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産学公連携、産業振興の一環として、京の研究者・専門家の皆さんを紹介するページです。
SIP最終年度公開シンポジウム「我が国の労働生産性向上のために」(2022年10月17日)
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(掲載日:令和元年6月11日、聞き手・文:ものづくり振興課 足利)
立命館大学総合科学技術研究機構の王 忠奎(ワン ヅンクイ)准教授にお話をおうかがいしました。
―理工学部ロボティックス学科運動知能研究室の川村貞夫教授のSIPプロジェクトで研究をされてらっしゃるのですね。ロボットの利用が広がっていくための課題として、より小さく、軽く、安く・・・といったことを挙げてらっしゃって、私どもも、まさしくそういった課題を解決してほしいと願って「けいはんなロボット技術センター」をオープンしたところです。
王) ロボットは、センサ、コンピュータ、アクチュエータのシステムとしての統合体ですし、高機能で有用なロボットを開発するためにはシステム統合の技術が必要です。現在のロボットには様々な問題がありますが、それを解決することによって今までロボットの利用が困難であった分野にもロボットが広がっていくと考えています。
―運動知能研究室でなさっている「ソフトロボティックス」の研究について、少しご紹介いただけませんか。
王) 例えば、プラスティック材料を用いた軽量柔軟インフレータブル(膨張可能)ロボットアームがあります。産業用ロボットに代表される従来の高重量なロボットアームに対して極端に重量を低減したものは、人に対する安全性、飛行体等への搭載しやすさなど、様々な利点があります。
―プラスチック材料は、ポリエチレン(PE)、ポリブロピレン(PP)とのことですが、コストや入手のしやすさからですか?
王) そうです。一般的に使われてるものですし。
―しかし、硬いのでは?
王) 薄くして、中は空洞、空気が入ったロボットアームです。インフレ―ダブルです。
―なるほど。具体的な利点について、教えてください。
王) まず、インフレ―ダブルですから、柔軟化、軽量化はもちろん、大型化もコンパクト化も対応可能ですね。従来はモーターで駆動させるところを、エアーコンプレッサーを用いています。
―そうなのですね。
王) そして、プラスチック材料ですから、電磁場への影響が少なく、洗浄も容易で、低価格化も図りやすいです。
―やわらかいだけでなく、コストや維持等においても利点があるのですね。
王) これにより、例えば、従来の把持は、吸着によることが多いですが、ロボットハンドによって柔らかくグリップすることができ、吸着できなかった、お惣菜のような食品にも利用できます。
―食品ですか。
王) お総菜などは、季節によって内容を変えていかれますから、いちいち専用ロボットで対応するわけにはいきません。汎用性のあるハンドが必要なのです。そのため、様々な食品のサンプルモデルを用いて、日々研究を重ねています。
今後の研究の成果が大変楽しみです!!
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