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令和3年2月26日(金曜日)午後3時から同4時00分まで
ZoomによるWEB会議
(出席委員)
松井道宣、北村泰子、吉田享司、水野加余子、河合美香、木村祐子、梅田陽子、松永敬子、小林千紗、荻野隆三、石田洋也、福井景一12名
(欠席委員)
東佳明、森淳、角井弘之、坂野晴男、福中善久、勢子由紀子、堀忠雄7名
(事務局)
山口指導部長、常田参事他事務局18名
(1)開会
(2)あいさつ(松井会長)
(3)報告事項
今年度の事業報告
(4)協議事項
京都府民のスポーツに関する実態調査(臨時)報告書について
分析結果と今後の方向性について
(5)閉会あいさつ(山口指導部長)
【説明(事務局)】
今年度は、新型コロナウイルス感染症拡大により、多くの事業が中止となったが、その状況も含めて報告させていただく。
まず、資料の1ページの第43回京都府民総合体育大会については、今年度は総合順位を争わない形での実施となった。市町村対抗競技においては、中止が6競技、実施が9競技となり、多くの種目で中止となった。そのほかにも、福知山で開催予定でした、オープニングフェスティバルについても、今年度は中止となった。来年度は亀岡での開催を予定している。資料3ページでは、実施された競技の中で順位をつけたものの結果を載せてある。
次に、資料4ページ以降は、京都府選手の国内外大会での競技結果を載せている。国内外ともに大会が少ない中だったが、多くの選手が活躍した。今後も、選手の強化・育成を各競技団体と協力・連携し、取り組んでいきたい。
次に、「京の子どもダイヤモンドプロジェクト・京都きっず」について報告する。資料10ページ、これまでのバドミントン、フェンシング、カヌーの3競技において進めてきたプログラムも9年目となり、過日、10期生のオーディションを実施したところで、今後ともプログラムの充実に向け検討をしている。
資料にもあるが、全日本フェンシング選手権大会において3位となった選手は、京都きっずを修了した高校生で、小学校4年生から中学校3年生までの6年間の育成プログラムの成果であった。この結果をロールモデルとして、時間はかかるが各競技団体も選手の発掘・育成を進め、京都の安定した競技力維持につなげたい。
また、2022年から10年間の2.期種目が先日決定した。2.期では、1.期に引き続きフェンシング競技、そして新たな種目としてボート競技、スポーツクライミング競技の3種目で種目特化型として実施する。
つぎに、第76回国民体育大会冬季大会について報告する。周知の通り、昨年予定されていた鹿児島国体は延期となり、現在は三重国体に向けて強化を進めている。資料11ページ、第76回国民体育大会冬季大会の成績については、スキー競技会に関しては中止となったが、スケート・アイスホッケー競技会については1月27日~31日に愛知、岐阜県で開催された。
結果、フィギュアスケートにおいて少年女子が優勝、また全ての種別で入賞するなど素晴らしい活躍をした。その結果、スケート競技会では、女子総合得点において、昨年の第75回大会と比較して8点増えるなど幸先のよいスタートを切ることができた。
三重国体の男女総合の入賞ラインは、スキー競技会は中止になったものの、1,500点が必要であると推定しているので、さまざまな面で見直しを進め、持続可能な強化策を構築していきたい。
最後に、資料12ページのワールドマスターズゲームズ2021関西については、昨年1年延期が決定したが、2022年の5月13日~29日での開催が正式に決まり、その準備を進めている。
コロナ禍において、現在も事業の実施が難しい状況が続いているが、来年度に向けて準備を進めていく。
【質疑応答】
意見、質問なし
【説明(事務局)】
京都府民のスポーツに関する実態調査(臨時)の報告書について、その集計及び結果分析、また今後の京都府のスポーツ施策の方向性について提案する。各項目をクロス集計した「詳細版」の結果については紙面で事前に送付しているが、今回はその中で、主な結果及び分析についてパワーポイントで説明したい。
まず、改めて本調査の目的は、「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)」の感染が拡大したことによる新たな運動欲求や運動実践のデータを収集し、今後のスポーツ振興に生かすために、臨時調査を実施した。
今回の内容の項目は、まず、1.調査の実施概要について。2.回答者の属性、3.の調査結果では、報告書の詳細版から、主な結果を抜粋している。そして、4.スポーツ施策の指針用データについて、最後に5.まとめとして報告する。
なお、2月25日にスポーツ庁から令和2年度のスポーツの実施状況等に関する世論調査の概要が発表されている。実施期間が、スポーツ庁の方は11月6日から11月25日と、本府の調査期間と多少違っており、スポーツ庁が出した概要版の結果等で、同じような結果を示した項目もあれば、違う内容のものもあった。
それでは調査の実施概要について説明する。今回、WEB上でのアンケートを実施したことで、6622件という非常に多くの回答を得ることができた。広報課と連携しながら、京都府のLINE、ツイッター上で告知したことが大きな要因であった。今回の調査はあくまでも臨時で実施しており、正式な統計調査ではないが、前回平成29年の正式調査での有効回答数が、1,249件であることから5倍以上の回答数が集まり、多くの府民の声が反映されたことは、大きな意味があったと思う。
次に回答者の属性について報告する。回答者の性別としては、女性の割合が67%と高くなっている。平成27年に実施された国勢調査による、京都府全体の人口割合と比較しても、本調査での男性の回答者の割合が少し低くなっている。詳細版の冊子P5の「問4職業」にも結果を載せているが、今回、WEB上でアンケートを行ったことで、家事専業の方の回答が全体の約14%と多く集まっており、そのことも要因のひとつとなっていると思われる。
次の年代別にみると、今回は、40・50歳代の働き世代の回答が非常に多くなっている。京都府の人口割合と比較すると、20歳代以下や70歳代以上の割合が少なくなっているが、全体的にバランスよく回答が集まっている。前回の正式調査では60歳以上の割合が約55%と高齢者の意見がより多く反映されていたが、今回の調査では仕事や子育てを行っている年代の回答が多いという特徴があることを考慮する必要がある。
居住地の割合では、京都市が60%と最も多くなっている。全体としては、中丹、丹後地方においては、若干、人口割合よりも少なくなってしまっているが、府全体の割合と比較してもおおよそ一致していることが分かる。
ここからは、3.調査結果について報告する。問8の「普段運動不足を感じるか」について、居住地別の回答に着目すると、丹後地方において「大いに感じる」が50.9%と非常に高くなっている。今回、他の問での結果にも表れているが、丹後地方において、運動実践に対しての意欲や実施頻度が、他の地域と比べると低くなっていることが分かる。様々な要因が考えられますが、地域での差を減らしていくという観点からも、取り組むべき課題は多いと感じる。
次に、運動やスポーツに関することの設問について報告する。まず、ここでは緊急事態宣言前の状況についての設問である。問10の「緊急事態宣言前1年間の運動・スポーツの実施有無」については、全体では64.3%が実施していた。性別でみると、男性が70.6%と女性の61.3%と比べると9.3%高くなっており、コロナ前に運動を実践していた割合は男性の方が高かったことがわかる。
また、年代別でみると、「運動した」では、70歳以上、60歳代が高いなど、年齢が高い年代の割合が高くなっている。一方、「運動しなかった」では、30歳から50歳代のいわゆる「働き世代」において高くなっており、仕事の有無など普段の生活スタイルが影響していると考えられる。
問12の「成人の運動・スポーツの実施頻度(緊急事態宣言前)」では、「週一日以上」の割合が48.5%だった。前回平成29年調査時が48.7%となっており、新型コロナ拡大前の成人の週一日以上の運動実施率は、ほぼ変わっておらず、コロナ禍以前でも、京都府の目標である成人の週一日以上運動実施率65%以上はまだ、達成できていなかったことがわかる。
問13の「運動・スポーツの実施時間(緊急事態宣言前)」を異性間で比較すると、男性においては「1時間以上」、女性は「20分~1時間」の割合がそれぞれ異性と比べると高くなっていることがわかる。このことから、運動実施時間に違いがあることが分かる。
問15の「運動・スポーツをしなかった理由」で年代別にみると、30歳代の「仕事が忙しくて時間がないから」の割合が非常に高くなっている。このことから仕事の有無や、その忙しさが要因となり、運動・スポーツに取り組みにくいと感じている層が多いことがわかる。
ここからは、緊急事態宣言発令後についての設問になる。
問20の「新型コロナ拡大によるストレス状況」では、全体でもストレスを「感じた」割合が83.6%と非常に高くなっていた。性別でみると、男性の80.9%に対して女性は85.0%となっており、「女性」の方がよりストレスを感じていたということがわかる。また、職業別でみると、家事専業が86.9%とストレスを感じた割合が最も高くなっている。新型コロナによる学校の休校や生活様式の変化が大きな要因であると考えられる。
問21の「新型コロナ拡大による運動欲求」では、「運動がしたくなった」がどの項目でも6割以上あり、多くが運動欲求が高まっていたことが分かる。ストレス状況別でみると、大いに感じた、ある程度感じたと答えた層は、運動が「したくなった」と答えている割合が高いことから、全体としてはストレスを感じていた人は、運動欲求の割合が高くなっているという面もみられる。スポーツ庁でも、「運動はストレスを解消する効果がある」と提言しているが、新型コロナによるさまざまなストレスを感じたことで運動に対する欲求が高まっていたと考えられる。一方、「したいと思わなかった」に着目すると、男性に比べ女性の方が割合が高くなっており、職業別でみると家事専業が19.8%と最も高くなっている。もちろん、過半数以上は「運動がしたくなった」と答えているが、「したいと思わなかった」と感じていた層もいたことが分かる。
問22「自粛期間の運動・スポーツの実施について」では、「運動スポーツを実施しなかった」が38%と最も高くなっていましたが、「実施したかったができなかった」も29.5%と高かったことから、運動したくてもできなかった層が多かったことがわかる。また、性別にみると女性の方が「実施したかったができなかった」と答えた割合が高くなっている。
問24の「成人の運動・スポーツの実施頻度(緊急事態宣言発令中)」では週一日以上の割合が26.6%と非常に低くなっている。ここから、多くの人が、緊急事態宣言発令中に自粛していたということが結果として表れている。
問25の「運動・スポーツの実施時間(緊急事態宣言発令中)」では、緊急事態宣言発令前と比較すると、「1時間以上」の運動が60.1%から38.7%に、「20分~1時間」の運動が、34.3%から51.7%となっていることから、外出自粛などが求められていた期間では、短い時間での運動・スポーツが実施されていたことがわかる。
問26-1の「運動・スポーツができなかった理由」では、職業別でみると、学生の「仲間がいないから」が20.0と非常に高くなっている。これは、大学の閉鎖やオンライン化などの影響も要因であることが考えられる。
ここからは、緊急事態宣言解除後の設問になる。問27の「成人の運動・スポーツ実施頻度」では、解除後の週一日以上の割合は44.3%となっており、緊急事態宣言発令中と比べると、大きく回復しているが、新型コロナ拡大前の運動実施率には届いていないことがわかる。
問29「運動・スポーツの実施頻度の変化」では、全体としては「変わらない」43.5%、「減った」41.8%と以前と比べると、現状維持もしくは減少傾向にあることがわかる。また性別でみると、「減った」割合は男性39.8%、女性42.8%と女性の方が減った割合が高いことがわかる。
問30-1の、以前と比べて「増えた理由」としては、「増えた」と答えた回答数自体少数ではあるが、職業別にみると、「家族のふれあいとして」で家事専業が22.9%と最も高くなっている。このことから、生活様式の変化がプラスに働いている層も一定数いることが考えられる。
問34「運動・スポーツに対する考え方の変化」では、年代別にみると「コミュニケーションの場として大切だと感じるようになった」で40歳代23.0%、30歳代21.1%と働き世代で高い割合となっている。ここでも、働き方の変化や生活様式の変化がプラスに働き、考え方に変化が生まれたと考えられる。
問36「新たにやりたい運動・スポーツの種類」では、ウォーキング、体操、エアロビクスが上位に入っている。その中で注目したいのが、「登山」「キャンプ」が13.8%で8位に入っているという点である。これらの種目は、緊急事態宣言発令前と比較すると、以前の実施率は「登山」が6.9%、「キャンプ」が4.1%と、ともに大きく増加している。コロナ禍の現在、感染リスクを避けるために野外での運動・スポーツへのニーズが増えていることが、はっきりと現れていることがわかる。
ここからは本府における今後のスポーツ施策の指針用のデータを検証する。まず、「自粛期間の実施率」を検証する。ここでの「実施率」とは「自粛期間に実施した人数」を「新型コロナ拡大前に実施した人数」で割ることで、その種目が新型コロナ拡大前と比較して、どれくらい実施されていたのかの目安をはかる割合である。このグラフでは、新型コロナ拡大前、自粛期間それぞれで実施された種目のうち上位10位までに入った種目で分析を行った。
この自粛期間中の実施率の平均は20.2%となっており、コロナ禍において、ほとんどの種目で活動が自粛されていたことがわかる。一方、ランニング、ウォーキング、体操では、他の種目と比較すると、5割以上と高い実施率となっている。このことから、コロナ禍で実施しやすい種目の特性として、施設を必要とせず、個人単位で実施できることであると考えられる。
次に、先ほどの実施率を男女別に検証したものである。このグラフからは、多くの種目で、男性の方が実施率が高いことがわかる。
つまり、問22でもふれたように、女性の方が運動・スポーツを実施できない環境に置かれていたことがわかる。しかし、その中でも、「体操」と「軽い球技」においては、女性の方が高い実施率となっており、ここにコロナ禍において女性でも、取り組み易い種目についてのヒントがあると考えられる。
次に示すのは、「新型コロナ前後の運動実施状況」である。ここでの「継続」は新型コロナ拡大前、自粛期間中ともに実施をしていた種目。「新規」は新型コロナ拡大前は未実施、自粛期間中に新しく始めた種目。「自粛」は、新型コロナ拡大前は実施していたが、自粛期間中は実施しなかった種目である。
全体の割合をみると、ランニング、ウォーキング、体操の継続率が高いのがわかる。また、「新規」は、「ダンス」が13.6%と最も高くなっている。ここでのダンスは主に自粛期間中に在宅でWEB動画の配信等を活用して実施していたと考えられる。
性別でみると、男性では、ランニング、ウォーキングの継続率が約5割と、半数近くが自粛期間にもかかわらず継続していたことがわかる。つまり、これらの種目はコロナ禍において、男性にとって取り組みやすい種目であるといえる。また、男性においても「新規」でダンスが最も高くなっていることが分かる。女性では、全体的に各種目「新規」の割合が高くなっている。これは女性において、様々な生活様式や環境の変化が要因となり、新たな種目を実施したと考えられる。
その中でも、「軽い球技」において10.3%と、男性の2.5%と比較すると非常に高い割合となっている。あくまでも想像の域を脱しないが、自粛期間による学校閉鎖などの影響から、自宅近くなど身近な場所でボール遊びなどを、子どもとともに実施していたのではないかと思われる。
その場合、もちろん緊急事態宣言発令下という特殊な状況だからという面もあると考えられるが、このような経験が、一つの「きっかけ」になり新たな運動実践につながる可能性が生まれているのではないかと考える。
次に、「運動・スポーツへの考え方の変化」を新型コロナ拡大前の運動実践の有無別で検証した。以前、運動・スポーツを「実施していない」層は、今回の新型コロナによるさまざまな変化により、約半数である49.0%に何かしら前向きな考え方の変化がみられている。その中でも「試合等を見たい」が17.2%、「運動を実施したい」が16.0%、「コミュニケーションの場として大切だと感じるようになった」が13.2%と答えている。この部分にアプローチすることで、これまで運動を「実施しなかった」層の運動実践につながる可能性が示唆されている。
最後のデータでは、「国や自治体が今後力を入れるべき施策」を同じように運動実践の有無別に検証した。
運動スポーツを「実施していない」層が求めることの、上位5つの改善に取り組むことで、運動実施率向上につながる可能性がある。特に、コロナ禍においては、「個人で取り組む映像コンテンツ」がランクインしていることなどからも分かるように、個人で取り組める運動の充実と、そこから集団へと広げていくことが重要であると考えられる。
さいごにまとめとして、今後の方向性について話をする。
昨年末の第34回「第一生命サラリーマン川柳」で、「出勤が運動だったと気付く腹」が昨年の世相を反映している作品として紹介されている。
今回のアンケートの結果をまとめると、今回の新型コロナ感染症拡大によって、大部分の人はストレスを感じていた。その中で、運動欲求も高まっていたが、緊急事態宣言発令中において、多くの人が運動・スポーツを自粛していた。緊急事態宣言解除後も、以前のような運動実施頻度には戻っておらず、減少傾向である。一方、コロナ禍において、さまざまな考え方の変化や、運動・スポーツへのニーズにも変化が生まれている。ということが明らかになった。
今後の方向性として、コロナ禍では多くの種目で自粛されていたが、施設を必要とせず「個人」で実施できる「ランニング」「ウォーキング」「体操」などといった種目は、継続して行うことができており、若者から高齢者にかけても、そのニーズは大きくあることが分かった。そこでWEB動画配信を活用した運動コンテンツの配信、プログラムの紹介などを積極的に進めることや、地域でランニングやウォーキングがしやすい環境づくりなど、個人での取り組みをより後押しできるような内容を、これから検討していくことができると考えられる。
これまでの結果では、男性の方が運動実施率は高くなっている。しかし、コロナ禍において、ざまざまな状況の変化もあり、女性においても運動・スポーツを始めるきっかけが生まれている。そこで、子育て世代に優しい環境を整備することで、子どもとのふれあいを通じた活動が生まれ、そこから生涯にわたって自ら運動を継続して実践する流れを作ることができるのではないかと考える。
さいごに、これまで運動を実施していなかった層の考え方に変化が生まれているこの状況をチャンスとして、新たな運動実践につなげることができるのではと考えている。具体的には「するスポーツ」では、個人スポーツをWEB動画配信等も活用しながら推進していく。また、野外スポーツへのニーズが高まっていることから、京都府内が「スポーツ観光の聖地」として重点的にスポーツ観光を推し進めている市町村やキャンプ場などの利用の促進を進め、ツーリズムを絡めながら野外スポーツを実施していくことが考えられる。また、見るスポーツへのニーズもあるため、TVやWEB配信などでの観戦をきっかけに、次の段階として現地での観戦に誘うようにする。特に京都スタジアムやアイスアリーナなど素晴らしい施設が誕生しているので、見るスポーツをきっかけに自らの運動実践につなげていくことができればと考えている。
このように、WITHコロナ、アフターコロナの時代において運動実施率65%を目指すためには、これまで運動してこなかった層を運動に向かせる仕組みを作っていくことが非常に大切である。いま非常に厳しい時期ではあるが、このアンケートの結果から、運動実践につながる可能性も示唆された。京都府スポーツ推進計画の方向性を大事にしながら、新たな視点ももち、本府のスポーツ施策を進めていく必要があると考える。最後にアンケートにご協力いただいた方々に感謝を申し上げ、分析を終わる。
【質疑応答】
委員(意見)
最後のまとめで、個人の運動がコロナ禍において高まっているということと、今後そのサポートも充実していくという点においては賛同する。一方で、今は健康2次被害ということも言われているが、個人で運動をすることも大事だが、複数人で会話をしながら運動・スポーツをすることの効果も言われているので、難しいと思うが、個人で推進していきながら、やはり会話をすることで高齢者の認知症が防げるなどのデータも出ているので、コロナ禍において新たにスポーツを始めていただいた方を、個人から今度は二人、あるいは複数人となっていくような指針というようなものもとても重要になってくるかと思う。
もう一点、スポーツ庁の結果がかなり数値が上がっていて驚いたが、京都府とは時期が違うということもあったが、やはり調査種目の選択肢の項目はかなり影響されると思う。例えばスポーツ庁の方では、「トレーニング」という項目が選択肢にあるのですが、京都府の方には「トレーニング」という項目はなく、その代わりに「補強」「室内運動」「器具運動」という選択肢がある。やはり、回答者がやってはいるが回答にチェックを入れるか入れないかで、かなりハードルというか、ブレーキがかかってしまっているところもあると思うので、次回は選択肢について身近な表現などにすることで、実態に伴う結果になるように思う。例えば「エアロビクス・ヨガ」が京都府の項目だが、スポーツ庁ではそこに「ピラティス」も入っている。そういうちょっとしたことだが、影響してくるのではないかと思う。また、「階段昇降」をスポーツ庁では項目に入れているが、2階に行くのを階段にするのも運動であるというふうにしている。今回のコロナ禍による意識改革、行動変容と併せて、選択肢の項目の検討も重要であると思う。
事務局(回答)
今は個人で実施している方が多いという結果になっていると思うが、それを集団の方向に推し進めていきたいと考えている。会話すること、人々と集うことで認知症の改善を併せて、集団へのアプローチということも考えていきたい。
もう一点、次回調査においてはまたアドバイスをいただければと思う。スポーツ庁の「階段昇降」という項目で、階段を上がることも運動に含まれるという、非常に幅広い選択が入っていたので、そういったことも参考にしながら次回調査に繋げていきたいと思う。
委員(意見)
今後に向けて以下の3点を提案する。
【オンラインフィットネス】
利点:他の種目と異なり実施しやすい。子育てでもできる。テレワークと共にできる。
課題:安全面の管理が課題
テレビのコマーシャルの1場面に取り上げられるなど一般化し大変人気である。担当する京都大学の授業でも、フィットネスをオンラインやオンデマンドで展開している。京大病院には、オリジナルの運動療法がありますがコロナ禍となり、その映像を公開するようになった。
また地域住民に対する運動教室は現在閉まっているところが多いが、デジタルが不得意な高齢の方にもLINEグループを利用したオンラインフィットネスを入り口としズーム利用へと誘うことで多くの教室が、中断することなく運動を継続している。
【街づくりと歩くを合体】
歩いて暮らすまちづくりを中丹の舞鶴市が提唱し、ヘルス博京都2019にて発表されている。
例えば登下校時に通学路をウォーキングコースとして歩くことを住民に奨励すると挨拶などのふれあいができると思う。もっとスポーツをしようと言っても動機の低い方には無理があるが、街の子供たちの安全を守ろうとか教育を促そうと呼びかければまた違った動機付けになるかもしれない。
すでに交通安全面は整備されていますので進めやすいと思う。
【ナッジの利用】
社会経済システム等の外部環境の変化を通じた行動変容の促進を促す考え方とその手法。国のナッジユニットに文科省も関係省庁として入っている。密回避策として間隔を示す足形がありますがこれもナッジの一つ。環状線の大阪駅混雑緩和策として階段利用を促す仕掛け消毒液を入室前に利用する仕掛けなど様々ある。仮設住宅の運動不足病回避のナッジで効果を示した。
委員(意見)
所属する大学の学生もコロナ禍であるから、運動する時間ができた、必要性が高まった、など、運動を実践、また習慣化する機会になっている場合もあるように感じている。
また、他の行政の調査報告にて、これまで、行政が予算を投入して市民に働きかけをしても運動の実施率が高まらなかったにもかかわらず、コロナ禍では、実施率が高まったという興味深い調査結果もあった。今回の貴重な調査結果は、ぜひ、公表して欲しいと思う(特に調査に協力した方々が見られるよう)。
また、調査の結果から、コロナ禍における府民の運動実施の必要性や実践意識の高揚(個人で実施可能な種目)をうまく利用して、今後の運動の実施率を高め、定着につなげたいとのことであった。
具体的なその方策など(例えば、WEB等による府下の運動の可能な身近な場所の情報の発信など)、考えているようであれば、紹介してもらえればと思った。
事務局(回答)
今回の報告書の結果を受けて、今後より効果的な施策を検討していくことになるが、「実践意識の高揚」という部分でいうと、「今後やってみたい運動・スポーツ」において「登山」「キャンプ」など野外スポーツのニーズが高まっていることが分かる。この実態から、例えば府民総体のオープニングイベントでは現在様々なスポーツ教室などを実施し、多くの方がスポーツに触れる機会を作っているが、その中で、キャンプ教室のようなものを企画し、テントの設営や野外スポーツなどの体験などを実施することも考えられる。今回の結果を受け、既存のイベントなどでも、より府民の実態に合った内容に改善していくことも重要だと考えている。
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