方も多かった。また、これらの方々が共通して求められているのが、住まいの選択肢や今の住宅の耐震性、あるいは不動産の資産価値など多様な住情報である。従って「高齢化社会への対応」の中にも「多様なニーズに応える住情報の提供」といった施策を盛り込んでいただきたい。
- ③の「高齢化社会への対応」について、自分も単身高齢者であり、今後の住まいについて、リフォームして住み続けるのか、コンパクトな住宅に住み替えるのか、終身の老人ホーム等に住むのか、もし住み替えるなら自宅はどうしようかといった不安・とまどいがある。施策の方向性に「住み慣れた地域で自立して暮らせる住環境の形成」とあるが、その前の段階にある高齢者の不安・とまどいに寄り添いながら、「住み慣れた地域で自立」の方向に誘導していくサポートあると良い。
- 高齢期になると、バリアフリー化や断熱性能を向上する改修などの住宅への投資は経済的にやりづらくなるため、50代後半くらいの、一般的に所得が高いと思われる時期に住宅への投資ができるような後押しが必要であり、またそれらの投資がストックの良質化ともつながる。また、現状では住宅を選ぶにしても選択肢がないという問題がある。賃貸住宅を希望しても、住宅地によっては一戸建て持ち家しかなく選択できない状況があり、どの世代にとっても良質な賃貸住宅への需要はあるので、どのように住宅地を誘導していくのか、施策として検討していく必要はあるのではないか。
- 資料5についての主な質問・意見
- 資料1の1(1)の○印の項目の順序が2の(1)~(8)と対応していない。そろえた方が現状・課題を踏まえて施策の方向性が示されているという流れで分かりやすい。
- 1(1)の「○地域特性」の項目で、2(4)にある「気候風土や文化」が触れられていない。京都府にとってきわめて重要なキーワードであるので、府の施策としてよりアピールするためにも、このような視点を反映し、「南北に長い」や「海山」など地域特性を活かしたまちづくりが進んでいることを記述すべき。
- 2(5)の3番目の項目に、「建物の価値の適正な評価」とあるが、建物という言葉に限定せず、地域のコミュニティ形成やその周辺の環境等を含めた価値が評価されるという観点が重要ではないか。
- 建物と「土地」の価値も併せて見るべきと考える。また、不動産の視点からは、売れる、貸せるといった「価値」を生み出すものが「良好なストック」と言えるのではないか。
- 空き家の発生防止に向けた取組について、当事者は空き家と思っていないという場合もある。実家を相続した後、法事に使うため置いている場合等がそうだが、客観的には空き家になっている。そういった事例に対して、市町村や関係団体との連携した取組はもちろんだが、不動産業者に相談すれば何らかの具体的な提案も受けやすく、どのようにそちらへの誘導ができるかを考えている。
- これから10年間の計画ということを踏まえ、1(1)には「さらに空き家は増える。」こと、2(5)には「老朽化するマンションが増え、これに対する支援を考える必要がある。」ことを記述すべき。
- 2(4)の最後の項目において、「地域課題に対応したコミュニティミックス」とはどういうことか不明確。説明をいれるなど分かりやすくすべき。
- 念頭に置いているのは、例えば公営住宅で高齢者が集中し、自治会活動が成り立たなくなっている場合に若年世帯を積極的に誘導するなど、多様なタイプの世帯で入居者が構成されるようにしようというものと思われる。
- 多様な世帯の混在の必要性はさまざまな文脈で主張されている。ここでは、大規模な公営住宅団地等の整備によって、特定の年齢、所得階層の世帯が人為的に集中してしまうことへの対応が必要であることが指摘されている。いずれにしても説明は記載しておくべき。
- 2(5)の空き家の発生防止に向けた取組の2つ目について、空き家になった事情・理由をよく分かっているのが地域住民であるが、どこまで把握しているかということや見守り等の取組状況は地域によってさまざまである。進んだ取組をパイロットモデルとし、それ以外の地域へと展開していくことが必要
- 2(6)について、ヒートショックなど健康問題の点を記述されたことは重要であるが、プラスの視点ではなく、実際に断熱のない住宅における心疾患のリスクは多く指摘されており、喫緊に解消していかないと「健康被害が大きくなる」というマイナスの視点からの記述への見直しが必要
- 環境・エネルギー問題は、日々の生活や運用面の話であり、ここまで達成すればよいという話ではなく非常にとらえどころがない。運用面の取組を強化する制度設計につなげるような対策が必要と考える。
- 国はガソリン車からEVへの置き換えを図っているが、集合住宅では充電の方策という点でハードルが高い。特に集合住宅での導入支援を検討してほしい。
- 遮音性能について、これまでは住戸の戸境間の問題であったが、今回のコロナでは住戸内の遮音の問題であり、全く基準がない。サブスクリプションでのシェアハウスという居住形態も出てきており、同じ住戸内でプライバシーや居住単位・空間単位の遮音性の確保というのが重要な視点となっている。
- 2(7)の地域コミュニティの移転促進や事前復興計画等については、住宅政策の範疇に納まらないのでは。答申としては行政機関に対し関係部局への働きかけを求める等、記述の仕方に工夫が必要ではないか。
→ 答申に向けたとりまとめとしては、住宅部局にとどまらない御提言も含めていただければ、行政の側で関連部局の連携の中で、施策を展開していくものだと考えている。
- 2(8)の「住まいの多様な情報が身近にある環境」について、(7)とも関連するが、昨年の宅建業法の改正により不動産取引の重要事項説明においてハザードマップの説明が義務化されたが、ハザードマップが府民にとって見やすいものであることと、どこで見られるのかをアナウンスしていただきたい。府のGIS地図情報サービスに分かりやすく表示されているが、府民に知られていない。例えば、舞鶴市では「まいづるメール」で行政の情報が市民に配信されているが、同様に「府民に伝わる」ような取組をお願いしたい。
- 2(7)について、全国計画ではレジリエンス機能の向上が謳われている。被災後の速やかな復興が求められるため、同様の記述を加えたらよいのではないか。
- 2(7)について、「災害の危険性の高い地域の情報」とは何かをもう少し具体的に記述すべきではないか。例えば、「ハザードマップ」、「水害履歴」、「盛土、切り土」など。
- p.28の朱書き部分、防災拠点化を図るという箇所が削除されており、おそらく公的賃貸住宅の防災拠点化が困難ということが理由かと思われるが、そうであればせめて「地域防災への貢献」としてほしい。
- 2(7)について、災害に関する情報は、府民の手元に届くようにするということは実際は非常に難しい。そのため、不動産取引時に情報が届くよう徹底することが重要ということが、被災住宅に係る紛争処理を扱う中で強く実感するところ。情報が手元に届く仕組みをつくることが大事である。中間とりまとめ素案においては、2つ目の項目において、「不動産取引の場面で、そのような情報が流通する仕組みをつくる」といった踏み込んだ表現がよいのではないか。
- また、ハザードマップは大きな情報であり、浸水情報に関しては身近な支川や農業用水がどうなるのかといったきめ細かな情報の充実ということも重要
- このような話をすると浸水エリアでの不動産取引を抑制すべきという主張と捉える向きもあるが、情報が分かれば、宅地のかさ上げや基礎を高くする等の対策につながるのであり、取引の抑制につながらないと考えている。
- 2(7)には、地域の防災まちづくりという、住民が自ら取り組むという観点が必要。受身だけでは限界がある。
- コロナによって在宅避難が勧められているが、どう避難するかの検討は進められていない。集合住宅では1、2階の住民が上階に避難することが考えられるが、そのように逃げられるコミュニティが形成されていなければならない。今は自助のレベルで問いかけられているが、いざ災害が発生した場合やコロナリスクが伴う状況の下で、それだけでは厳しい状況である中、今後10年間に向けてはこのようなことも考えていくべきではないか。
→ 京都府では洪水予測システムの構築に令和3年度から取り組むことにしている。本格的な稼働はまだもう少し先になるが、このシステムで得られる情報が、個人のタイムライン、いつどういう時に避難行動に移すという計画につなげられないかと考えている。また、このような取組をしっかりとピーアールすることも重要であると考えている。
- 公営住宅をはじめとする公的賃貸住宅において、垂直避難に資することを加えてもらえたらよいと思う。
5 配付資料