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京都府ものづくり振興課の拡別メタバースプロジェクトの一環です。
本件とは別に、京都府では、ひきこもりの方向けの「オンライン居場所」も開設(外部リンク)しています。 |
初日(9月25日)主にVRChatの操作に慣れるための操作説明。初回ということもあり、メタバースでの活動を不安に思っていた参加者も少なくありませんでしたが、サポーターたちによる操作説明を通して、少しずつできることが増えたことで、ジャンプや頷きなどで反応を返してくれるようになりました。参加者の様子を見ていたスクールカウンセラーからのコメントとして、継続的に不登校の状態にある生徒が集団行動の会に参加して聞いている状態は珍しく、参加者全員が集中し、説明に従ってリアクションを返すような積極的な参加の姿勢を見せる状況は他ではなかなか見ることがないとのことでした。 第2回(9月27日)VRChatのワールド巡り。様々なアバターが展示され、自分の好きな姿を選べるワールド「Avatar MuseumQ2」や、鳥に餌を与えることができるワールド「Udon Bird Sanctuary」を巡りました。参加者の中には、前回の操作説明で学んだことを活かして、ペンを使って空間に絵を描いたり、アバターで鏡に向かってポーズを取る、ワールドで飛んでいる鳥を追い回すなど、自らアクションを起こす兆候が見られました。 第3回(9月29日)2つのグループに分け、グループAは講師の水瀬ゆずによる「メタバース文化論」の講演。VR上で睡眠をする「VR睡眠」などの話になった時は、特に参加者が熱心に聞いていたように思われます。また、参加者がスタンプ機能(絵文字などを空中に飛ばす)を使って反応を示していました。講演後のワールド散策においては、参加者同士がペンによる筆談でコミュニケーションを取ろうとする場面もありました。 グループBでは、講師のark師匠さんによるメタバース独自のコンテンツ「おじさん回し」についての解説と体験を行いました。「おじさん回し」はメタバース伝統芸能と呼ばれており、参加者はおじさんのアバターを回すうちに打ち解け、実際におじさんのアバターを着る参加者がいたり、スタッフと交流を行う頻度を増やした参加者も多く見られました。 また、第2回の際に手に入れたアバターの中で、気に入ったものを常時着用する(柴犬のアバター)など、VRならではの楽しみ方を理解し始めた参加者も見受けられるようになりました。 第4回(10月1日)グループAでは、講師のタナベさんによる「クリエイター講話」の講演を行いました。サポーターが参加者に対して「今日はゆっくり休んでね」と声をかけると、OKジェスチャーで返してくれる、またはじめて声を出してくれた参加者がいるなど、サポーターとの信頼関係ができつつありました。 グループBでは、バーチャルファッションデザイナーとして活動されているゆいぴさんにお話いただき、その後ELfαさんのバーチャル・ライブを鑑賞しました。参加者は用意されたペンライトを振るなど、盛り上がった様子でした。VRなどで使われる3Dモデルを作成するためのソフト、blenderやunityを勉強しているという参加者もおり、講師と参加者間で技術的な質問が行われる様子も見られました。 第5回(10月2日)無言であっても、参加者同士でコミュニケーション(頷き、ジャンプ、ペンによる筆談)が増えてきていました。また、ギミックに夢中になる中で、今まで距離のあった参加者同士が、一緒に関わりあって遊ぶ姿も見られました。普段は動物のアバターを使っている参加者が、最後に別れるときに人型のアバターになってサポーターたちに手を振ってくれるなど、VRならではのコミュニケーションに慣れている様子でした。 第6回(10月4日)グループAは、講師のゆいぴさんによる講演と、ゲームワールドの探索。ワールド探索中、常に走り回っている参加者もいましたが、サポーターを安全基地として認識しているようで、ふとしたタイミングでそのサポーターに近づいたり、特に仲の良い参加者に近づくことも、以前より増えているように思われました。 グループBは、講師の水瀬ゆずによる「メタバース文化論」の講演。プログラム開始時刻の1時間前からログインし、集合時間になった瞬間にいらっしゃる参加者もいるなど、本プログラムやメタバースでの活動を楽しみにしているよう。講演中は、講師によるアバターや衣装購入の話について、サポーターの経験も交えながら雑談すると、参加者は特に頷いたり、驚いたりする様子が見られました。 第7回(10月6日)講師のNEKO旅さんによる「VRC世界旅行」を実施。今まで学んできたVRの操作をフルに活かして、参加者同士やサポーターで写真を撮ったり、ジャンプなどを駆使し、VRに慣れている様子が見られました。 第8回(10月8日)以前のプログラム参加者のノアさんによる講演。プログラムを通して、メタバース上に居場所を見つけ、前向きな気持ちになったことで復学し、その体験についてインタビュー形式での講演を行いました。参加者はノアさんの講演について耳を傾けてくれた他、筆談で積極的に質問をする様子が見られました。 第9回(10月9日)社会科(地理)クイズ大会を行った後、「GeoLocator」というゲームワールドで遊び、その後大聖堂のワールドを探索しました。普段は声を出さない参加者の一人が、「今日は声を出してみたい」と言ったため、サポーターが「隅っこの方が声を出しやすいかな?」と促すことで、実際に声を出すことができました。正解した時は「えへへ」と小さな声で笑うなど、喜んでいる様子も見られました。 第10回(10月11日)「放課後タイム」という、ワールド巡り、軽いゲームコンテンツの体験を通して交流。最初に訪れた温泉ワールドでは、様々な飲み物が設置されていましたが、それを参加者同士で飲ませ合うなど、すっかり打ち解けているように見えました。いつも一人で走り回っていた参加者も、仲の良い参加者と共に走り回っているようで、その点においても仲の良い友人ができているよう。前回、小さく声を出してくれた参加者は、今回は初めから全員の前でも声をしっかり出すようになりました。 第11回(10月13日)グループAは、e-sportsチームを運営している、Nebulaの代表を務める結さんによるeスポーツの世界について講演。特に講演前半、ゲームに関する話題や大会の様子に対する、参加者の食いつきは特筆するべきで、普段は走り回っている参加者もかなり真剣に耳を傾けていました。説明された内容を復唱しながら嚙み砕き、理解するように努める参加者の様子も見受けられました。 グループBは、京都府警察本部サイバー企画課対策第一係長の近藤さんによる、インターネットリテラシーについての講演。「その話は知っているよ」など、参加者が講師に伝えたいことがあると、合図とペンによる筆談でサポーターにお願いする場面もありました。 第12回(10月16日)栄養学Vtuberの「はすきぃ」さんによる講演。自分は健康的な生活であるかどうか、一喜一憂するサポーターたちを見て、参加者が「(寝るのが)おそっ!」とコメントすることもありました。友人のようにフランクなコミュニケーションが行われている様子は、プログラムの初期からは予想できない様子でありました。また、お絵描きが好きな参加者が、絵で色々な人の飾りつけをするなど、その特技を活かしてコミュニケーションを図る様子も見られました。 第13回(10月18日)普段走り回っている参加者が、ワールドの隠されたギミックを発見し、それについてサポーター、学生サポーターから賞賛を送られ、ジャンプで喜んでいる場面もありました。隠されたギミックのところまでサポーターたちを案内するなど、参加者の優しさが垣間見える瞬間でした。「あと〇分で今日は終わりだね」と言われた参加者が、とても悲しそうな声を出すこともありましたが、本プログラムが参加者の居場所として認知されている裏返しではないかと捉えています。 第14回(10月20日)VRChat上のゲームワールドなどを制作されている、とむこさんによる講演。参加者の中には「ゲームを作るのに気を付けた方が良いことは?」と質問するなど、意欲高く参加してくれました。スタッフから「次回が最後です」とアナウンスがかかったとき、大きく息を吸い込み、悲しそうな声になる参加者がいて、参加者の居場所になっているように感じられます。 最終回(10月22日)最終回は修了式ワールドにおいて、プログラムの回ごとの思い出写真を掲載し、それから修了証書を渡し、最後に集合写真を撮るという流れでした。最終回ということもあり、参加者は最初から積極的に互いに交流を図っていました。今回でプログラムが終了することを名残惜しそうにしており、他の参加者一人ひとりに手を振ったり頭を撫でる、一緒に写真を撮ったり、参加者同士で「今度VRChatで会おうね!」と約束し合う光景も見られました。修了証書を貰えてとても嬉しがる参加者が何人もいて、さらに現実世界でも証書が届くと言われてかなり驚いた様子で、「実際に形として残るものがあるのもいいね」というお話もありました。 まとめ以上のとおり、12名の参加者には積極的に様々なコンテンツにチャレンジする様子が見られ、「居場所づくり」は一定の効果を認めることができました。また、不登校生に関する専門家がスタッフにおり、LINEを通じたスタッフと保護者との連携体制も整っていたことが、参加者・保護者との信頼関係の醸成に繋がっているように感じられました。 |
厚生労働省「子ども・若者白書」(令和4年版)によれば、不登校生徒は14万人にのぼり、年々増加傾向にあります。また、別の調査結果によれば「10代の若者の半数が孤独を感じている」とも言われており、少子化、担い手不足時代にあって、若年世代の心理的居場所づくりは、若者一人ひとりにとっても、産業・社会全体にとっても重要な課題だと言えます。
そこで、「自宅に居ながら社会参画できる」「顔出しなしでコミュニケーションが図れる」「話すのが苦手な人でもわずかなジェスチャーを表現できる」VRChatを用いた居場所づくりプログラム「ぶいきゃん」を開催します。
一般社団法人プレプラ(外部リンク)(共催:京都府ものづくり振興課)
(PDF:9,566KB)
本プログラムご参加の方は、プログラム説明会へのご参加をお願いいたします。
少子化、担い手不足時代にあって、若年世代の心理的居場所づくりは、若者一人ひとりにとっても、産業・社会全体にとっても重要な課題だと考えおり、本趣旨にご理解、ご賛同いただける企業様のご協力を求めております。何卒よろしくお願い申し上げます。
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