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株式会社whicker(京都企業紹介)

【若者によるビジネスケアラー支援】介護が必要な親や家族との、新しい形の支え合い!

(令和6年12月5日 産業振興課 白石)

株式会社whicker(ウィッカー)の山本智一代表にお話をおうかがいしました。

介護「以外」の高齢者・家族支援サービス『まごとも』

―御社の事業について教えてください。

山本)私たちは、若者が介護以外の点で高齢者を支援するサービス「まごとも」を運営しています。介護のような身体ケアではなく、孫世代の友達としての楽しい時間を提供するもので、一緒に外出・外食をしたり、スマホやパソコンの使い方を教える等、介護保険とは異なるサービスを提供しています。

 私は、体力的な衰えとともに、精神面でも無気力になってしまい、本来まだできることも諦めてしまう高齢者の方が多いと考えています。そこで、従来の介護とは異なり、「まごとも」では精神のケアをすることを目的としています。

写真右が山本代表

―このサービスで解決したい課題は何ですか?

山本)私は、高齢の家族をもつ方に、まごともを見守りサービスとしてご活用いただき、介護の負担軽減に繋げたいと考えています。高齢化が進む中で、働きながら家族の介護も行う「ビジネスケアラー」の人口が増加しており、経済産業省は2025年には300万人を超えると試算しています。また、介護者が家族の介護にかける時間は1日2時間余りと算出されており、介護離職等に伴う労働生産性の低下は、2030年に約9兆円の経済損失が見込まれている等、ビジネスケアラー支援が今後さらに必要になってきます。

 親が高齢になり昔のような気力をなくしてしまった、趣味をやめて引きこもり始めた等の悩みを持つご家族の方がいらっしゃいます。そのような方にまごともをご活用いただき、高齢者の方に日々の楽しみと自律的な生活を取り戻していただくことで、ご家族が介護以外に時間を使えるようになる等、ビジネスケアラーの支援にも繋げたいと考えています。

若者×高齢者=??

―そもそも、なぜ「まごとも」を始めようと思われたのですか?

山本)私は、偏差値40台の公立高校から立命館大学の薬学部を経て京都大学の大学院に進学したことで、様々な人と関わってきました。その中で、多様な価値観を結びつける面白さに気づき、薬学部での経験を通して知った高齢者の方の課題解決にも繋がるのではと考えました。高齢者の方についてより深く知るため、介護施設でのアルバイトをしたのですが、そこで「若者にしかない価値」といえるものに気が付きました。

―若者の価値とはどのようなものでしょうか?
山本)例えば、ご飯を食べない高齢者の方に対し、介護士さんが理由を聞いても無視されてしまっていたのですが、私が「どうしたんですか?」と声をかけると「寂しいから構ってほしい」と素直に言ってもらえたのです。高齢者の方にとって私は孫世代であり、年齢が離れているからこそ、介護士さんに対するのとは異なる面を出してもらえるのだと感じました。

 まごとも利用者の方の中には、若者と関わったことで気力が湧き、歩行訓練を経て歩けるようになった方もいらっしゃいます。このように、若いからこそ高齢者の方が気を遣わずに交流することができ、元気に、そして前向きに生きるきっかけとしていただいています。

―学生からの問い合わせも多いそうですね。

山本)介護士資格はないが高齢者の支援には関心がある方や、社会貢献をしたい方などからの問い合わせが多く、看護・福祉系だけではなく幅広い分野の学生がまごともに登録しています。学生にはコミュニケーション研修を実施し、ただ外出するだけでなく、会話を通して相互理解を深める等、高齢者の方に楽しんでいただけるような指導を行っています。
学生からは、「普通のアルバイトと異なり自分で考えて動くことができる」、「社会性が身につく」、「自己肯定感が上がる」等の声をもらっています。

 高齢者との交流が若者に与える影響を学術的に示すため、京都大学や京都橘大学と共同研究をしており、高齢者・若者双方にメリットがあることを示していきたいです。

今後の展望

―最後に今後の展望について教えてください。

山本)まず、2025年には、学生と高齢者のマッチングアプリをリリースする予定です。依頼者である高齢者の家族と、社会貢献に関心のある学生をマッチングするもので、アプリ上で仕事の依頼や受託、レポートの送受信等ができるような機能を搭載する見込みです。

 また、将来的には、不動産売却や介護事業者の紹介等の高齢者が抱える悩みを解決するため、他業種との提携をしていきたいと考えています。

―今後の展開が楽しみです!

株式会社whicker、まごともの情報(外部リンク)

 

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