ここから本文です。
産学公連携、産業振興の一環として、京の研究者・専門家の皆さんを紹介するページです。
(2023年4月25日、ものづくり振興課 足利・安達)
(若宮研究室HPより)
京都大学化学研究所 複合基盤化学研究系 分子集合解析研究領域(若宮研究室)(外部リンク)の若宮淳志教授をおうかがいし、限られたお時間の中でポイントを分かりやすく教えていただきました!
ペロブスカイトとは鉱物の総称で、ABX3型と言われるものは、簡単に言えば、いろんな向きのイオンが並んで3次元的なネットワークを構築し、電荷が流れる半導体的特性を持っており、太陽電池で使われるものは光を吸収する黒色ものもが使われるそうです。
ペロブスカイト太陽電池の構造は、黒くて薄いペロブスカイト層を、プラスの電荷を取り出すp型半導体層、電子(マイナスの電荷)を取り出すn型半導体層で挟むだけというシンプルなものです。
今主流のシリコン型太陽電池は、発電効率が高く、耐用年数も長く、既に設置できるところへの導入が進んできている状況です。しかしカーボンニュートラルを実現するためには、シリコン型太陽電池が設置できないような箇所への太陽電池の導入を進めることが重要だとのこと。
そこで、重くて、硬く、製造プロセスで多くの電力エネルギーを使用する、CO2を排出する(SiO2+C→Si+CO2)シリコン型太陽電池と異なり、軽くて(ビルの壁面やプレハブ工場の屋根、自動車にも設置できる)、薄くて曲げられて(災害用テント等に設置することで、スマホの充電も可能となる)、室内光(低照度)でも高い発電効率を示し(家の中のIoT機器の充電が可能となる)、太陽電池で使うペロブスカイトは塗って作れるため、低コスト、低温で作れる(脱炭素にさらに効果的)という強みがあります。
では、先生の強みは何か?
全てを語り尽くすことは素人には無理なのですが、極めて簡単に表現するとすれば「材料(純度の高い材料を作る)」「ペロブスカイト層の塗り方(ペロブスカイト構造を作る)」「メカニズムの理解(材料、塗り方、デバイスまで)」全てで最先端を走っておられるということです。
例えば、「ペロブスカイト層の塗り方(ペロブスカイト構造を作る)」では、600nm(髪の毛の100分の1程)までの厚みで、平坦で緻密な膜を作る技術を確立されており、国内で初めて光電変換効率20%超を果たされています。
(若宮研究室HPより)
そして、大学発ベンチャー「株式会社エネコートテクノロジーズ」を設立され、社会実装に向けた取組も進めておられます。
研究開発での2.5cm角のセルへのスピンコーターから、より大きなモジュールへの印刷(インクジェット、ダイコーター)ができるようになれば、基盤のロールからロールへと一気に塗ることができ、大量生産・低コスト生産が可能になるだろうとのこと。
将来は、ホームセンターで、ロールで太陽電池を買える時代を創ることだそうです!
お問い合わせ