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(令和6年12月5日 産業振興課 白石)
令和6年度起業支援事業費補助金を活用して起業された倉橋さんが、民家を利用した障がい者向けグループホームの管理・運営等をする合同会社クロスリビングを設立されました。
―起業のきっかけを教えてください。
倉橋)英語の教員になりたいと考えて最初に入社した企業を退職した後、ヒッチハイクで日本一周をしました。その際、3か月で約200台の車に乗せてもらうなど多くの方にお世話になり、恩返しをしたいと思ったことがきっかけです。直接の恩返しは難しいですが、社会に何かを還元し、巡り巡ってお世話になった方へ届けばいいなと考え、起業しました。
―倉橋さんは、青年海外協力隊としてフィジーに派遣されていたそうですね。
倉橋)英語の教員になる前に身をもって海外を体験したいと考え、青年海外協力隊としてフィジーで2年間活動していました。青年海外協力隊は職種を選択するのですが、私は教員を選択したところ、それまで全く知らなかったフィジーへ派遣されることになりました。
フィジーは幸福度が世界一の国とされています。幸福度の測り方には福祉制度の充実度等いくつかあると思いますが、フィジーでは、「あなたは幸せですか」という質問をすることで幸福度を測っています。つまり、人々の主観的な幸福度が高い国で、多くの人がおおらかでストレスなく過ごしている国でした。
―なぜフィジーは幸福度が世界一なのでしょうか?
倉橋)私は、フィジー特有の「ケレケレ文化」が幸福度世界一の理由だと考えています。
「ケレケレ」とは、「共有」や「助け合い」のような意味を持つ単語です。フィジーではビレッジ(村)に対して強い帰属意識を有する人が多く、子供を村全体で育てたり、服を共有したりと、お互いができることを補いあいながら生活しています。また、若者は村の外に働きに行く人もいますが、休日には村に帰ってくるなど、多くの人が村というコミュニティを大切にしながら生活していました。
私も青年海外協力隊として働いていた際に何度か家に招かれたことがありますが、外国人である私にも分け隔てなく接していただきました。そんな、人々が安心できる居場所づくりをしたいと思ったのも起業のきっかけです。
―障がい者向けグループホームで起業を志したきっかけを教えてください。
倉橋)フィジーから帰国した後、公立高校の英語の教員として4年間働いていました。その際に、クラスの中にいわゆる「グレーゾーン」の生徒がおり、集団になじみにくかったり、ふるまい方に苦しむ人がいることを知りました。その中で、一人一人ともっと深く関わりたい、またフィジーでの経験を形にしたいとの思いから、障がい者向けグループホームの起業を決意しました。また、需要に対してグループホームの数が不足していると感じたのもきっかけの1つです。
―そもそも、グループホームとはどのような場所なのでしょうか。
倉橋)グループホームは、障がい者の方が自立をするために生活支援をする場所です。私たちの「ケレケレの家」ではスタッフが常駐し、その日のことをお話ししたり、手作りに近い食事を提供するなど、安心して暮らせる居場所をコンセプトにしています。ただ、何でもお手伝いするのではなく、お一人では難しい部分の支援など、利用者の方の自立に繋がるような支援をしています。
現在開業している「ケレケレの家 芝本」では、定員7名のところ6名の方に入居いただいています。スタッフは現在10名で、20代から60代まで幅広い年齢の者がおり、子どもとの出勤も可能としています。現時点では、子連れ出勤は私だけですが(笑)。家事の延長に近い仕事が多いため、未経験でも採用しており、利用者の方が様々な人と関わる機会作りに繋がれば、と考えています。
表札には「ケレケレの家芝本」の文字 リビング
外観・内装ともに一般の民家と同様の、安心できる環境でした。
―最後に、今後の展望について教えてください。
倉橋)将来的には、利用者の方が日中生活される場も含めたサポートをしたいと考えています。例えば、畑を作業場とすることで、作った作物を日々の食事に循環できるような仕組みや、現在スタッフが行っている洗濯を作業所の仕事にするなど、フィジーのビレッジのように、お互いに補い合う場としていきたいです。
―今後の展開が楽しみですね!
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